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東京・港区民の平均所得は9百万円!足立区の3倍 学歴、年収も驚愕の23区間格差…(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/417.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 13 日 00:36:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

            港区・六本木界隈(「Wikipedia」より/Chris 73)


東京・港区民の平均所得は9百万円!足立区の3倍 学歴、年収も驚愕の23区間格差…
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13269.html
2016.01.13 文=末吉陽子 Business Journal


 富と情報、人が集中する日本の首都・東京。特に「東京23区」と呼ばれる特別区は、全国の多くの自治体の中でも1人勝ちといっていいエリアだ。しかし、ひと口に23区といっても、大使館や有名企業の本社が集結している港区、最新のファッショントレンドを発信する渋谷区、町工場が点在する墨田区や大田区など、それぞれ特色が異なり、さらに居住者の年収や学歴、職業などによって、23区間に大きな「格差」が生じているという。

 なぜ区によって所得水準などの格差が生まれるのだろうか。23区間の格差をデータから読み解いた話題の本『23区格差』(中公新書ラクレ)の著者で、一般社団法人東京23区研究所所長の池田利道氏に話を聞いた。

■23区の格差は江戸時代の大名屋敷が原因?

 2012年の総務省調査データを見ると、23区の平均所得水準は429万円で、全国平均の321万円の1.3倍以上である。そのなかでも、群を抜いているのが港区の904万円で、続いて千代田区の763万円、渋谷区の684万円がトップ3となっている。そして、最下位となった足立区の所得水準は全国平均とほぼ同じ323万円で、あくまでも区間だけで比較するとトップの港区と約2.7倍の差が開いた。

 池田氏によれば、「年収」「学歴」「職業」の3つを共通項とした際、すべての項目で上位にランクインする“勝ち組”と呼べるのは、港区、千代田区、中央区、文京区などの都心部、そして渋谷区、目黒区、世田谷あたりの西南部だという。なぜこれらの区が勝ち組になり得たのだろうか。

 池田氏は、「実は、都心に高学歴や高所得者が住むというのは、世界的にはあまり一般的なことではありません」と指摘する。

「ニューヨークやパリ、ロンドンを見てもわかりますが、海外の場合、都心部はスラムとまではいかなくても、低所得者や現場労働者、移民が住むケースがほとんどです。では、なぜ東京だけが都心に高級住宅街が立地したのか。それは、江戸時代に建てられた“大名屋敷”の存在なくしては語れません。六本木ヒルズや赤坂サカス、東京大学など、こういった場所はすべて大名屋敷の跡地です。そのため近代化以降、まとまった土地を使った開発が可能になったのです」(池田氏)

 また、渋谷区や目黒区、世田谷区の場合、大正後期から昭和初期に起きた東京の大膨張にあたり、いち早く鉄道が敷かれ、住宅開発が進んだことも大きいという。

「つまり、東京都心に勝ち組の区が集まったのは、豊かなストックをベースに、非凡な人達が住む街になったことが理由と考えられます」

■技術力を押し出せば負け組の区でもチャンスあり

 こうした歴史的な背景によって生まれた23区の格差は、ずっとこのまま固定され続けてしまうのか。池田氏によれば、現在は所得水準の低い区でも、やり方によっては上位の区を追い抜く下剋上的な発展も可能だという。

「都市は“ものづくり”を土台に発展していくという側面を持っています。以前、あるセミナーで『ソフトのないハードは意味がない。しかし、ソフトがハードを超えることは絶対にできない』という言葉を耳にしたことがあります。たとえば、莫大な富を生み出すIT業界のリーディングカンパニーが集まる、米シリコンバレーを例にとってみるとわかりやすいです。

 かつてスタンフォード大学の同級生だったウィリアム・ヒューレットとデイヴィッド・パッカードが、大学の周辺でヒューレット・パッカードを創業した頃、その後同じ地域に電子産業の元になる会社を設立した学生や若者たちがこぞって集まってきました。この地域が後にシリコンバレーと呼ばれるようになり、アップルやグーグル、フェイスブックといった企業が集積する一大拠点に成長したのです」(同)

 シリコンバレーのように、技術力という個性を前面に押し出せば、“負け組”の区も巻き返しが可能になるかもしれない。ちなみに、技術者や研究者が多い区のトップ3は、大田区、品川区、江東区だ。品川区の所得水準は400万円台前半、大田区と江東区は300万円台である。

「情報産業やライフサイエンス、バイオなど、どの産業を例にとっても高度な技術技能がなければ花開きません。その技術は、まだ職人の手作業によって担保されています。大田区や品川区、江東区が培ってきた技術力は、ある意味シリコンバレーよりも強いと思います。

 東京が将来にわたって都市としてのブランドを持ち続け発展していくためにも、ものづくりを残していくことが大事です。ブランド区になれるかどうかはわかりませんが、ものづくりの伝統をしっかり残している区というのは、世の中が変革するときでも、したたかに生き残っていけるのではないでしょうか」

