欧米企業だって、そうそう成功しているわけではないのだから当然ではあるが海外M&Aは、投資同様、リスク管理が重要で、簡単ではないということだ https://www.marr.jp/etc/chief/entry/4225 No.167 日本のM&Aの成功率は5割――実証研究の第一人者が検証し、課題を提示 2003年から2010年までのM&Aを再検証 −− 先生は『M&Aと株価』(2006年)で、日本のM&Aについて実証研究をされました。その後の研究はどうですか。 「『M&Aと株価』では1990年から2002年までの上場企業のM&A約140件を分析しました。ちょうど、日本においてM&Aが活用される初期に当たり、内容的には救済型やグループ再編が中心でした。しかし、その後、日本企業はバブル崩壊の後始末をつけ、前向きで戦略的なM&Aを行うようになっています。海外M&Aも増加しています。新しいステージに入った日本企業のM&Aが実際に成果を上げているのか。M&Aは失敗例も多く、新聞報道などで成功率は2割などと言われています。本当にそんなに低いのか。その点をもう一度、再評価したいと思い、2013年、私が所属している経済産業研究所の研究会プロジェクトのなかで新たな研究を行ったのです。2003年から2010年までの大型M&A731件が対象です。買い手企業は日本の上場企業、買収先企業(売り手)は上場、未上場、海外企業です」 −− どんな方法でやられたのですか。 「三つの仮説を立てました。日本企業のM&Aは株主価値を創出している、同じ事業領域内の水平型M&Aの方が多角型より株主価値の創出は大きい、ガバナンスが効いている買い手企業の方がプラスになる、という三つです。これらの仮説を株主価値への効果(株価効果)で検証していきました。株価効果を計測するために、『M&Aと株価』では発表時の株価の動きだけを分析しました。発表時と言っても、その時の株価にはそのM&Aの将来の期待や評価も込められています。今回は、株価効果については、発表時だけでなく、発表後3年の長期リターン分析をし、さらに長期の業績(ROAなど)推移も含め総合的に分析しました。このような大規模なサンプルでの長期パフォーマンス分析は日本では初めてです」 −− どんな結果が得られたのですか。 「M&Aの発表時に、買い手企業の株価は平均して約2%上昇しています。株式市場はM&Aをプラスに評価しているのです。これは『M&Aと株価』の分析とほぼ同じですが、新たな発見もありました。発表後の3年間の株式市場のリターンは同業他社と比較して、異常収益率はない(市場平均に対してパフォーマンスの違いはない)という結果です。ROAはM&A実施の2年前に比べて、実施後3年目では顕著に悪化しています。しかし、5年目にはM&A実施前の水準に戻っています。このように、発表時はプラスでその後は異常収益率がないという結果から、日本企業のM&Aは平均してみると株主価値を創出しているという第1の仮説は支持されます。また、株価効果の要因分析では水平型M&Aの方が長期の株価パフォーマンスは良好でした。シナジーを出しやすいからです。ガバナンスでは、社外取締役のいる企業のM&Aは発表時に相対的に高い評価を受け、長期の業績でもプラスの効果が出ていました。第2、第3の仮説も支持される結果となりました。このほか、部分買収よりも、100%買収の方が事後のパフォーマンスが良好でした。M&Aでは買った相手企業を変えないと価値を引き出せません。経営権をしっかり確保する方が、また利益相反が生じる可能性のある少数株主が残らない方が、シナジー効果の実現やリストラがしやすいのです」 −− 日本のM&Aの成功率はどのぐらいとみればいいのですか。 「マスコミが言うように大半が失敗というようなことはありませんでした。統計的に言えば、成功率はほぼ5割です。失敗する企業もありますが、一部の企業はM&Aを上手に使って、次の成長ステージに行っているのも事実です。米ファイアストンを買収して世界首位を争うまでになったブリヂストンのようなジャンプアップはM&Aでしかできません。経済がグローバル化し、欧米企業はどんどん巨大化しています。日本企業がこれらと伍するためにはM&Aを推進する必要があります」 http://toyokeizai.net/articles/-/41560 なぜ日本企業は、海外進出が"下手"なのか? 野村証券も第一三共も…積み上がり続ける失敗例 かつて日本の携帯電話メーカーは世界のトップレベルにあったが、エリクソンとの共同出資に踏み切ったソニー以外は、すべて海外市場に食い込むことができなかった。野村証券はリーマン・ブラザーズの欧州・アジア部門を買収したが、相応の結果を残していない。中国でのトヨタやホンダの業績は、フォルクスワーゲンやGMを下回っている。 これら海外進出に失敗した日本企業のリストに新たに加わったのが、第一三共である。同社は、2008年に買収したインドの後発医薬品メーカー・ランバクシーを最近売却したが、売却額は投資額を38%も下回った。 一見、海外進出の失敗例にはそれぞれ個別の原因があるように思える。そして、その失敗が不思議に感じられるのは、これらを含む海外進出に失敗した企業の多くが、優秀な企業だと認められているためだ。 しかし、もう少し深く問題を掘り下げてみると、より広範で共通なテーマが浮かび上がる。つまり、国内市場で優れた業績を上げている企業であっても、海外で成功するとは限らないということだ。その理由は、論理的にはごく単純である。それぞれの国には固有のやり方があり、国内で成功に導いてくれた方法が外国で同じように機能するとはかぎらないからだ。最悪の場合には、まったく機能しない可能性すらある。 日本の携帯電話メーカーを例に取ると、彼らは日本市場に最適化された質の高いサービスを提供していたが、海外でのニーズを理解していなかったし、海外進出後も理解を深められなかった。野村証券は、リーマン・ブラザーズ出身者の年収が日本企業には受け入れられないほど高額だという理由で優秀な人材を手放してしまった。そして、第一三共とランバクシーをめぐる騒動によって浮き彫りになったのは、それ自体は世界最高水準にある日本企業の品質管理が、メンタリティや作法が違う国ではうまく機能しないという事実である。 http://enterprisezine.jp/bizgene/detail/4959 日本の事業会社のM&Aは、「1勝9敗」?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130213/243706/?rt=nocnt 日本企業のM&A なぜ成功例が少ないか
2013年4月17日 「売り」は先輩と自己の否定という思いを捨てよ 欧米と日本の仕事意識の違い これまでM&A、特に買収は負けから始める投資であり、売りと比べて格段にリスクが高い、という話と、従って成功のためにはさまざまな条件に細心の注意を払って交渉に割り負けしないことが必要だとの指摘をした。 2013年3月6日 M&Aが総合格闘技と言われる理由 ストラクチャーと契約書の重要性 そもそもリスクの高い買い手側でのM&A戦略を成功させるためには、前回述べた5条件だけで十分、というわけではない。加えて、実際に買収案件を進めるにあたり、技術的に非常に重要な要素があと3点ある。 2013年2月20日 「買いは大好きだが売りは大嫌い」が失敗の原因 M&A 成功の5条件 企業の成長戦略の選択肢として欧米では古くからM&Aが定着している。それなりに成功例も多い。日本の場合は、2008年ごろから第三次海外買収ブームが起きているが、これまでの大型海外買収を見ると失敗例が多い...
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