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日産自動車本社(「Wikipedia」より/Wiiii)
日産、社内から不満噴出!「経営陣はゴーンに盲従」「ルノーはタダで日産利用し利益」
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13219.html
2016.01.09 文=編集部 Business Journal
日産自動車と仏ルノーは2015年12月12日、仏政府が日産の経営に介入しないことになったと発表した。仏政府は両社の統合を提案するなど経営への関与を強める姿勢を見せ、両社と対立していた。日産は仏政府から経営の独立性を担保する確約を取り付けた。仏政府の影響力を阻止しようとしたマラソン交渉は8カ月間に及び、日産に有利なかたちで収束したようにみえる。
「これまで不文律だった経営の自立性が明文化されたことは、日産にとって大きな節目だ」
日産のカルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)は、12月15日に開いた会見でこう述べた。仏政府が日産の経営権を尊重することで合意したほか、仏政府がルノーを通じて日産の経営に介入した場合、日産はルノー株式を買い増す権利を持つと明記された。現在、ルノー株式を15%持つ日産が25%超まで買い増せば、日本の会社法の規定でルノーが保有する日産株式は議決権を失うことになるから、抑止力ともなる。
ゴーン氏は今回の交渉について、「非常にデリケートな議論だったが、当事者それぞれの共通の理解を得ることができた」と振り返った。
■仏政府がルノーの議決権比率を高める
「騒動の発端は、支持率に伸び悩むオランド政権が昨年(14年)8月に登用したマクロン仏経済産業相の登場だった。銀行出身で38歳の若き改革の旗手、マクロン氏が目を付けたのがフロランジュ法だ」(15年12月28日付読売新聞)
フロランジュ法では、2年以上株式を持つ株主に1株当たり2票の議決権を与えることを認めている。この法律は鉄鋼大手、アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)が仏北東部のフロランジュ製鉄所を閉鎖した際に失業問題が起こり、労働者を守れなかったことから、仏政府は批判の矢面に立たされた。そこで、この法律がつくられた。
フランスは、ドイツなど他の欧州連合(EU)加盟主要国より失業率が高く、景気回復が遅れている。仏政府は、この法律を企業に雇用維持を求める道具として使うことにした。
ルノーの筆頭株主である仏政府は保有比率が20%になるようルノー株式を買い増し、15年4月の株主総会に臨んだ。ルノーはフロランジュ法の適用に反対する提案をしたが、否決された。その結果、仏政府の議決権比率は16年4月、28%に上昇することとなった。経営の重要事項に対し、仏政府が事実上の拒否権を持つ。
これに懸念を強めたのが日産だ。同社の筆頭株主はルノーで、株式の43.4%をルノーに支配されている。仏政府がルノーの議決権を拡大すれば、ルノーを通じて仏政府が日産の経営に介入することが可能になる。
■ルノーと日産の関係
日産とルノーの関係は、1999年に深刻な経営不振に陥った日産にルノーが支援の手を差し伸べたことから始まる。90年代後半、連結で2兆円を超す有利子負債を抱えた日産は経営危機に瀕した。日産は独ダイムラー・クライスラー(現ダイムラー)、米フォード・モーターと資本・業務提携交渉を進めたが、交渉は不調に終わった。最後にたどりついたのがルノーだった。ルノーは日産株の36.8%を取得し、ルノー出身のゴーン氏が日産のトップに就任した。国産自動車メーカーとしてトヨタ自動車と並ぶ歴史を刻んできた日産が外資の軍門に下り、外国人経営者が送り込まれた。
02年、日産はゴーン氏主導の改革で危機を脱した。日産もルノーの株式を取得して、相互に株式を持ち合うかたちになった。ルノーは出資比率を44.3%にまで引き上げ、日産はルノー株式を15%取得した。ところが、日産の持つルノー株式には議決権が与えられず、ルノーの事前了解がなければ日産はルノー株式を買い増すことさえできないという、不平等を絵に描いたような契約だった。
提携当初、ほぼ同じだった世界での販売台数は、14年度にはルノーが270万台、日産が530万台。日産がルノーのほぼ2倍に達した。日産が配当金の支払いなどで、ルノーの税引き後利益の8割を実質的に支えている。
日産の15年12月30日の終値を基準とした時価総額は、5兆7842億円。ルノーのそれは3兆5609億円(1ユーロ=130円で換算)。ルノー株式は日産の6割程度の価値しかないが、資本的にはルノーが日産に対して支配権を持つ。