 これからは、港区、渋谷区といったブランド力だけではなく、より確かな技術力を持つ区が東京の発展を牽引していく時代となるのかもしれない。

(文=末吉陽子)

 

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コメント
 
1. 2016年1月14日 05:36:07 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[143]
2016年1月13日 池田利道 [一般社団法人東京23区研究所 所長]
東京23区「学歴格差」ランキング 進学率トップは渋谷区、最下位はどこ?
池田利道・東京23区研究所所長
受験シーズンを前に知っておきたい
東京23区の気になる「学歴格差」
東京23区には、地域によって大きな「学歴格差」が存在する。受験シーズンを迎える今、わが子の進学を考える親にとっては気になるところだ
 大卒者が多い千代田区、短大卒者が多い世田谷区、そして高卒者が多い足立区――。これらは、東京23区を「住民の学歴構成」というポイントから見た際の特徴である。後ほど詳述するが、これらの事実は『国勢調査』のデータが基になっている。
 日本の自治体の中で「一人勝ち」と揶揄される東京23区にも、実は大きな「格差」が存在している。その一例が、筆者が先日、ダイヤモンド・オンラインに寄稿した記事「港区の所得水準は足立区の3倍!?東京23区『びっくり格差』ランキング」だ。当記事は、東京23区における意外な「所得格差」について述べたものだった。「その所得格差はトップの区と最下位の区で3倍」というデータに、衝撃を覚えた読者も多かったようだ。
 しかし、所得同様、如実にその格差が現れる数値がある。それが「学歴」なのである。一極集中が進んでいるはずの東京にも、大きな格差が存在していることがここからも見えてくる。

 我々一般社団法人東京23区研究所は、常日頃から調査・研究、データベースの構築などを通じて、東京23区に関する情報を提供している。その研究成果をまとめ、昨年、著書『23区格差』(中公新書ラクレ)を上梓した。お蔭様で、1月4日現在“6刷”と好評をいただいている。これは、自分の住んでいる地域が他の地域と比べてどんな特徴を持っているのか知りたいという、読者のごく自然な欲求にマッチしたからだと考える。
 むろん、「格差」という言葉に抵抗感を覚える読者もいるだろう。筆者としても、格差全てを肯定するつもりはない。しかし、東京においては、格差によってそれぞれの地域に「個性」が生まれていることも事実だ。たとえば人々は、所得水準が高く富裕層が多そうな地域にばかり集まるわけではない。所得ランキングで下位に位置する地域の庶民的な雰囲気に魅力を感じ、そこを選んで居住する人もたくさんいるだろう。格差を知ることは、その地域の魅力を再発見することにつながるのだ。筆者は日々そんなことを考えながら、東京23区の実態を研究している。
 今回は、間もなく本番を迎える受験シーズンに合わせ、世間の注目度が高いと思われる東京23区の「学歴格差」について、拙著『23区格差』の中で紹介した内容を基に、そのトレンドを紹介したい。大学入試も1月16、17日に予定されているセンター試験を皮切りに、いよいよ佳境を迎える。お隣の韓国ほどではないにせよ、受験生本人はもとより、受験生を抱える家族にとっても、ピリピリ・ハラハラがしばらく続くのではないだろうか。
 孟子の母は子どもが勉強に励むよう三度住まいを変えた、という故事はよく知られている。はたして現代の東京でも、「孟母三遷」は通用するだろうか。自分が住んでいる区の住民の学歴のトレンドを知ることは、「“我が子”をこれからどう育てたいか」と考える読者にとって、1つの指標になるはずだ。
大卒者の割合は渋谷区と
足立区で実に「2倍の格差」
 まずは、【図表1】をご覧いただきたい。これは文部科学省の『学校基本調査』による、2014年3月の高校卒業者の大学・短大進学率(以下、「進学率」と略称する)を、東京23区別に記したものである。なお、データは高校の所在地ベースでの集計であり、居住地別の集計ではないが、大きな傾向は両者に共通していると考えていいだろう。

 図を見て最初に目を見張るのは、トップの渋谷区と最下位の足立区との間におよそ2倍の差があることではないだろうか。今や、「大学全入時代」と言われる。一部のエリート校は別にして、望めばほとんどの人が大学に進学できる。にもかかわらず、狭い東京23区では進学率に大きな格差が存在しているということがわかる。

