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【スクープ】傾斜マンション杭問題で、三井住友建設に不利な新証拠!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160113-60597618-fukkou-life
nikkei BPnet 1月13日(水)16時49分配信
■マンション傾斜に有力4説
「パークシティLaLa横浜」の西棟は、なぜ約2cm傾いたのでしょうか。マンション傾斜の原因としては、初めにA「支持地盤層の凹凸見逃し」説が提唱されました。その後に、B「ダイナウィング工法ミスマッチ」説、C「地盤沈下」説、D「既存杭の悪影響」説の3説が、次々に提唱されました。
その真相を突き止めようとするとき、厄介なのは、元請けの三井住友建設と2次下請けの旭化成建材の見解が真っ向から対立している事実です。
三井住友は2015年9月、横浜市に対して、「調査の結果、西棟を支える52本の杭のうち、6本が支持層に未達で、2本が支持層への根入れ不足」と報告しました。一方の旭化成は、「三井住友の調査手法は不十分。西棟の杭は未達でも根入れ不足でもないかもしれない」と反論しています。
このため、国土交通省「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」が、2015年12月25日に公表した「中間とりまとめ報告書」でも、「両社の認識に齟齬(そご)が見られる」とこぼしているほどです。
どちらが正しいのかはっきりさせるため、2016年1月から三井住友が再び杭の調査を行うのですが、それで決着がつくかどうかは不明です。なぜでしょうか。
三井住友と旭化成は主に、「支持地盤層の凹凸見逃し」説を巡って対立を続けています。しかし、これに「地盤沈下」、「ダイナウィング工法ミスマッチ」、「既存杭の悪影響」説を加えて、4説を総合的に比較・検討しない限り、真相に迫るのは不可能なのです。
このうち今回は、三井住友建設にとって不利になる新しい証拠が発見された、B「ダイナウィング工法ミスマッチ」説に的を絞りましょう。
■「ダイナウィング工法ミスマッチ」説とは何か
旭化成の杭工法である「ダイナウィング工法」はそもそも、支持層が砂質地盤および礫質地盤向きに開発されました。一方、LaLa横浜の支持層は土丹層(硬質粘土層)です。このため建築専門誌「日経アーキテクチュア」(2015年11月25日号)は、「両者はミスマッチではないか」とする説を提唱しました。これがB「ダイナウィング工法ミスマッチ」説です。
まず同誌に掲載された記事、「杭騒動─語られない真相」の記述を要約しましょう。
一。 三井住友は2015年11月11日の記者会見で、「複数の候補を比較検討し、メリットとデメリットを鑑みて、ダイナウィング工法を最適な工法と判断した」と説明した
二。 旭化成は11月13日の記者会見で、「ダイナウィング工法は三井住友が選択した。当社としてその選択が適切だったか否かを判断する立場にない」と説明。また「土丹層でダイナウィング工法を採用したケースはLaLa横浜1件だけで、特殊例である」と認めた
ここでも両社は互いにそっぽを向いている感じです。こういう状態では、両社に取材を申し込んだとしても回答を得られないでしょうから、独自に分析してみたいと思います。
初めに杭工法のイロハから説明します。杭工法は大きく「場所打ちコンクリート杭」と「既製コンクリート杭」などに分かれます。旭化成建材が開発したダイナウィング工法は後者に属し、「埋込み工法」→「プレボーリング工法」→「プレボーリング拡大根固め工法(※)」に分類されています。
■土丹層では拡大根固め部の強度が低下
次にダイナウィング工法の施工手順を見ておきましょう。
1. 機械(掘削ロッド)で地盤に穴を掘る
2. 機械が支持層の内部に達したら、その根元の部分の穴を拡大。セメントミルク(セメントと水を練り混ぜてできたミルク状のもの)を注入する
3. 機械を引き上げる
4. 既製コンクリート杭を埋込む
5. 杭の根元の部分(根固め部)をセメントミルクで定着する(固める)