しかし、業績ではルノーが日産にオンブにダッコされているという、いびつな関係が続いている。世界の自動車メーカーの首脳の中には「ルノーは日産に寄生している」と、はっきり言う向きもある。それでも両社の間に波風が立たなかったのは、両社のトップをゴーン氏が兼務してきたからだ。
■日産が使った「切り札」
仏政府がルノーの議決権比率を28%に高めたことで、仏政府、ルノー、日産の3者の力関係が一気に流動化し始めた。仏政府がルノー株式の議決権比率を高めた目的は、ルノーと日産を合併させることにあった。業績不振のルノーを日産に合併させることで、日産をルノーの労働者の雇用の受け皿にすることを狙った。
仏政府はルノーへの関与を強める意図を隠さない。一方、ルノーは仏政府に持ち株の一部を放出するよう求めたが、仏政府の答えはノーだった。仏政府とルノーの対立は膠着状態に陥った。
そこで、日産は強行策に出ることを決断した。15年11月30日、臨時の取締役会を開き、仏政府がルノーを通じて日産の経営に介入しないよう書面で約束することや、事前の了解なしに日産がルノーの株式を追加取得できないという契約の見直しを求めることを決めた。この提案が認められない場合には、ルノーに対する出資比率を25%以上へと引き上げることも検討すると表明した。日産が目をつけたのは日本の会社法308条だ。「25%ルール」と呼ばれ、議決権ベースで4分の1以上の株式を有している企業に対して、自社の議決権の行使を認めないというものだ。
「日産によるルノーへの15%の出資は仏会社法によって議決権はないが、308条には外国の法令によって議決権行使できない株式を含むという施行規則がある。この規則によれば、日産がルノー株を買い増せばルノーに議決権が無くなり、経営への介入を遮断できる」(12月13日付日本経済新聞)
ルノーとの契約を破棄すれば、両社の関係にヒビが入りかねない。日産の要求は諸刃の剣だった。日産の持つルノー株式には、もともとルノーへの議決権がない。日産がルノー株を25%以上まで買い増すと、双方に議決権がないという異常な状態に陥る。仏国内の雇用を守るという観点からみても得策ではないと仏政府は判断し、矛を収めた。
■ポストゴーン
日産が仏政府の経営介入封じ込めに成功したことは、日産とルノーの「ポストゴーン」のトップ人事に多大な影響を及ぼすことになる。ゴーン氏の権力の源泉は、筆頭株主である仏政府を後ろ盾にしていたことにあったが、ゴーン氏が仏政府に反旗を翻した。仏政府とゴーン氏の蜜月関係は終わった。仏政府は日産の経営に介入することはできなくなったが、ルノー株式の28%の議決権を持っており、いつでもルノーの経営に介入することができる。
早くも、ルノーのトップ交代の観測が流れているのは、こういう背景があるからだ。16年、欧州自動車工業会の会長は、ゴーン氏から、ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOに交代する。それに合わせて、ルノーのCEOが交代するとの見方が浮上しているのだ。
日本でも16年5月、日産副会長兼CCO(最高顧客責任者)の西川廣人(さいかわ・ひろと)氏が日本自動車工業会会長に就く。西川氏は仏政府との交渉をまとめた日産側の功労者だ。西川氏がポストゴーンの最有力候補といわれている。
人事のカギを握るのは、仏政府だ。ルノーのCEOが交代すれば、日産のCEOも交代する可能性が高い。はたして、99年以来続いてきたゴーン体制に幕を下ろすだろうか。日産は、ルノー=ゴーンに救済してもらった「謝礼」は十分すぎるほど支払った。もし、新体制に生まれ変われば、ルノーの傘の下から脱け出すために一歩踏み出すことになろう。
「日産のカネで開発したプラットホーム(車台)をルノーは無償で使っている。ルノーには部品を購入する際のバーゲニングパワー(対外交渉能力)がないのに、ルノー・日産の部品一括購入という名目で安く購入している」
「ルノーがロシアなど海外に進出する時に、必ず日産にも出資させ、リスクを軽減している」
「日産の日本人経営陣は、ゴーン氏に盲従しているだけでいいのか」
日産社員からは、こうしたルノーに対する不満の声が次々と上がる。生産・販売、海外進出、部品調達など、あらゆる面でルノーは日産を利用し、有形無形の利益を得ているという指摘だ。これまで、ゴーン氏の権力が強かった間はこうした不満は沈潜化してきたが、その力が弱まれば一気に噴出するとの見方が強い。
ゴーン氏はルノーと日産のCEOを兼務しており、両社が対立すれば「利益の相反」が起こる。現在の経営体制は、見直しの時期にきているのかもしれない。
(文=編集部)
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