 ちなみに、47都道府県の最下位は沖縄県の37.7%。ただし沖縄県には離島のハンデがあることはご存じのとおり。琉球大学など県内に大学はあるにせよ、そのキャパは限られており、県外の大学に進学しようとすれば、どうしても親元を離れての生活を強いられる。周辺に多くの大学が存在するはずの足立区の進学率は、その沖縄県と大差がないのだ。
 改めて大学・短大進学率ランキングを見ると、渋谷、千代田、港、文京、杉並などのいわゆる「ブランド区」が上位を占めていることがわかる。一方、進学率が低い方には、足立、葛飾、荒川、大田、台東と、東京の東部、あるいは下町の各区が並ぶ。
 いったい、なぜこのような「格差」が生じるのだろうか。このランキングを見るとき、考慮してほしい事実がある。それは、私立高校と公立高校では進学率に大きな差があることだ。23区内では私立高校は特定の区にかなり偏在して存在している。そして、2014年3月卒業生の23区平均進学率は、私立の76.3%に対し、公立は50.4%にとどまっている。
 また、大学側が立地に対して強いブランド志向を持つことについては、拙著『23区格差』で詳しく記した。2013年に文系学部を渋谷に回帰させた青山学院大学然り、八王子移転の先鞭を切ったものの、一転法学部の後楽園(文京区)移転を目指す中央大学然り。これらの動きは、少子化が進むなか、やむにやまれぬ大学の先祖返りを物語っている。
 過去30年以上にわたり、東大合格者数のトップを走り続ける開成高校は荒川区にあるが、基本的には有名私立高校も、大学と同様、高ブランド区に集まっている。このため、所在地ベースで見た高校生の進学率は、ある程度、街のブランドの高低と連動していることがわかる。
 ならば公立高校に限ると、その差は縮まるのだろうか。トップはダントツで目黒区の78.5%。最下位の葛飾・荒川両区は29.0%。両者の開きは実に3倍にまで達する。21位の足立区(29.8%)も、目黒区との差は2.5倍を超える。むしろ公立高校の方が、その差は広がっている。この事実からは、私立高校の集積だけでは説明できない、より構造的な「進学格差」が存在していることがうかがえる。
大卒者は中心部、短大卒者は西部、
高卒者は東部に多い23区の学歴構成
 次の【図表2】に、2010年の『国勢調査』の結果に基づく23区の学歴構成を示した。それぞれ上下7区ずつをピックアップしたが、大きな構造はこれで理解することができる。なお、大卒(大学院を含む)と高卒は男女間に大きな差がないことから、男女の合計値を記した。一方、短大卒は圧倒的に女性が多いことから、女性だけに限って記している。

 このデータを目にすれば、各区が存在する場所に伴い、大きな差が生じているのが一層際立ってわかるのではないだろうか。大卒者の割合は中心区で高く、山の手住宅区がこれに次ぎ、東部各区が低い。これは所得水準の構成とほぼ一致する。「高学歴と高所得」は深く結びついていることを示している。
 逆に、高卒者の割合は東部で高く、中心部で低い。一方、短大卒は西部山の手地区が上位を独占する。こうして見ると、大卒の中心部、短大卒の西部、高卒の東部と、東京には相当根の深い学歴階層社会が形成されていることがわかる。
親の「学歴」「所得」と
子の「進学率」は比例しない?
 以上の分析を踏まえ、ここで1つの「仮説」を検証してみよう。「親の学歴と子の進学率は比例するのではないか」というものだ。もしそうだとすると、「足立区は学歴が低いから進学率も低い」ということになるだろう。しかし、答えはそう単純ではない。
 23区最低であるはずの足立区の大卒者の割合も、47都道府県で比べれば上位である11位の滋賀県(20.0%)に匹敵する。この数値は“九州の雄”、福岡県(18.8%)を上回る。
 同様に、「所得水準が低いから進学率が低くなる」という仮説も検証してみよう。実はこちらも成立しない。足立区の平均所得水準(323万円)は、東京と並ぶ高進学県である京都府の所得水準(319万円)、さらに同府の人口の過半を占める京都市の所得水準(332万円)と大きく変わらないからだ。
『学校基本調査』によるわが国全体の2014年3月高卒者の平均進学率は、53.8%。東京都の進学率は66.1%。確かに47都道府県のトップだが、2位の京都府(65.6%)とは「厘差」。男子に限れば、東京都は62.6%、京都府は62.9%と順位が逆転する。東京23区に絞っても、66.7%。所得水準に見られるような圧倒的な優位性は影を潜める。
 しかも、公立高校と私立高校の生徒の割合は、全国平均が69%と31%であるのに比べ、東京23区は36%と62%(残る2%は国立高校)。進学率の高い私立高校が多いことを差し引くと、東京の優位性はさらに割り引かれていいだろう。実際、公立高校に限った進学率となれば、全国平均の49.2%に対し東京23区は50.4%で、両者にほとんど差がないと言える。
 では、そもそも東京23区の進学率は全国的に見てどんなトレンドがあるのか。文部科学省のデータ(元データはOECD「Education at a Glance2012」)によると、OECD加盟国の平均大学進学率(留学生を除く2010年値、以下同)は62%。日本は51%で、公表されている31ヵ国中22位にとどまる。ちなみに韓国は71%で、日本より20ポイントも高い。さらに、世界各国で大学進学率が年々上昇しているのに対し、わが国だけは近年頭打ちの状態が続いている。
 日本と世界の主要国の大学進学率には、中退率が異なることや教育制度が異なることなど単純に比較できない面もある。しかし、少子化で分母が減っており、かつ「大学全入時代」を迎えているにもかかわらず、先進国の中で高いとは言えない大学進学率が上昇しない日本は、進学に対して独自の価値意識が存在していると考えるべきなのではないだろうか。
 2014年3月に卒業した全国の高校生の進路は、大学・短大への進学が54%、専門学校が17%、予備校や外国語学校などの各種学校等が5%、これに公共職業能力開発施設を加えた広義の進学者が77%、就職(働きながら学ぶ人を除く)が17%、その他が6%だった。
 東京23区では大学・短大進学率が67%に上り、専門学校は12%とやや低いものの、広義の進学者は85%を占める。一方で大学・短大への進学率が低い東部3区は専門学校への進学率が20%を超え、なかでも足立区は25%を数える。大学・短大か専門学校かは別にして、「進学」という大きな枠組みの中ではバランスが取れているようにも思われる。
東京の「懐の深さ」が見えてくる
薄っぺらな学歴社会でない23区の姿
 ここまで分析してきたように、少なくとも東京は画一的で薄っぺらな学歴社会ではない、ということをご理解いただけたと思う。
 昨年末、大きな話題を呼んだTBS系ドラマ『下町ロケット』。主人公の佃航平が率いる佃製作所でロケットや人工臓器に欠かせない超精密部品の製造に取り組む彼らの誇り、それは「穴を開ける」「削る」「磨く」といった、大学とは縁遠い、むしろ専門学校で学ぶべき技術・ノウハウに立脚していた。と同時に、彼らの前に立ち塞がる抵抗勢力たちは明らかに高学歴者であり、その性質が画一的であるがゆえにビジネスの未来が見通せなくなった、という構図が見え隠れしている。
 もちろん『下町ロケット』は、原作者である池井戸潤氏の創作ではあるが、そのモデルは東京のそこかしこにある、ごくありふれた中小企業の姿に他ならない。そんな彼らの存在こそが、わが国の今を支え、未来を切り開いていく上で欠かせない原動力となっている。『下町ロケット』が多くの人々の心を打った根底には、この事実への“共感”が存在しているのではないだろうか。
 なるほど、学歴階層社会は存在するかもしれない。が、それは決して優劣を意味するものではない。むしろ、地域や住民の個性を際立たせてくれる存在なのだ。冒頭で述べたように、格差を知ることはその地域の魅力を再発見することにもつながる。そんな東京の懐の深さが23区の「学歴格差」からは見えてくる。読者諸氏は何を感じただろうか。
http://diamond.jp/articles/print/84467 


