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携帯料金はこれからどこまで安くなるのか? 安倍首相の「命令」で、大手通信会社がようやく重い腰を上げた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47208
2015年12月31日(木) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
■呆れた販売戦略
安倍政権がNTTドコモなど大手携帯電話会社にかけた国家権力による圧力のお蔭で、来年(2016)早々、全国の消費者に「スマホの格安プラン」というお年玉が配られることになりそうだ。
大胆に推測すると、その内容は、音声とデータ通信の合計で月額5000円以下と、現状(一般的な最安プランは6200〜6500円)より1500円前後割安なものとみられる。
手放しで喜べないのは、その新料金プランが多くの消費者にとって使い勝手の良いものになる保証がない点である。そもそも1990年代半ばに自由化した携帯電話料金のあり方に、権限もノウハウも持ち合わせない政府が異例の介入をしたのだから、過大な期待をする方が間違っているのかもしれない。
しかし、消費者としては、せっかくの格安プランを見逃す手はない。どうすれば、家計の重い負担を和らげることができるのか。課題を整理するとともに、賢い活用術を考えてみよう。
筆者が最初に強調したいのは、無責任な報道やセールストークに踊らされて、軽挙妄動に走らないでほしいということだ。
今年(2015)9月に安倍首相の是正指示を受けて、対応を検討してきた高市早苗総務大臣は先々週(12月18日)、携帯3社に指導文書を手渡し、2つのことを迫った。
各社の携帯ショップの多くは、その一つである「行き過ぎた」販売奨励金の是正に着目して、あろうことか販促に利用している模様だ。「これからはスマホが高くなる。この年末年始が最後の買い時だ」と消費者の不安心理を煽っているというのである。
呆れた話だが、筆者の取材に、ある大手事業者の幹部は「多くの携帯ショップが大盛況だ」と予想外の特需に対する喜びを隠さなかった。
念のために解説すると、この問題で高市大臣が是正を迫ったのは、端末代金が実質ゼロかマイナスになるような過大な販売奨励金のバラマキだ。滅多に端末を買い変えない消費者から吸い上げる割高な通信料金が、奨励金の原資に充てられているという背景があるからだ。
しかも、具体的な是正策を盛り込む総務省ガイドラインの策定はこれからだ。現状では何も決まっていない。総務省は、在庫の早期処分が必要になる「型落ち端末」を是正の対象から外すとしているが、その定義すら決まっていないのが現状だ。
■こんな料金プランが現れる
携帯各社には、行政指導をないがしろにした“前科”がある。
2007年に総務省から今回とよく似た是正を迫られながら、翌年、日本初のiPhone発売を機に販売奨励金の大盤振る舞いを競って復活させたのだ。このため、各社は今回もライバルが抜け駆けをするのではないかと疑心暗鬼に陥り、相手の出方を見ている。自ら率先して奨励金の大幅カットを打ち出そうという事業者は存在しないのである。
消費者にとって現時点の最大のリスクは、端末の値引きを目当てに、この年末年始に端末買い替えや事業者乗り換えを行うと、今後2年間、ペナルティ無しでは契約を打ち切れない“縛り”を強要されることである。
今後数ヵ月間は、新たな料金プランが続々と登場する可能性があるのに、臨機応変に対応できなくなる懸念がある。少なくとも、今後数週間は、その動向を見極めるのが賢明だ。どうか、このことを肝に銘じてほしい。
次に、取材を踏まえて、例年、各社が春商戦を開始する1月中、下旬に登場しそうな料金プランを予測してみよう。
高市大臣は前述の指導文書で、もう1つのことを迫った。「利用者の料金負担の軽減を図る」という大義名分を掲げ、ライトユーザと端末購入補助を受けない長期利用客の2つの客層を対象に、その多様なニーズに応えるプランを導入しろというのだ。
現状を見ると、3社そろって、一般の消費者が加入可能なデータ通信のライトプランの料金は月額3500円だ。通信量の上限は2GBとなっている。音声電話の定額プランは、5分以内の国内通話ならば回数制限のないライトプラン(3社とも月額1700円)と、時間制限も回数制限もないフルプラン(同2700円)の2種類がある。ただ、3社すべてがデータ、音声の両方でライトプランを選択することを禁じている。
このほか、スマホでインターネットを使うには、「ネット接続料」(3社とも300円)が必要になる。この結果、データと音声、ネット接続料を合わせた最安プランは、ドコモとソフトバンクが月額6500円、KDDI(au)が6200円となっている。
新たに登場しそうなのが、データ通信量の上限を1GB以下と現行の半分以下にする“超ライトプラン”だ。これは、総務省の研究会の委員らが強く導入を迫っているプランでもある。
委員たちは、料金水準としてはデータ通信部分で月額3000円程度を想定しており、5分以内の国内通話ならば回数制限のない音声プランとの組み合わせを認めて、総額月額5000円以下でのスマホ利用に道を開かせたいという。研究会の調査過程で、50歳以上の中高年を中心に全体の半数程度の消費者が1GB前後しかデータ通信を使っておらず、料金プランが利用実態に合致していないことが判明したことが背景にある。
加えて、10年以上継続契約している消費者に限定されている長期利用者優遇策の拡充も、総務省が携帯3社に迫った課題だ。より短期の契約者に優遇策を拡充するか、広くて薄い料金プランの値下げを採るかが取り沙汰されている。
が、この問題では、行き過ぎた販売奨励金をまず削減し、その一部を是正の原資に充てることになると見られるため、各社が1月中、下旬に実施できるように経営判断を下せるか流動的だ。
■これで大幅節約が可能に!