1番から4番までは、コンクリート杭は土(茶色)と接しています。しかし5番では、コンクリート杭の根固め部(先端部)がぐるりとセメントミルク(灰色)で固められて、ひと回り太くなっています。このようにひと回り太くなっている根固め部を「拡大根固め部」といいます。それゆえに、ダイナウィング工法は「プレボーリング拡大根固め工法」と呼ばれるのです。
この拡大根固め部は、建物の重量を既製コンクリート杭を経由して支持層に伝える重要な部分なので、それに耐えられるように十分な強度を有していなければなりません。
ここで注意しなければならないのは、主に二番目のプロセスです。注入したセメントミルクをかき混ぜている最中に、そのセメントミルクは、地盤から削り取られた土砂と混じり合ってしまいます。セメントミルクと土砂の混合物を「ソイルセメント」といいます。ソイルとは土壌という意味です。
ソイルセメント=セメントミルク+ソイル(土壌)
この式を見ると分かりますが、ソイルセメントの強度は工事中に混入した土壌の性質に大きく左右されてしまうのです。ダイナウィング工法は大臣認定・評定を受ける際に、支持層を砂質地盤および礫質地盤に限定していました。つまり砂と礫ならソイルセメントは必要な強度を満たしていることになります。しかし土丹層(硬質粘土層)に関しては、ソイルセメントが必要な強度を満たしているかどうかは分からないのです。
念のために土の種類をまとめておきましょう。土は粒子の大きさによって粘土、シルト、砂、礫、石に分かれます。
粘土の粒子は、砂の粒子の「約100分の1」程度の大きさしかありません。これほどの差があるわけですから、必ず何らかの影響があると注意しなければなりません。
つまり、LaLa横浜(土丹層)の杭工事に、三井住友建設がダイナウィング工法を採用したのは、杭の専門家から見ると無謀な試みだったのです。
■LaLa横浜完成後にダイナウィング工法の弱点が発覚
ここからは歴史を追っていきます。ダイナウィング工法が開発された当時は、土丹層(硬質粘土層)に適用した場合、どのような不具合が発生するかよく分かっていませんでした。その後に複数の現場で欠陥が発見されたため、その原因と対処法が研究され、2013年には新たな施工管理方法が開発されたばかりでした。
すなわち、「ダイナウィング工法ミスマッチ」説を考えるときには、物事の時間経過がキーポイントになるのです。
【2004年3月】 旭化成建材がダイナウィング工法の大臣認定を受ける。
【2005年11月】 「パークシティLaLa横浜」の杭工事が始まる。
【2006年4月】 旭化成建材が「画期的な高支持力杭工法」として、ダイナウィング工法を本格展開。
【2007年8月】 日本建築学会がパネルディスカッション「あらためて杭の先端支持力を考える」を開催、「拡大根固め部の強度」が一つの焦点になる。当時はダイナウィング工法を含むプレボーリング拡大根固め工法を、土丹層に適用したケースは皆無に近い事実が確認された。
【2012年2月】 竹中工務店技術研究所主席研究員の土屋富男氏ほか2氏が、日本建築学会技術報告集に「高支持力埋込み杭の根固め部に対する施工管理の提案と実施例」と題する注目すべき論文を発表しました。このうち高支持力埋込み杭とは、ダイナウィング工法を含む「拡大根固め工法」を意味しています。
論文の内容を一般の人にも分かるように「翻訳」します。
・根固め部はソイルセメント(土壌+セメントミルク)で構成される
・支持地盤が粘土やシルトを含むと、ソイルセメントの強度が低下する傾向がある
・ソイルセメントの強度が低下すると、建物の重量を支えられないため、根固め部が損傷する危険性がある
・根固め部に注入するセメントミルクの量を増やすと、ソイルセメントの強度が上昇する
そもそもダイナウィング工法は、砂質地盤および礫質地盤に限定されていた工法でした。しかし三井住友はそれを無視。前例がほぼ皆無だったにもかかわらず、LaLa横浜では土丹層(硬質粘土層)に適用してしまいました。
するとどうなるのでしょうか。根固め部のソイルセメントの強度が低下して、建物の重量を支えきれずに、根固め部が損傷する危険性を否定できないのです。LaLa横浜の西棟が傾斜した一因はそこにあるのかもしれません。
■日建連の提案書とLaLa横浜の杭工事を比較
【2013年4月】 主要なゼネコンで構成される日本建設業連合会(日建連)は、「高支持力埋込み杭の根固め部の施工管理方法の提案――より良い杭を実現するために」と題する注目すべき提案書を公表しました。これは主にダイナウィング工法を含むプレボーリング工法を対象にしています。