土地は“手放した者勝ち”となった
相続人や経営者が納得の土地売却をするための方法
2016年1月14日(木)沖 有人

 10年で17%下がった全国の土地価格が、今後はさらに下がる、と予測する不動産コンサルタントの沖有人氏。近著『経営者の手取り収入を3倍にする不動産戦略』では、そうした環境下でも不動産の持つ特徴を上手に生かして、経営課題の解決に役立てる方法を伝授している。不透明な印象が強い不動産取引の実際をビッグデータを駆使して明らかにし、顧客の利益を第一にする取引を普及させたいという。沖氏がこれからの不動産戦略を伝授する連載の第1回は、地価が下落するトレンドを再検証するとともに、その中でも有利に土地を売るための方法を解説する。
 全国の土地価格はここ10年で平均17%下がりました。これが日本の現実です。
  「不動産は持っておけば、資産価値が上がるものだ」という土地神話は終わりました。バブル景気の崩壊を境に、不動産の価値に対する考え方は大きく変わっています。時代は大きく変わっているのに、昔の土地神話にしばられている人が少なくありません。
 本コラムをお読みの方は理解していても「土地神話」に縛られている親を説得するのが難しいという方は多いと思います。相続・事業承継によって資産が引き継がれる中で、的確な判断をしていただくための判断軸と判断材料を提供するのが本連載の主旨です。
過去10年の土地価格と人口の関係

47都道府県の過去10年の土地価格の動きと人口の増減の相関関係を示したもの。東京都が一番右の点で、唯一、人口も地価もプラスになっている
(出典)国土交通省地価公示と総務省人口推計からスタイルアクト作成
[画像のクリックで拡大表示]
 このグラフは、過去10年の土地価格の動きと人口の増減の相関関係を示したものです。10年で地価が2%上がっている東京都では、人口も約7%増えていますが、大半の県では人口が減り、地価も下がっています。2%上がっている東京でも固定資産税等を払えば、資産保有の収支はトントンです。
 この地価と人口のトレンド線は、人口が減っているところほど地価が下がりやすいことをはっきりと示しています。逆に言えば、人口が増えるところほど地価は維持されやすいということが分かります。出生人口よりも死亡人口が多い日本では不動産を買う人よりも売る人が多くなります。人口が不動産の需給バランスを決めているのです。
 保有すべき土地は人口が増えているところに限るわけですが、今は増えていても10年後、20年後も人口が増えなければ、土地を保有し続けるほど収支が悪化することになります。
 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の人口はすでに右肩下がりで、これから下げ幅が拡大していきます。2010〜15年で下がり始めて、下げ幅は拡大していき、増えることはありません。今から50年後の2066年には8000万人ほどで4600万人も減り、100年後の2110年には日本の総人口は4300万人弱で、今の人口の1/3ほどになってしまいます。
 次の表にあるように、都道府県別の地価の10年トレンドの表を見ると、今後地価が上がるのは東京都だけで、それ以外の道府県はすべてマイナスになっているのが分かります。
過去10年の土地価格の推移

