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TPP、自治体が独自試算 “甘い”政府の影響分析を疑問視
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160105-00000007-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2016/1/6 08:15
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)による影響試算を独自に行う自治体や農業団体が相次いでいる。政府が昨年末に示したTPPの影響試算は、農業の保護対策が有効に作用した場合に限定。大半の農産物への影響を限定的とした昨年11月の政府分析に続く“甘い”試算に、地方は不信感を募らせる。4日開幕した通常国会のTPP関連の議論において、野党の批判材料になりかねない状況だ。
政府の試算公表前に独自試算を示したのは和歌山、新潟、滋賀の3県だ。
新潟県は昨年12月1日、TPP発効後に価格が低い輸入米の影響が最も大きくなった場合、コメの産出額は約92億円減少すると試算。一方、高価格帯の県産コシヒカリの輸出が実現した場合は最大172億円の収入増になるというプラス面も同時に算出した。
同県は独自試算をした理由について「政府が示すTPP政策大綱や農産物の影響分析に具体的な中身がなく、今後を不安視する関係者が多いこともある」(県農業総務課)と明かす。
また、和歌山県は無対策の場合、県内の農林水産物の産出額が約55億円減少すると試算。主力のかんきつ類は2013年度に比べ13%減少し、かんきつ農家の所得は約3割程度減るとした。農業生産額で40億円減ると試算した滋賀県は、近江牛など牛肉の生産額が約9億円減ると懸念する。
こうした独自試算は都道府県の農協中央会などの農業団体にも広がり、既に茨城や静岡などが数百億円規模の生産額が減少すると試算している。政府の影響試算を参考にするため独自試算を見送ってきた自治体もあり、今後は独自試算を算出する動きが活発化する可能性も高まる。
政府のTPP影響試算では、実質国内総生産(GDP)を約14兆円押し上げ、農林水産物の生産額は約1300億〜2100億円の減少にとどまると分析。農林水産物については対策を講じない場合の試算を求める声もあるが、森山裕農林水産相は4日の閣議後会見で、「前提の立て方が非常に難しく、現実とかけ離れている」と述べ、算出に難色を示している。
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