いずれにせよ、新たな“超ライトプラン”には、年齢の若いヘビーユーザ層などを中心に、通信量の上限が小さ過ぎてニーズに合わないという不満が出ることが予想される。
だが、賢く使って節約に繋げることもできるはずだ。ヘビーユーザの多くは、ゲームやテザリング、動画の視聴といった膨大なトラフィックを伴うアプリやコンテンツを頻繁に利用していることが多い。この場合、3GやLTEといった携帯電話の回線の使用を手控えて、固定回線やWiFi回線を使うようにすれば大幅な節約が可能になる。
どうしても、3GやLTEを経由したければ、大手3社からMVNO(仮想移動体電気通信事業者)に乗り替える手もある。ほとんどのMVNOは、大手3社のような大掛かりなカスタマーサポート網や音声通信の定額プランを持っていないが、その代わり、上限5〜6GBのデータ通信料金は月額1650〜2150円程度と格安だ。
音声通話は20円/30秒程度の従量制が多く、大手のライトプラン並みの負担(月額1700円)で毎月85分間の通話ができる計算になる。
音声通信もデータ通信も仕事で大量に使うので、1台の端末で大手とMVNOの両方を臨機応変に切り替えて使いたいという人は、両方(2枚)のSIMを挿入しておき、両方を切り替えて使用できるSIMフリー端末がある。
OSは米グーグル社のアンドロイドで、流通価格は1万円台のものも販売されており、10万円近いものが主流になりつつある大手3社の端末より遥かに廉価だ。Windowsパソコンとデータを共用するのならば、Windows Phone という選択肢もあるだろう。
筆者は今回のスマホ料金引き下げ騒動に刺激を受け、大手の端末をSIMフリー化してMVNOの通信サービスに使ってみたり、アンドロイド版とWindows版の格安SIMフリー端末を購入して大手の回線に繋ぐなど色々と試してみたので断言できるが、パソコンを扱う程度の知識があればMVNOやSIMフリー端末の導入はそれほど難しい作業ではない。
一人一人の消費者がこれまでより少しリテラシーを高めて、スマホ料金の節約を試みる気になれば、今回の格安料金プランの登場を大きなチャンスに変えることができるはずである。
一方、大手3社は、「思ったよりはリーズナブルな結論に落ち着いた」と胸をなで下ろしているところもあれば、「ライバルは素直に従うだろうか」と疑心暗鬼のところ、依然として「政府が介入するのは筋違い」と不満顔のところもある。
■さらなる改革を進めよ
だが、政府の介入という悪しき前例を作った最大の責任は、携帯大手各社にある。
日本企業の収益ランキングのトップテンに大手3社が顔を揃えながら、健全な競争に背を向けて料金体系の高止まりを放置してきたからだ。
新規契約や事業者の乗り換え、端末の買い替えのたびに課す“2年縛り”の是正も、事実上、放棄していた。こうした“縛り”は自由な選択を制限し、消費者の権利を奪うものに他ならない。
今回は議論の対象にならなかったが、携帯ショップでは、待ち時間が異常に長いうえ、説明不足や誤解を招き易い説明に伴うトラブルが後を絶たない。
メーカーとの契約で修理の取り次ぎをできない端末を対象に修理名目で来訪予約を受け付け、来店した客に機種変更を迫るとか、消費者が自分で電池の交換さえできない端末を増やして乗り換えを加速しようと試みていることなど、真っ当とは言えない商法を展開していることも憂慮すべきだろう。
カルテル体質や杜撰な商法を容認してきたのは、通信行政の問題でもある。総務官僚の責任は重い。
安倍政権は、法的な権限もなしに、強引にスマホ料金の引き下げを迫った。こうした民間企業の経営への介入は決してあってはならないことだ。動機が、来夏に迫った参院選向けの人気取り策というのならば、尚更である。
しかし、取材の過程で、安倍政権が2年ほど前から今回のような政治的介入の機会を伺っていたという驚くべき証言もあった。介入を未然に防げなかったのは、是正を怠った大手事業者だけでなく、是正へ向けた環境作りを怠った総務省の責任でもある。日本に先駆けて、韓国はきちんとした法制化を通じて販売奨励金の是正を断行したという。
政策で後れをとったばかりか、2000年代前半に3Gを導入した当時は世界の最先端を歩んでいた日本のモバイル市場そのものが、昨今のLTEやスマホの普及で米国や韓国に後れを取っている問題もある。
総務官僚には、大手3社と競える新規参入を促すため周波数を開放するだけでなく、安いコストでの新規参入を可能にする携帯回線のアンバンドルなども大胆に進めてもらいたい。
さもないと、日本の携帯市場の潜在成長力が一段と低下することになりかねない。暮らしや産業に大きな影響を与える分野だけに、事態は深刻だ。
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