※10年前を100%とした場合の現在の地価水準が今後も続くと仮定した場合の将来の地価水準
 10年複利で計算している
(出典)国土交通省地価公示からスタイルアクト作成
[画像のクリックで拡大表示]
土地価格は長期的に大幅に下がる
 この表は、10年前の何%まで地価が下がったか(上がったか)を基に、これからの50年間を予測しています。人口が増えるであろう東京都は2%ずつ地価が上がっていて、50年後は資産価値が10%増える計算になり、持っていても良い資産となります。逆に大きく下がっているのは徳島県です。この10年間で40%も下がっていて、50年後は現在の8%の価値しかなくなると予測できます。
 これに加えて、不動産資産には、固定資産税と都市計画税(一部地域を除く)として課税評価額の1.7%が毎年課税されます。つまり、東京都以外は資産価値の目減りと税金を合わせて、毎年3%以上のロスを生み続けるのです。
 過疎や人口減により、このような物件が全国で増え、今後社会問題になることが予想されます。国や地方もこうした土地を引き取ってはくれません。売るに売れない不動産にも、切り離すことができなければ税金を払い続けなければならないのです。いずれタダでも買ってくれない土地が大量に生まれることでしょう。
残す資産を決める5つの理由
 個人でも法人でも「なんとなく大事に」持っているだけでは、土地はリスクになる一方です。
 土地を守ろうとする人は「創業の地」や「おじいちゃんが大切に守っていた」など、土地に本来なかったレッテルを貼りがちです。
 不動産をたくさん持っている人は、「これは絶対に手放さない」など、最初の段階で残す資産を決め、それ以外のものに対しては、気持ちも切り離したほうがすっきりします。
 「思い切り」という言葉から分かるように、思いを切らなければ、前に進めません。客観的に残すべき理由は、5つあると考えています。
1. 人口増加エリア
2. 再開発エリア
3. 観光客の増加エリア
4. 災害リスクが低い土地(震災や河川の氾濫など)
5. 容積率200%以上で高度利用できる土地
 これらに該当しないのなら、残したい理由をはっきりさせるべきです。
 土地を売る場合に、最も難しいのが相続のケースと言われています。
 相続が発生すると、その10カ月後に相続税の申告・納税をしなければなりません。昔は土地を物納することもありましたが、バブル崩壊後の地価が下がっている中、物納をすることがほぼ許されなくなりました。四十九日を過ぎるまでは契約行為は縁起でもないと考えると、残りの期間は8カ月ほどになります。納税に遅れることなく売却を済ますには売り方がとても重要になってきます。
土地を売るのは容易ではない
 そこで、あわてて売ろうとすると一族の間でもめ事になりがちです。
 「あんな業者に依頼するよりも、私の知り合いの方がいい」とか、「もっと高く売れるはずなのに、あんな安く売ってしまって」とか、共有の資産に手を出すと、いわゆる「争族」の始まりになります。いちどこの争族が始まると、修復は不可能です。1人が弁護士を立てたら、ほかも立てることになり、お互いが話し合うことはなくなります。第三者が円満に寄りを戻させた事例を私は見たことがありません。争族にならないためにも売り方には関係者の納得が必要になります。
 この難問を解決するために開発された方法があります。売却の結果として、3つの特徴がはっきりしています。
• 相場より2割ほど高く売れる
• 3カ月で確実に換金可能
• 売れた後に売り主間でもめない
 この結果を生み出す方法を説明しましょう。まず売却の依頼を受けたら、土地を買うことを仕事としている事業者(例えば、マンションやアパートや戸建ての開発事業者がこれに当たります)で購入可能性があるすべての会社100社程度に持ち込んで検討してもらいます。持ち込む先は、エリアや土地の特徴(例:高いものが建てられるか? 道路との接し方は広いか?)によって決まりますが、全国で数千社の買い手がいる中から絞り込みます。ここで大事なのは情報がその会社以外に漏れないことなので、守秘義務は厳にやってもらっています。
 土地情報が持ち込まれた事業者100社の中には土地の仕入れ目標が未達の会社が2〜3社あります。こうした会社を業界用語で「お腹がすいている」と言います。こうした会社は多少高くても買ってくれます。そうした数社に最後にオークションをしてもらいます。こうして期日までに高値で売り切ることができるのです。相続人に随時状況報告をしながら公明正大に取引を行うため、もめることがないのです。この方法は広告をして待っているのはなく、丹念に100社ほどを廻らないといけないので、かなり労力がかかる仕事になります。
 こうして、売却できると、分割できない不動産が換金されて分割可能な現金資産となり、差し迫った納税申告期限までに納税資金が用意でき、取引に悔いを残さず、家族間でもめることもなくなります。
 こうした売り方を私たちの場合は「スタイルランド」と呼んでいます。実際にやるには、事業者が買うような規模感の土地であることや事業者目線での価格査定をしてみる必要があります。
 日本には空き家が800万戸以上あることが国の調査で判明しています。高齢者の持ち家率が80%と高いために、今後も増え続けることは予想に難くないでしょう。これに対して政府も対策に本腰を入れています。2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」を制定しています。この法律の大きなポイントは、「特定空き家」として認定されると、土地の固定資産税が最大6倍になることとなり、空き家を放置することが許されなくなりつつあることです。
 また、実家を相続する人には朗報が15年の年末にありました。16年の税制改正が閣議決定され、相続した土地売却の税負担がゼロになる道がひらかれました。相続して3年以内に建物や土地を売却した場合に譲渡所得から3000万円を特別控除するとしており、最大3000万円×20%=600万円の税金が軽減されます。これも空き家の売却を促す意図があります。
2018年までに売らなければいけない理由
 私は、将来も残す不動産以外は、2018年までに売ってしまうことを勧めています。その最大の根拠は「金融緩和=不動産価格上昇」だからです。
 アベノミクスの3本の矢の1本が「金融緩和」です。日本銀行の黒田東彦総裁は、任期の18年まではインフレターゲット2%を達成するまで金融緩和を続行すると宣言しています。
 日銀の金融緩和により、銀行は貸出先を増やしたいと考えます。貸出先は、担保が取れる資産、つまり不動産へのローンを増やします。その結果、自己資金が少なくても多額の不動産を買えるようになり、不動産価格が上昇するのです。
賃貸住宅価格と貸し出し態度指数

