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米国経済が「大インフレ」なら、円ドル相場は円安方向に振れるはず
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/199.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 02 日 04:13:38: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 来年「100円間違いなく切る」、超円高的中の若林氏-米大デフレ(ブルームバーグ) 投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 01 日 16:47:05)


 若林氏は、外国為替相場について、「私はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)というのは関係ないと思っている」とのことだから、経済論理の話は意味がないかもしれないが...

 若林氏は、「世界的にはQEの資産価格押し上げが限界に達し、リーマンショックから始まったデフレが深刻化すると予想。米国は「大デフレ」になり、」とする一方、「日本は基本的に長期デフレを脱却している」という見方を示している。

 12年秋までの超円高は、ファンダメンタルズや経済論理というよりリーマンショックに端を発する「ユーロ圏銀行危機」による円への逃避が大きな要因であり、12年秋から現在に続く円安傾向は、「ユーロ圏銀行危機」解消(ECBの南欧諸国を含む国債の無制限買い取り表明)による巻き戻しと円安を支えると考えられる日銀量的緩和策が合体することで持続しているもので、どちらもファンダメンタルズに即しているとは言えない。

 また、コモディティ価格の下落や中国経済不調による工業製品価格の低迷が世界的なディスインフレ状況をもたらしていると思っているが、それがデフレましてや「大デフレ」になるとは考えていない。

 外国為替相場は、短期はともかく、中長期的には輸出品価格を中心としたインフレ率の差で規定されるものであり、米国経済が「大デフレ」になれば、円ドルレートは円安傾向に振れることになる。
 若林氏自身も、「ドルが2008年から上がり続けているのは「日本のデフレ円高と同じ」米国がデフレだから」と説明し、FRBの金利引き上げ政策を批判している。

 1ドル=100円割れにならないとは言わないが、米国が「大デフレ」になり日本は長期デフレを脱却という構図なら、購買力平価理論を考えればわかるように、円ドルレートは円安になると判断するほうが理に適っている。

 付け加えると、ここまでくると悪いこととは言い切れないが、1ドル=100円割れになると、日本はデフレに戻る可能性が高い。

 最後に、若林氏は、「米国はなりふりかまわずドル安だろう」と予測しているが、ドル安になってしまうことは仕方がないとしても、国際金融国家アメリカが、利益に反する意図的ななりふり構わずのドル安政策に走ることはない。

 

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コメント
 
1. 2015年10月07日 07:12:39 : jXbiWWJBCA

世界経済に影落とすアジア新興国のデフレ 東から吹き付ける不吉な風、世界デフレに突入する恐れも
2015.10.7(水) Financial Times
(2015年10月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

アジア新興国から吹き付ける冷たい風(写真は上海)
 物価の変動は多くの場合、世界的な変化を早々に知らせる前兆となる。例えば、13世紀のモンゴルの欧州侵攻の場合、英国人が感じ取った最初の兆候は、東海岸のハリッジ港での魚の価格の急騰だった。侵略者と戦うために乗組員が方向転換を命じられた後、バルト海の漁船団が航海をやめ、その結果、イングランド最大級の市場への魚の供給が断たれたのだ。

 東方で生じた現在の経済的激変は大きく異なるが、それは確かに世界の運勢を危うくする変化が起きていることを示唆している。

 デフレ(製品価格の長期的な下落)はアジア新興経済国からの寒気のように吹き荒れ、日本と欧州に水を差す一方で、景気回復を維持しようとする米国の努力も危険にさらしている。

 全般的な物価下落は、消費者にとっては無害に思えるかもしれないが、実際には経済政策の立案者に恐れられている。というのも、物価下落は企業収益を蝕み、企業に人員削減を強い、需要全般を徐々に奪っていくからだ。

深まるデフレスパイラルの脅威

 デフレは1929年の米国の株価暴落を大恐慌に発展させた原因とされている。2008〜09年の金融危機の後に物価の下方スパイラルが生じかねないという不安は、量的緩和に乗り出すことにした米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長(当時)の決断の裏にある大きな動機だった。QEと呼ばれるこの金融政策は、それ以来ずっと、世界の経済サイクルを支配してきた。

