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(回答先: 日銀総裁「賃上げに期待」 政府と協調 産業界には戸惑い:投資家などに受けるような華やかな政策はもうないという意味 投稿者 あっしら 日時 2015 年 11 月 10 日 01:39:15)
[大機小機]先祖返りする日銀
日銀は先月30日の金融政策決定会合で、追加緩和を見送った。物価上昇率目標の実現のために「何でもやる」と言っていた割に消極的な印象が残った。一部の市場関係者の失望は大きく「市場との対話が足りない」との声も噴き出した。
だが、考えてみれば「市場との対話」とは不思議な言い回しだ。「市場」という人格がどこかにいるわけではない。太宰治の「人間失格」には、「世間が許さないよ」と説教する友人に主人公が「世間というのは、君じゃないか」と心の中で叫ぶ場面がある。「市場との対話不足」論は「世間」を振りかざすこの心理とどこか通じる。「予測が外れちゃったじゃないか」というエコノミストの恨み節にも聞こえるからだ。
ともあれ、市場関係者の間では日銀の考えが読みにくいとの声が強い。
2013年4月からの異次元緩和で日銀はマネーの量が物価を決める「貨幣数量説」的な姿勢を打ち出した。マネーを増やせば物価上昇期待が醸成され経済も上向くと力説する黒田東彦総裁は、宗教指導者のように自信満々だった。
だが、昨年10月、日銀は原油価格の下落で物価上昇期待がしぼむのを恐れ、追加緩和に踏み切る。黒田バズーカ第2弾だ。それまでに増やしたマネーの役割の検証など後回しで、大慌てで決めたようにみえた。
貨幣数量説では個々の価格変動よりも、マネーの総量に規定される「物価全体の動き」が重要としていたにもかかわらず、である。虚を突かれた株式市場はうれしい誤算に急騰したが、日銀が依拠する政策決定の軸はぼやけてしまった。
そして今回の決定会合。物価上昇率目標も先延ばしにした。昨年の経験を踏まえれば、追加緩和してもおかしくなかった。日銀内部には一貫性を保つために追加緩和を容認する声もあったが、結果は違った。政策の軸は再びぶれた。
はっきりしたのは、日銀が貨幣数量説的な立場から距離を置き始めたことだ。かつての故三重野康総裁時代のような「森羅万象を考慮する総合判断」に先祖返りするのかもしれない。インフレ期待が上がらず、株価は乱高下し、中国減速の影響も判然としない。経験則が通じない経済情勢の下で、「世間」ならぬ「市場」も異次元緩和の夢から覚めつつある。
(三剣)
[日経新聞11月7日朝刊P.19]
- 外国勢の日銀観に変化も あっしら 2015/11/10 03:56:59
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