不動産への資金供給量から今後の取引価格を推計することが可能
(出典)日本銀行、日本不動産研究所よりスタイルアクト作成
[画像のクリックで拡大表示]
 日銀の短観には、どういった業種に貸し出しを増やしているかが分かる貸出態度指数という統計があります。これと投資用不動産価格は高い相関を示しています。
 金融緩和が行われているから、不動産価格が高いのです。黒田総裁が辞めた後は、どうなるか分かりません。金融引き締めとなれば、まず土地価格から下がっていきます。都市部の中心や駅に近いマンションの価格は下がりませんが、土地は郊外や地方など日本全国にあって供給が多いので、下げるペースが速くなります。2020年の東京オリンピックまでは大丈夫などと、悠長なことは言っていられないのです。
経営者としての判断を下す時が来た
 不動産投資では、オーナー(物件所有者)というよりも経営者の視点を持ちなさいとよく言われます。空き家・空き地問題についてもこのタイミングで経営者としての意思決定を明確に行う必要があります。
 その際の基本スタンスは、地価が人口とともに下がり、税制が売却を促進している中で、売るなら2018年までに処分した方がいい、と書きました。特段の理由がない場合は「なるべく早く」という話になるでしょうし、法人の場合には相殺できる利益や損失が出る場合にタイミングに合わせて行うことになるでしょう。
 いずれにしても、判断軸と判断材料を提示したので、決める準備はできました。売却の際には、「納得」の取引をしてもらいたいものです。取引事例はその当事者だけに関わるものではなく、次の取引の価格根拠になるものです。ゆえに、自分勝手に安く売っていいという話にはなりません。いくら日本の人口が減るとしても、日本全体の資産価値を安易に下げるのは国民の資産の喪失につながると考えてもらいたいものです。
経営課題の解決に役立つ、不動産の活用法を満載

 本コラムの著者、沖有人氏の最新刊『経営者の手取り収入を3倍にする不動産戦略』を発刊しました。これからの不動産を取り巻くメガトレンドを踏まえつつ、不動産が持つ固有の特徴や、それを生かした経営課題の解決法をやさしく解説しています。多額の減価償却の使い方、タワーマンション節税、相続税評価の下げ方、役員報酬の上げ方、そして手取り収入を増やすタックスマネジメントまで、著者が実績を上げている具体的な手法をまとめました。詳しくはこちらまで。



経営者の手取り収入を3倍にする不動産戦略
「土地は大切な資産だから」と後生大事に抱え込んでいませんか? 地価が長期下落局面に入った今、持っているだけの土地はリスク要因でしかありません。一方、そんな状況下でも不動産固有の特徴を生かせば、決算、税務、事業承継など様々な面で企業経営に大きなメリットを生み出せます。そこで不動産業界で長年、コンサルタントを務める著者が、法人が不動産を使ってキャッシュフローを最大化する方法をお教えします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16nv/011300001/011300002/?ST=print 

 
五輪で生まれ変わるベイエリア、「孤島化」を防げ
シリーズ:変わる東京(5)
2016年1月14日(木)鵜飼 秀徳

東京五輪関連施設の建設が数多く計画されているベイエリア──。にぎわいの創出が期待される一方、五輪後の「失速」を懸念する声も上がる。五輪後も活気ある街として継続できるか。ある構想が明暗のカギを握る。