 こうした理由から、深まるアジアのデフレスパイラル――製造業の過剰生産設備や貿易需要の消滅、生産性の停滞によって引き起こされたもの――の兆候は大きな懸念材料だ。この問題の構造的な性質のために、その不安が増幅されている。

 折しも欧州連合(EU)と日本が再びデフレに陥る一方、米国が弱い企業収益に苦しんでいる時にアジアのデフレが起きているということは、アジアの物価下落を極めて重要な問題にしている。

 「我々は世界デフレに向かっている可能性がある」。大手銀行ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の欧州マクロクレジット調査責任者、アルベルト・ガロ氏はこう言う。「我々はあらゆる場所で過剰な借り入れを行い、生産能力を削減するどころか、物価を押し下げている長期的な過剰設備状態を生み出している。中国がその最たる例だ」

 資産運用会社インベステックのストラテジスト、マイケル・パワー氏も、世界規模のデフレ転落の脅威について心配している。

 同氏は物価下落を、アジアの供給過多と西側の需要不足の間の根本的な不均衡の結果と見なしている。

 「経済的な観点から言えば、物価が下落しているのは、アジアから来る協調的な供給がQEなどの措置を通じて需要を喚起しようとする西側の最善の努力を圧倒してしまっているからだ」と同氏は言う。

 悪夢のデフレシナリオは、アジアの物価下落が企業の利益を減らし続け、大量の余剰人員解雇を促し、消費需要を減退させることだ。その後、これが世界の需要に課す足かせが一段と大きくなり、欧州と日本の弱々しい経済成長を落ち込ませ、米国のダイナミズムをそぐ可能性がある。このシナリオのいくつかの側面はすでに現実となっている。

積み上がる問題

 アジアの問題のカギを握るのは、地域が患っている特殊なタイプのデフレだ。問題は消費者物価ではない。アジア地域の店舗の大半では、消費者物価はまだ上昇傾向にある。むしろ問題は、生産者物価にある。つまり、工場や鉱山、農家、その他の生産者が販売するコモディティー(商品)や工業製品、部品に課すことのできる金額だ。

出稼ぎ労働者暴動に厳重な取り締まり、中国広東省
中国の生産者物価指数は42カ月連続で下落している〔AFPBB News〕
 モルガン・スタンレーによると、アジアの10大経済国・地域(日本を除く)では、生産者物価指数の平均値が6年ぶりの低水準にある。

 10カ国・地域のうちインドネシアだけが多少なりとも生産者物価の上昇を経験しており、韓国、台湾、シンガポールは3年前後、デフレの憂鬱に陥っている。

 中国は42カ月連続の生産者物価の下落を記録しており、モルガン・スタンレーのアジア担当チーフエコノミスト、チェタン・アーヤ氏によると、1990年代の日本を除くと、これほどしぶといデフレ傾向を見せている唯一の経済大国となっている。

 全体的に見ると、中国の生産者物価は2011年の直近のピークから累計で10.8%下落している。物価が下落しているスピードは警戒すべき要因だ。昨年8月までは、コモディティーの生産者物価は1.1%の下落を見せている程度だった。それが今年8月には12.8%に達した。それ以外の点では経済が好調なインドのような国でさえ、過去1年間で生産者物価のデフレに陥った。

 また、アジアのデフレはひとえにコモディティー価格の世界的下落がもたらした結果なわけでもない。

 悪影響は工業製品と部品の価格下落からも明白だ。

 アジアの10大経済国・地域(日本を除く)では、こうした製品の価格が8月に平均して前年比4.4%下落した。

苦痛で悲鳴を上げる企業

 中国の工業会社は8月に前年比で8.8%の減益に見舞われ、統計が始まった2011年以来、最大の減益幅を記録した。モルガン・スタンレーによると、アジアのその他地域でも同じ傾向が繰り返されており、地域の一流上場企業の売上高と利益が今年第2四半期に減少したという。

 企業の悪影響には目を引くものもある。中国の大手石炭会社の黒竜江龍煤鉱業は先日、悲惨なバランスシートを救うための「生死をかけた」戦いで、10万人の従業員を解雇すると発表した。同社のワン・ジークイ会長は、龍煤は今年1〜8月期に巨額赤字を計上し、債務を返済するために、原料炭の炭鉱を複数閉鎖し、資産を売却していると語った。