担当したのは地盤基礎専門部会の中につくられた「高支持力埋込み杭根固め部の施工管理WG」で、その主査は先に紹介した竹中工務店技術研究所の土屋富男氏です。
提案書はまず杭の根固め部について、4つの注意事項を挙げています。
この注意事項に加えて、根固め部の築造に関してはさらに、「特に硬質粘性土(土丹)では、土を細粒化して混合攪拌工法とするか、細粒化した土を上に押し上げる置換に近い工法とするかを検討すべき」と明記しています。
これは神奈川県にある建設現場(支持層は土丹層)で、根固め部の強度が必要値を満たしていないケースがあったための配慮です。
4つの注意事項と、LaLa横浜の杭工事を比較してみましょう。
(1)杭の先端は地盤に所定量入っているか――西棟では8本の杭が十分に入っていない
(2)根固め部の形状・所定の径及が長さが確保されているか――西棟では8本の杭の長さが確保されていない
(3)根固め部の強度・所定強度が確保されているか――土丹層のため、セメントミルクと粒子の小さい粘土が混じり合って、ソイルセメントの強度が確保されていないと思われる。それに加えて、全体として45本の杭でセメントミルク量のデータが偽装されている
(4)根固め部への定着・根固め部への杭の根入れ長さは適切か――全体として38本の杭で支持層の位置データが流用されている
皆さんも感じたかもしれませんが、日建連の提案書はあたかも、LaLa横浜で行われた杭の施工不良問題に焦点を合わせたかのような内容になっているのです。
日建連の提案書には「根固め部の品質管理フローの提案」と題する図も掲載されています。
LaLa横浜は「工法毎の地盤に対する実績が十分でない場合」に相当するので、図中のAからJに示したすべてのチェックポイントで「合格」しなければなりません。
まず、Aで真っ先に「支持層が細粒分(粘土、シルト)かどうか」の調査を求めています。つまり土丹層(硬質粘土層)は要警戒地盤とされているのです。
次にBで「必要強度を満たすセメントミルク注入量」と「注入方法が設定できるか否か」の確認を求めています。粘土だとセメントミルクの量を増やす必要があるので、とても神経を使うのです。
そのためにCとDで「室内配合試験」をした上で、E「施工計画」を作成しなければなりません。さらにFとGとHで「施工試験」をしなければなりません。
その上で本坑の施工です。I「施工管理」をきちんと実施して、最後にJ「コア強度確認」という手順です。
なお、日建連は2015年12月に、「既製コンクリート杭施工管理指針(案)」を公表しました。その技術的な内容は、日建連の提案書を下敷きにしたものですので、ここでは省略します。
■載荷試験の恐るべき実態
三井住友はLaLa横浜の杭工事で、日建連の提案書が推奨するような品質管理を行っていたのでしょうか。
国交省杭対策委員会の「中間とりまとめ報告書」から、関連する部分を引用してみましょう。
「杭の設計に当たっては、三井住友が杭施工会社4社から相見積もりを求め、日立ハイテクノロジーズおよび旭化成から提案のあった工法が現地での載荷試験が必要であることを含めても優位であったため、当該工法が選定された」。
これに関しては旭化成・外部調査委員会がまとめた「中間報告書」(2016年1月8日)に、驚くような記述がありました。
一。 2005年12月9日─杭工事の着工。必要な機材の搬入を開始
二。 同年12月27日─本杭を施工
三。 2006年1月25日─杭の載荷試験
四。 2006年3月10日─杭工事の完了
「ダイナウィング工法」はそもそも、支持層を砂質地盤および礫質地盤に限定して国交大臣認定を取得しました。そのため、これを土丹層(硬質粘土層)に採用するためには、建築基準法施行令 93 条に従って、平成 13 年国土交通省告示第 1113 号第6が規定する載荷試験を実施しなければなりません。
物事の順番としては初めに載荷試験を実施し、そのデータに基づいて本番、すなわち杭工事に移行することになります。しかしLaLa横浜では順番が逆転しています。これでは安全が保てないだけではなく、告示第 1113 号第6の規定に違反しています。三井住友はなぜ、このような奇妙な行為をしたのでしょうか。