臨海副都心の青海地区に開業する独BMWのショールームの完成予想イメージ

建設現場では、既に工事の準備が着々と進められている
 「東京五輪を控え、非常なる期待を感じている。満を持してこの地への進出を決めた。都心からわずか10分の距離にあるこのエリアで、これほどの広大な敷地を用意できるところはベイエリアを除いてほかにない」
 ドイツの高級車メーカー、BMW東京・大阪プロジェクトディレクターの伊集院正行氏はこう力を込めて語る。
 同社は昨年、お台場のフジテレビジョン本社の近くに、敷地面積が約2万7000平方メートルと同社で世界最大級の規模を持つショールームの出店を決めた。開業は来年夏の予定だ。最大の目玉は同社が展開するBMWとMINIの2つのブランドの全ラインアップ(約50車種)が試乗できること。試乗体験者はショールームから出発し、レインボーブリッジを含む高速道路走行を堪能できる。ブレーキング講習会などにも対応できるコースも用意する。
BMWショールームの位置

大震災後2年で「みそぎ」
 お台場と言えば、「雑草の生えた広大な空き地」が広がる場所というイメージを抱く人も多いだろう。1995年に東京都知事選で青島幸男氏が当選。公約を守って、お台場を中心とする臨海副都心で開催される予定だった世界都市博覧会を中止すると、開発の流れはピタリと止まった。フジテレビが97年に本社を移転し、一時は注目を浴びた時期もあった。だが2000年以降は都心の再開発事業にお株を奪われ、話題に上ることはあまりなかった。
 その臨海副都心と呼ばれるベイエリアの開発が今、にわかに動き始めている。2020年に開催される東京五輪の選手村や競技会場の多くが建設されるからだ。環状2号線の延伸(新橋〜豊洲間、2016年開通予定)などの交通インフラの整備も見込んで、商業施設や宅地の開発を手掛けるデベロッパーがベイエリアに秋波を送っている。

(写真=川澄・小林研二写真事務所)
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船の科学館に近い場所では豪華客船が停泊できる埠頭が整備される(上が予定地)。下は建設中の豊洲新市場
 「ベイエリアにおけるマンションの供給は、2011年3月の東日本大震災以降、2年間近くストップしていた。豊洲に野村不動産の『プラウドタワー東雲』が2012年暮れに誕生したのを皮切りに、次々と物件が売れ始めた」。不動産コンサルティング会社、スタイルアクトの沖有人代表はこう語る。
 不動産調査会社の東京カンテイによると、今後ベイエリアで供給される分譲マンションの戸数は、判明しているだけでも1万戸に及ぶ(選手村跡地の利用は除く)。「東京五輪を契機にマンション開発は継続すると見られ、特に開発余地の多いベイエリアでは供給が加速するだろう」(東京カンテイ)。
 歴史を遡れば1590(天正18)年、江戸の民の居住地とゴミ捨て場を確保するために始まった東京湾の埋め立て。それから425年が経過した今でも埋め立ては継続中で、その面積は東京23区の面積の約13%(約7000ヘクタール、都外のエリアは除く)にまで広がっている。まさに今、広大な埋め立て地が「ニュータウン」として生まれ変わろうとしている。五輪施設と言えば新宿区と渋谷区にまたいで造られる新国立競技場に注目が集まっているが、規模で言えばベイエリアの方が上。見えざるところで次々と大型プロジェクトが動き出している。
1万7000人を収容する選手村
 五輪関連では選手村を筆頭に、競技施設が複数建設される。水泳会場となるオリンピックアクアティクスセンターや、バレーボール会場となる有明アリーナなどだ。
ベイエリアで予定されている東京五輪競技会場

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 現在の晴海埠頭のある一角(晴海4〜5丁目)に造成される選手村は、高度成長期のニュータウン造成を彷彿させる大規模なもの。14〜17階建ての宿泊棟が計22棟。そこには各国の選手1万7000人が収容できる。さらに選手が滞在中に必要な飲食施設やスポーツジム、病院などのほか、イスラム教の礼拝堂なども備える。
 大会中のにぎわいはもとより、ここ晴海地区の開発は、むしろ五輪後に本格的に始まると言っても過言ではない。この22棟は、五輪が終われば都の建設資金回収のために民間事業者に売却され、中古の賃貸・分譲マンションとして一般に販売される。「五輪選手が滞在した街」という付加価値が人気を集めると、都は踏んでいる。
 さらに選手村の跡地には、新規に50階建ての超高層マンション2棟と商業施設、小学校などが建設される予定だ。五輪から3年後の2023年に、改めて「街開き」となる。
 都は五輪後の同地区の人口の流入を1万2000人から1万5000人と試算する。「近年、日本でこれほど大規模な人口移動はない。ニュータウンとしての付加価値を上げるための整備を進めて住環境を整えていきたい」(都)。
 選手村のほかに、五輪絡みで人の流れを変えそうなのが、「海の森」だ。ここには五輪最大規模の水上競技場が建設される。カヌーやボートのコースだけで、全長2kmにもなる。
 海の森は、1973年から86年にかけて都の廃棄物を埋め立てて造成された「ゴミの島」だ。それが水辺と緑の憩いの空間に生まれ変わろうとしている。新たな都民の憩いの場として広大な公園が整備され、サイクリングやランニングが楽しめる。五輪で使われた客席棟はショップやレストラン、セミナールームなどに転用される。