 米国の重機メーカーのキャタピラーは税引き前の利益の6割を、新興国を中心とする米国外で稼いでいる。だが、2012年以降、20カ所の生産拠点の閉鎖と3万1000人の人員削減を余儀なくされた。同社は9月、2016年は前代未聞の4年連続の減収となる可能性が高いと述べた。

 やはり機械メーカーで精錬・精錬装置を生産している国営の中国第二重型機械集団は先月、地元の裁判所が同社の債権者からの債務再編要求を受理した後、利払いでデフォルト(債務不履行)した。

 こうした出来事は将来の予兆のように見え始めている。今年は新興国の借り手による外貨建て債券でのデフォルトが、少ないながらも、それなりの数で発生している。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によれば、今年1〜8月期に16件のデフォルトがあり、2014年通年の実績を上回っているという。

 企業の莫大な過剰債務が「バランスシート不況」のリスクを高めていることから、アジア全土での利益の減少は特に深刻だ。

 バランスシート不況では、高い債務返済コストが企業に支出や投資よりも貯蓄に集中することを強い、ひいては成長を鈍らせる。

 コンファレンス・ボードのシニアエコノミストのアンドリュー・ポルク氏(北京在勤)は、中国でそのような不況が現に起きていると見ている。特に小規模な生産者の間でその傾向があるという。

 業界団体の国際金融協会(IIF)は、新興国では過去10年間で非金融会社の債務が5倍に増加しており、アジア――そして特に中国――が増加分の最大のシェアを占めたと指摘する。こうした企業の債務総額は現在、23兆7000億ドルに上っており、新興国の国内総生産(GDP)合計の9割に相当するとIIFは試算している。

憂慮すべき債務増加のスピード

 「債務増大のスピードは驚くべきものだった」。IIFのフン・トラン専務理事はこう話す。「すべての調査研究が、債務を積み上げたスピードが当該債務の質とその後の危機に重大な役割を果たすことを示している」。さらに、「企業の借り手の間で、その債務を返済する負担が増している様子が確かに見える」と同氏は付け加える。

 企業の投資収益を低下させるデフレスパイラルと結びついたこの債務負担の影響は、新興国からの資本純流出に拍車をかけた。IIFは新興国からの資本純流出が今年5400億ドルに達する可能性があると試算している。資本の流出入が差し引きでマイナスになるのは、1980年代後半に新興国が1つの概念として発展して以来、初めてのことだ。

 要するに、問題は、工場と機械に直接投資を行う人も株式と債券にポートフォリオ投資する人も新興国――そして、その区分内でアジア――のことを、現時点でお金を置いておく魅力的な場所と見なしていないということだ。生産者物価の下落が企業のリターンを低下させる一方、債務返済が利益を減殺するからだ。

 国際通貨基金(IMF)は先月、FRBや他の中央銀行が金融政策を引き締めたら、債務を負った企業にかかるストレスが増すと警告した。FRBは年内か2016年初めに10年ぶりの利上げを行う見込みだ。

 IMFは年に2度発行される国際金融安定性報告書の最新版で「新興国市場は企業の破綻の増加に備えるべきだ」と述べている。

 デフレの古典的理論は、いわゆるバーナンキ・ドクトリンで支持されているものも含め、生産者物価の下落は総需要の急減の結果生じると定めている。バーナンキ氏が2002年に述べたように、これが「買い手を見つけるために生産者が継続的に値下げしなければならないほど厳しい支出の落ち込み」につながるという。

 この分析がデフレの脅威に対する主な米国の対応に直接つながった。QEを通じて経済に流動性をつぎ込むことによる需要の喚起がそれだ。

 だが、少なくともアジアのデフレの場合は、生産者物価を押し下げている最大の要因は、需要不足ではなく供給過剰である可能性が高いように見える。

 もしそうだとすれば、果てしないQE――ガロ氏の表現を借りるなら、「QEインフィニティ」――は企業への低利融資の提供を通じて過剰供給を長引かせる役目を果たすことで、デフレの問題を緩和するどころか、むしろ悪化させる可能性がある。

