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日本のファンダメンタルズは強い?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52759336.html
2016年01月08日 在野のアナリスト
国会では予算委員会で開かれました。その中で、安倍首相は雇用が増えた、賃金が増えた、と述べていますが、ちょうど今日は11月の毎月勤労統計がでてきました。現金給与総額は前年同月比で横ばい、内訳は所定内給与0.5%増、所定外給与1.1%増、特別給与が8.6%減です。特別給与はボーナスですから、12月に後ズレした可能性はありますが、さらに産業別でみると、この横ばいと言う結果の意味が分かります。
事業所規模5人以上で、決まって支給する給与が前年同月比、建設業3.3%増、情報通信業1.9%増、建設業4.3%増、不動産・物品賃貸1.7%増、飲食サービス業1.4%増、金融・保険業1.0%増、どれもバブルの匂いがします。情報通信はIoTやマイナンバー対応、復興・五輪特需の建設業、また都会の不動産価格の上昇もあります。飲食サービスは元々給与が低く、またインバウンド消費への対応もあるでしょう。そして株高で浮かれる金融・保険業です。つまり政府がうみだしたバブルが賃金を押し上げますが、水平方向への広がりがない、これがこの結果からは読み解けます。
円安で業績好調なはずの製造業は0.7%増しかなく、消費が堅調なはずの小売・卸売は0.2%増と、微々たるもの。一方で、人材不足が顕著である医療・福祉は増減なし、と雇用の逼迫が必ずしも給与増につながっていない。以前から指摘しているように、雇用の増加といっても景気が回復した上でのことなら、賃金には反映されるはずです。そうでないことがこれらの動きでも分かり、労働人口の減少を補う意味での雇用回復、バブルが過ぎれば巡航速度にもどす、という企業側の意図が明白であり、こうしたものは何の自慢にもなりません。それこそバラマキの結果、公共工事であったり、日銀の金融政策であったり、一部の業種が潤ったに過ぎないのです。これは所定外労働時間が0.9%減からも分かり、景気がよいなら残業が増えているはずなのです。
内閣府が11月の景気動向指数を発表していますが、前月比で一致指数は1.7pt下がり、先行指数は0.3pt下がり、遅行指数は0.4pt下がった。基調判断は機械的に「足踏みを示す」となりますが、10月にイレギュラー的に上昇した点を除くと、実は「下方への局面変化」、「悪化」との判断になっても決しておかしくないほど、ほとんどの項目がマイナスに寄与する異常事態です。
米12月雇用統計が出てきましたが、非農業部門の雇用者数が29.2万人と市場予想を大きく上回り、10、11月も上方修正されるなど、良好な結果でした。ただし時間当たり賃金は0.01減と、雇用が良好なのに下がり、また人材派遣が伸びていることからも、年末の商戦に向けた人材確保が主因だったのかもしれません。ただメイシーズが発表した年末商戦は、前年比で4%以上下がるなど、芳しい結果ではなかった。米国も暖冬で、衣料関係はどこも厳しいですが、数だけで良好と判断するには、中身としては拙いレベルだというのが日米ともに共通する事象となっているのでしょう。
これは新年祝賀パーティーで榊原経団連会長が述べたように「日本は未曾有の危機」という言葉が正解なのかもしれません。それは安倍ノミクスが失敗し、景気はどん底、その入り口に差し掛かっている、という意味で。しかも、そうした認識もない首相が「景気がいい」「雇用は回復」と自負するに至り、改善する見通しが立たない点が深刻なのかもしれません。実質賃金が目減りしても、平気な顔で賃上げがすすんでいる、と言ってのけてしまうぐらい、国民生活には何の思いも至っていないのでしょう。麻生財務相は「日本のファンダメンタルズは強い」としますが、景気動向指数などをみても、明らかに「弱い」のです。麻生氏に言わせれば、今は「未曾有有の危機」と「有」が一つ増えてしまうぐらいの危機、ということになるのでしょうね。
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