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巨額資金が動く!秘密の証券市場「ダークプール」をご存じか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47357
2016年01月14日(木) 小林 雅一 現代ビジネス
■匿名で秘密裡に行われる証券取引
年初から世界中の株価が大きく下落するなど、今年は荒れた相場展開になりそうだが、そうした目に見える市場の背後に隠れた裏の証券市場「ダークプール(Dark Pool)」が日本でも勢いを増している。
ダークプールとは、機関投資家など大口投資家が、東京証券取引所(東証)のような公開市場を介さず、プライベートなマーケットで半ば秘密裡に行う取引のことだ。
ダークプールを提供するのは、以前は主に欧米の証券会社や銀行などであったが、昨今はここに日本の金融機関も加わっている。それらのダークプールを介して、たとえばヘッジファンドや生命保険会社、あるいは投資信託会社など巨額の運用資金を有する機関投資家が、膨大な数量の株式や債権などを売買している。
ダークプールは匿名かつ相対の電子取引によって成立する市場である。機関投資家らは証券会社など金融機関の提供する電子取引システムを使って取引相手を探し、そこで売り手と買い手、双方の提示価格がマッチングした時点で売買が成立する。
このときの売買価格や数量をはじめ、取引に関する情報は一切外部に漏れないことが大前提となっている。
■機関投資家のポーカー・ゲーム
こうした特殊な取引形態が近年、勢いを増してきたのはなぜだろうか?
その理由だが、まずダークプールを提供する証券会社などの立場から言うと、NYSE(ニューヨーク証券取引所)や東証のような証券取引所に支払う手数料を省くことができるというメリットがある。
他方、機関投資家の立場から言うと、ダークプールを利用することによって市場への影響を最小限に抑えることができる。つまり彼ら大口の投資家にとって、巨額の証券売買はポーカー・ゲームのようなものだ。もしも証券取引所のような公開市場で彼らが巨額の売買を行えば、その情報はすぐに競争相手に伝わってしまう。
これはちょうどポーカーで自分の手の内を明かしてしまうようなもので、競争相手は即座に自分が買おうとしているのと同じ株や債券を買いに出て、価格を釣り上げてしまうかもしれない。これは機関投資家にとって、非常に損なことだ。だから彼らはダークプールを使って、なるべく自分の手の内を明かすことなく、こっそりと売買を行いたいのである。
もう一つの大きな理由が、近年のHFT(超高速取引)の急増だ。高性能コンピュータと高速回線を駆使した自動取引のことである。
HFTは、証券市場の価格変動や売買状況を即座にキャッチし、瞬時の取引を毎秒何十万〜何百万回も繰り返して利ザヤを奪うのが仕事だ。従って、もしも機関投資家が公開市場で大口の売買を行えば、その情報はすぐにHFTに察知されて、カモにされてしまう恐れがある。
これを危惧する機関投資家に対し、証券会社は「ウチのダークプールからは、あの危険なHFTを締め出すことを約束します。だから安心して売買できますよ」などと売り込むのである。
以上を背景にしてダークプールはどんどん勢いを増し、特にそれが盛んな米国では、今や証券取引全体の20〜40%を占めるに至ったという(ReutersやThe Wall Street Journalなど欧米メディアによる推定)。また日本でも、それに匹敵する水準にあると見られている。
■市場の歪みと不正の温床にも
その一方でダークプールにはマイナスの側面も指摘されている。たとえば株式市場の取引価格を歪(ゆが)めてしまうことだ。
つまりダークプールのようなプライベート市場では規制当局による監視が行き届かないので、価格の透明性が損なわれる。その結果、機関投資家が本来よりも不利な売買価格で取引に追い込まれる危険性がある。
また、それより大きな問題もある。現在のようにダークプールの存在感がどんどん大きくなり、そこで売買される証券の価格と、東証など公開市場における証券価格が大きく乖離してしまった場合、そこでは表向きの市場価格と背後にある実態価格との間で歪みが生じてしまう。この歪みが蓄積され、何かの拍子に弾ければ、市場暴落の引き金となるなど危険要因になりかねない。
さらにもう一つの問題として、ダークプールは不正事件の温床となることが少なくない。たとえば米証券取引員会(SEC)とニューヨーク州検事局は最近、欧州の金融機関で証券業も営むバークレイズとクレディスイスを、(彼らが運営する)ダークプールを巡る不正を理由に訴えた。それによれば、こうした金融機関が彼らの顧客、つまり機関投資家に対して虚偽行為をしていたという。
具体的には何をしたのだろうか?
米メディアによれば、バークレイズなど金融機関は機関投資家に対し「ウチのダークプールからはHFTを締め出します」と約束しながら、実際にはHFTが彼らのダークプールで取引をしていた嫌疑がかけられているという。
もしもその通りだとすれば、機関投資家らは絶対に安全と信じていたダークプールで、実は危険なHFTを相手に戦っていたことになる。
このため「バークレイズとクレディスイスは(両者合わせて)最大1億5,000万ドル(約180億円)の罰金を払って、米SECなど規制当局と和解するだろう」とThe Wall Street Journalは予想している。同様の不正事件は過去にも何度か起きているという。
●"Credit Suisse, Barclays Could Pay up to $150 Million to Settle `Dark Pool´ Claims" THE WALL STREET JOURNAL, Oct. 22, 2015
http://www.wsj.com/articles/credit-suisse-barclays-could-pay-up-to-150-million-to-settle-dark-pool-claims-1445536853
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こうしたことから、欧米の政府当局は最近、ダークプールの情報開示や規制に乗り出しつつある。
たとえば米SECは今後、証券会社など金融機関に対し、彼らのダークプールで取引しているプレイヤーの企業名、彼らが行う取引の種類、その具体的な手続き、さらには取引の場を提供する金融機関と機関投資家の利益相反の可能性や、売買システムが誤動作する危険性など、広範囲に渡って詳細な情報開示を義務付けるという。また米Bloombergによれば、SECによるダークプールの監督強化も検討されているという。
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