 「『QEインフィニティ』はそれだけで長期的にデフレを招く可能性がある。過剰設備の問題が解決されずに、先延ばしされることを意味するからだ」とガロ氏は言う。「それが今度は、長引くデフレと資産価格のバブルを同時に引き起こす可能性がある」

崩れる参入障壁

 パワー氏は、いつまでも続く製品の過剰供給の理由として、アジアの製造業における参入障壁の崩壊を挙げる。地域全体で製造業の投資を呼び込むことを狙った各国政府のインセンティブ――優遇税制や土地購入の値引き、その他の国家政策など――も、その原動力になっている。

 「ベトナムはサムスンの新しい巨大携帯電話工場を誘致した。バングラデシュは、ローエンドの紡績業が移転している先だ。カンボジアとインドネシアも、ここで勝ち始めている」。パワー氏はこう言う。「一方、インドは独自の『メーク・イン・インディア』キャンペーンに乗り出しており、すでにスクーターとオートバイのリーダーになっている」

2014年の中国経済、24年ぶり低成長か AFP調査
アジアの貿易は伸びがぴたりと止まってしまっている〔AFPBB News〕
 パワー氏の言うところのこの「供給のツナミ」はアジアの貿易不況にぶち当たっている。

 アジア地域の輸出は2008〜09年の危機以来最悪となる成績を残しており、調査会社キャピタル・エコノミクスがまとめたデータによると、輸出は7月に前年比で7.7%減少し、ドル建てで9カ月連続の減少を記録した。

 しかし、アジアの貿易の伸びの消滅というトレンド自体よりも、その理由の方が大きな心配の種だ。ドルに対する各国通貨の下落は、通常予想される輸出の増加をもたらしていないが、それでも通貨安は輸入品に対する需要を押し下げており、その結果、デフレ傾向を悪化させている。

 本紙(英フィナンシャル・タイムズ)の調査では、通貨が対ドルで1%下落するごとに、輸入量が平均0.5%減少することが分かった。

 過剰生産能力がまだ慢性的で、貿易需要が減退しており、生産性が停滞し、世界経済がお粗末な状態にある今、アジアのデフレ期のこの段階で明るい兆候を見つけるのは難しい。

デフレはまだ始まったばかり?

 IIFのトラン氏は歴史的な複数年サイクルで物事をとらえている。1890年代以降、4度あったというコモディティーのスーパーサイクルの上昇局面は概して20年前後続き、下落局面は15〜26年間続いたと同氏は言う。

 「我々は下方サイクルの4年目にいる」。トラン氏はこう付け加える。「これは速やかに反転させられる問題ではない」

By James Kynge and Jonathan Wheatley

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44938


[32削除理由]:削除人:関係が薄い長文

2. 2015年10月07日 07:13:17 : jXbiWWJBCA
世界の最先端だった江戸時代の通貨・金融システム 江戸時代にすでにあった変動相場制

宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説
【第20回】 2015年10月7日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]


?時代劇でみられるように、江戸時代には金(小判:両)と銀(匁〈もんめ」)と銅(銭:文)の3つの通貨から成り立っていました。幕府が通貨発行権を独占しており、17世紀初頭の公定相場では、一応、50匁=4000文となっていましたが、実際には3通貨の相場は「変動」していました。つまり、国内で変動相場制のメカニズムが存在していたのです。それは、需給によって日々変動していました。例えば、金の産出量が増えると、金が余り気味になり、銀に対する値段が安くなりました。

?また、金(貨)には大判と小判がありましたが、大判は記念品(贈答品)で、実際に使われることはあまりありませんでした。さらに、銀は(これが特徴なのですが)重さの単位として使われました。これを専門用語では秤量(ひょうりょう)貨幣といいます。そのため、重さの単位である「匁」が使われていたのです(1匁=3.75グラム)。銀は貴金属としての価値を重視したモノサシとしての役割を果たしていました。

