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バブル上回る経済状況 若者3人で起業し2年で年商10億もザラ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160101-00000017-pseven-bus_all
週刊ポスト2016年1月1・8日号
2015年の日本経済は、為替が1ドル=120円台前半を維持し、日経平均が約2000円上昇して2万円台に接近した1年だった。景気は本当に回復しているのか、2016年の経済を左右する諸要素をぐっちーさんこと投資銀行家・山口正洋氏、慶應義塾大学ビジネススクール准教授・小幡績氏、双日総研チーフエコノミスト・吉崎達彦氏らの3人の経済論客が意見を戦わせた。
山口:勘違いしている人もいるけど、今は近年まれに見るほど経済状況がよくなっています。大学を出たばかりの若者が3人で起業して2年で年商10億円稼ぐなんて話はいくらでもある。バブル期にもそんな話はありませんでしたよ。
それこそ5年前でもネットで配信事業をやろうとしたら、携帯各社の仕様に合わせてそれぞれ設備投資しないといけなかったけど、今はスマホで仕様がシンプルだから、起業コストが10分の1くらいまで下がっていて、新たなビジネスが生まれやすい環境にある。
吉崎:東芝やシャープなど大企業は厳しいかもしれないけど、そもそも総合電機が8社なんて今どき多すぎるんですよ。
山口:役目を終えたような業態ばかり見るから日本経済がダメになったみたいな言い方をしますが、今まででは考えられないようなビジネスがいくつもある。ただ2017年4月の消費増税で小売や外食は負担が増えて、従業員を2割カットしないとやっていけないような会社がほとんどです。
小幡:問題は、政策立案を担う中央政府が最も遅れていて、その政策アドバイザーも古い企業出身で古い頭の持ち主であることです。
山口:はっきりいえば、民間から諮問委員などを集めても、本当に成功して稼いでいる人たちは本業が忙しいから来るわけがない。だからどんどん遅れていくわけです。
吉崎:確かに産業競争力会議や経済財政諮問会議の議論を聞く限り、ちょっと停滞していますよね。
ただ、古くて新しい成長戦略もあります。たとえば2015年3月に首都高速の中央環状線の大井―大橋間が開通して、渋滞がかなり解消されました。これは国交省の想像以上でした。ほとんど完成した高速道路網に、料金制度などの改良を加えて物流交通を効率化する「インフラのスマート化」というのも、実は今まで試してこなかった成長分野として楽しみですね。
小幡:道路整備もそうかもしれませんが、政府は基礎的な初等教育など本当の意味での社会基盤整備を地道にやるべきなんです。基盤の上で何をやるかは民間に任せる。下手な経済政策で2016年の景気が悪くならないことを祈ります。
●ぐっちーさん(山口正洋)やまぐち・まさひろ/投資銀行家。1960年東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、丸紅入社。その後、モルガン・スタンレーなど欧米の金融機関を経て、投資会社を設立。M&Aから民事再生、地方再生まで幅広く手がける一方、「ぐっちーさん」のペンネームでブログを中心に活躍。著書に『ぐっちーさん 日本経済ここだけの話』(朝日新聞出版刊)など。
●小幡績 おばた・せき/慶應義塾大学ビジネススクール准教授。1967年千葉県生まれ。東京大学経済学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。1999年退職。一橋大学経済研究所専任講師などを経て、2003年から現職。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)委員も務めた。著書に『円高・デフレが日本を救う』(ディスカバー携書)など。
●吉崎達彦 よしざき・たつひこ/双日総研チーフエコノミスト。1960年富山県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、日商岩井入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員や経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て2004年から現職。著書に『アメリカの論理』『1985年』『オバマは世界を救えるか』(いずれも新潮社刊)など。ブログ『溜池通信』は貿易統計から米大統領選まで解説する人気サイトだ。
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