五輪終了後の選手村の構想。中層の選手宿泊棟以外に、2棟の超高層マンションが建設される予定
新しい観光誘致の概念も
 一方で五輪が終わった後も、引き続き人が集まってにぎわうのかという懸念もくすぶる。それを解消する可能性を秘めた構想が、実は既に動き出している。「MICE(マイス)」だ。
ベイエリアは世界の物流拠点でもある
●東京港の取り扱い貨物量

●主要港輸入通関額(2013年、上位7港)

出所:東京都港湾局
 MICEとは、「Meeting(会議)」「Incentive travel(報奨・研修旅行)」「Convention(学会)」「Exhibition(展示会)」の頭文字を取った観光ビジネス用語。文字通り、これらの用途の受け皿となる施設を整備して、来訪者を増やす取り組みを指す。
 MICEの核になるのは、コンベンションセンター。ひとたび大規模な国際会議が開催されれば、一気に何千、何万人という規模の流入が期待できる。近年、シンガポールなどがMICEによって来訪者を増やしている。
 MICEは、政府が年間2000万人という目標を掲げるインバウンド(訪日外国人)誘致策の要として、観光庁なども推進に力を入れている。都は2012年、ベイエリアをMICEの拠点とするため、進出企業に補助金を交付する制度を創設した。五輪とその後を見据えて、民間を巻き込んでMICEに必要なインフラ整備を進める狙いだ。
 補助金の交付が決まったものには、例えば公衆無線LAN「Wi-Fi」を無料で提供する環境を整備するソフトバンクモバイルの事業などがある。
 冒頭で紹介したBMWは、都が公募した青海地区の土地約2万7000平方メートルの暫定利用(10年間)に応募。MICEの推進に寄与すると評価されて、複数の応募企業から選出された。都は、ショールームへの来場者数を年間約250万人と試算。この数字は三重県鈴鹿市の「鈴鹿サーキット」(2013年度、約196万人)を大きく上回る。
 試算の根拠の一つが、ショールームに併設される国際会議対応型のホール。「開業は1年後だが、既に医師会などから利用の打診が来ている」とBMWの伊集院氏は明かす。
 ホールの併設には、学会などで訪れた人についでに最新モデルに試乗してもらい、商談を進めることもできるという算段がある。BMWグループの報奨・研修旅行や、顧客の招待旅行での利用も想定している。英語、ドイツ語、中国語、韓国語など多言語に対応したスタッフを擁し、イスラム教で禁じられている食材や調理法などを指す「ハラル」にも対応した飲食店も構える。
 つまり、BMWのショールームは単にクルマ好きのためのものだけでなく、観光やビジネスの拠点として人を引き寄せる仕掛けになるわけだ。都は、BMWのショールームが呼び水になって、MICE事業へ参加する企業がさらに増えることを期待している。
新市場計画には暗雲
 もっとも、開発計画がすべて順調に進んでいるわけではない。例えば、築地から豊洲に移転される新市場。2016年11月の開場を目指し、建設工事が佳境を迎えている。完成すれば延べ面積は現在の約30万平方メートルから約40万平方メートルに増床される。
 この新市場を巡って暗雲がたれ込めている。場外観光の目玉である、スパなども併設した「千客万来施設」の運営事業者に名乗りを上げていた大和ハウス工業と寿司チェーン「すしざんまい」などを運営する喜代村が、都や市場関係者と折り合いがつかず撤退を決定。新市場と千客万来施設の同時開業は絶望的な状況になっている。
 交通インフラの整備にも懸念が浮上している。東京地下鉄(東京メトロ)は有楽町線を豊洲から住吉まで延ばし、新交通システムのゆりかもめは豊洲から勝どきまで延伸する青写真を描くが、具体像はまだ見えず、実現しても五輪開催に間に合わない可能性が高い。
 環状2号線が開通すれば、都心からのクルマでのアクセスは飛躍的に向上する。環状2号線を使って都心とベイエリアとを結ぶBRT(バス高速輸送システム)の運行も検討されている。
 「しかし、」と前出のスタイルアクトの沖氏は指摘する。「ベイエリアは運河で隔絶され、橋しかアクセスの方法がない。不動産の価値を上げるには鉄道を通すしかない」。
 五輪後も増殖し続ける見通しのベイエリアだが、五輪の閉幕とともに人の往来が急減し、活気を失う可能性も否めない。そうならないためにも、人を引き寄せ続ける街づくりが必要だ。
 都の計画通りにMICEの中心地となり、国内外から訪れた人々がここを拠点にして、銀座など周辺の街にも足を延ばす──。これが「絵に描いた餅」にならないよう行政と民間が連携して同エリアを盛り上げていくことが求められる。
(日経ビジネス2015年6月29日号より転載)



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