?また、「東国の金遣い・西国の銀遣い」という言葉がありましたが、江戸を中心とした東日本では「金」が主として使われ、大坂(大阪)を中心とした西日本では「銀」が主として使われました。これは東日本には佐渡金山などの金の産地が比較的多く、西日本では石見銀山などの銀の産地が比較的多かったからです。また、西日本では昔からの貿易で、中国やスペインから入ってきた銀貨の影響もありました。このとき、例えば、江戸の景気が良くなったり、江戸に行く人が増えてくると、江戸で使う金の必要性が増し(金を購入し)、金の値段が変動して高くなりました。

「両替屋」「金相場立会所」そして「先物市場」

?金・銀・銅の他に「米」もまた通貨としての役割を果たしてきました。よく武士の年棒は「何万石」などといって米の量(出来高)で決められていました。そして、大名は「蔵」に米などを保管して、おカネ(貨幣)が必要になると換金して使っていました。

?江戸時代は大坂が「天下の台所」として、日本の経済の中心地でした。大名は自国で得た米を「(米)市場」がある大阪で「銀」に換金し、その銀を必要に応じて、金に交換していました。そのため、多くの「両替屋(現在の銀行)」が存在していました。(両替屋は預金も受け入れていました)さらにはその両替屋は大坂北浜の「金相場立会所」で売買を行い、相場を決めていました。

?また、米を銀に換金するときに、大坂堂島の米市場では需給をベースにして米価が決まっていました。しかも「先物取引」まで行われていました。先物市場はシカゴ先物取引所(CBOT: Chicago Board of Trade)が1865年に設立され、米国では最古ですが、世界では大阪が最古で1730年代にはすでに商品先物取引所が存在していたのです。

銭形平次の寛永通宝はアジア諸国でも使われていた

?17世紀の徳川家光の時代には、銅貨「寛永通宝」が大量に発行され、その後も発行され続けます。寛永通宝はその後も銅貨の代表となりました。あの銭形平次が投げているのもこの寛永通宝です。穴があいているので保管と輸送が楽でした。

?寛永通宝は貿易にも使われ、良質の鋳造貨幣であるため海外でも評価が高く、そのころのアジア諸国でそのまま使われていました。ちなみに「ベトナム」の通貨「ドン」の語源は寛永通宝の「どう(銅)」だといわれています。また17世紀後半になると、藩の領内で通用する「藩札」という紙幣が「藩(大名)」から発行されました。公式には幕府が禁止していたにも関わらず、幕末まで大量発行されていました。

?これは現在でいうと「地方債」や「地域通貨」のようなものです。これは藩(大名)の信用がベースとなったもので、資産の裏打ちが無く、現在の紙幣に近いものです。

?18世紀になると、日本は本格的に貨幣経済の時代を迎えます。立会所を使用した「三通貨変動相場制」、主要産物である米をベースとした「先物取引市場」、質の良い「金属鋳造技術」、そして信用をベースとした「藩札制度」から成り立つ金融システムは現在の日本のそれよりも進んだものといえるかもしれません。

?このシステムは大坂と江戸という2つの中心都市から成り立ち支えていた制度といえるものです。18世紀の江戸時代には大坂と江戸は世界的にみても繁栄を極めていました。江戸は100万人を突破し世界一の都市となり、大坂もロンドンやパリと同程度の40万人を超える人口を擁しました。

?江戸は政治・消費都市であり、大坂は供給・商業都市で、実質的な経済・金融の中心でした。金をベースとした東日本と銀をベースとした西日本の経済規模は4:6とみられ、西日本の方が大きかったのです。

?このように日本には古来より、通貨・金融システムにおいて「世界最先端」の洗練された、ある意味、今よりも進んだ仕組み(システム)がありました。日本の金融界ももっと自信を持ってもよいのではないでしょうか。

※「宿輪ゼミ」は2015年9月に、会員が“1万人”を超えました。
※ 本連載は「宿輪ゼミ」を開催する第1・第3水曜日に合わせて、リリースされています。連載は自身の研究に基づく個人的なものであり、所属する組織とは全く関係ありません。


【著者紹介】
しゅくわ・じゅんいち
?博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、来年の4月で10年目、まもなく200回開催、9月に会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
Facebook宿輪ゼミ:https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/
公式サイト:http://www.shukuwa.jp/
連絡先:info@shukuwa.jp
http://diamond.jp/articles/-/79508

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