同社はおそらく、ダイナウィング工法が砂質地盤と礫層地盤に特化した工法である事実を、軽く見てしまったのでしょう。また土丹層に適用すると、技術的な難題が持ち上がることを、予想できなかったのでしょう。要するに、同社の技術者が油断していたがゆえに、工期と工費の面だけを考えて、間違って「優位」と判断してしまったと思われます。実に軽率な行為でした。
実際問題として、どのような載荷試験が行われたのでしょうか。LaLa横浜マンション管理組合に依頼して、2006年3月23日に三井住友がまとめた報告書「基礎杭の重錘落下方式による急速載荷試験」を見せてもらいました。そこには「2006年1月26日に実施した」とありますので、旭化成「中間報告書」が記載する2006年1月25日とは1日だけズレていますが、本坑を施工した後に行われた事実に変わりはありません。
試験杭の杭長は14mで、先端部がS杭、中間部がPHC杭、杭頭部がSC杭で構成されています。普通は杭を静かに押込むのですが、ここでは「重錘落下方式」といって、35トンの重錘(重り)を上から落とす方法で、支持層(土丹層)に打ち込みました。
すると、どうなったのでしょうか。計画では約1万2000kNの力を加える予定だったのですが、約9000kNの力を加えた段階で、地中部に押込まれていたPHC杭(既製コンクリート杭)が破壊してしまったと記されています。ずいぶん大変な試験だったようです。
私が注目したのは、日建連の提案書に示された「根固め部の品質管理」、すなわち「細粒分(粘土)の影響を考慮したセメントミルク注入量の設定」、「そのタイムサイクル(一つの工程に要する時間)の設定」、「根固め部のソイルセメントの強度確認」なのですが、そんな内容はどこにも書かれていません。
これでは100点満点の0点です。誰の眼から見ても不合格です。
■試験杭でもソイルセメント問題には無対策
国交省「中間とりまとめ報告書」の記述を続けます。「杭長等については、三井住友が地盤調査の結果をもとに支持地盤を決定し、旭化成が基礎の工法種別、位置、形状等を定め、その結果をもとに三井住友が構造図を作成した」。
「施工の前には、三井住友から日立ハイテクノロジーズおよび旭化成に対して、地盤調査結果や杭の設計条件、支持層に関する情報が提供されており、各社ともに、支持層の急傾斜があるものの施工が難しい地盤ではないと認識していた。ただし、三井住友から日立および旭化成に対して地中の詳細な情報の提供がなされていたかは確認できていない」。
「三井住友は10本ある試験杭の施工に立ち会って、施工手順や支持層への到達を確認していた」。
この中で次に注目したいのは、「10本ある試験杭」の詳細な内容です。これに関して、旭化成「中間報告書」は次のように述べています。
「各棟の施工の最初に、試験杭を打った。まず地中の掘削を行い、杭打ち機材の先端にあるビットに付着した土を分析して、地中の土質が地盤調査結果と一致するか、支持層が事前の想定通りの深さに存在するか否かを確認する。そして、その後、通常の杭工事と同様に、杭を埋設するという手順となる」。
以上のように、試験杭に関しても、三井住友はダイナウィング工法の弱点を補うための対策を、まったく取っていなかったのです。
そもそもLaLa横浜の杭工事が始まったのは2005年11月です。けれども日本建築学会がパネルディスカッション「あらためて杭の先端支持力を考える」を開催し、「拡大根固め部の強度」を詳しく分析した2007年8月当時は、土丹層での実施例が皆無に近いとされていました。つまり2005年11月の技術レベルは、日建連の提案書が求める「根固め部の品質管理フロー」の水準に達していないのです。
しかも現時点においても、ダイナウィング工法の3000件超の実績のうち、土丹層での実施例はLaLa横浜だけとされています。要するに三井住友による「ダイナウィング工法」選択は、無謀な試みだったのです。
遺憾なことに国交省「中間とりまとめ報告書 」には、「ダイナウィング工法ミスマッチ」説に関する詳しい分析は記述されていません。いずれ作成されるであろう「最終報告書」には、その点を補充するように期待したいのですが、さて……。
(後編に続く)
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