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VW不正 ディーゼル車の国内販売影響を懸念 他社は「同一視が怖い」の声(SankeiBiz)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/816.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 25 日 09:21:45: igsppGRN/E9PQ
 

VW不正 ディーゼル車の国内販売影響を懸念 他社は「同一視が怖い」の声
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150924-00000005-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/9/25 08:15


 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を受け、ディーゼル車の国内販売への影響が懸念されている。VWの日本法人は24日、来年予定していた国内への投入を見直す可能性を明らかにした。ディーゼル車は力強い走りや燃料の安さから国内でも人気が高まり始めていたものの、不正問題が需要拡大に冷や水を浴びせかねない。

 VWの日本法人フォルクスワーゲングループジャパンは、主力モデル「パサート」のディーゼルエンジン搭載車を年内に発表し、来年1〜3月に投入する計画を打ち出していた。今回の問題で、同社の担当者は「ドイツ本社とも相談するが、見直す可能性がある」と述べた。今後の事実究明や消費者の反応などを見極める考えだ。

 日本では大気汚染や騒音などのマイナスイメージから消費者に敬遠されてきたディーゼル車だが、近年、最新の環境規制をクリアしたクリーンディーゼル車をメーカーが開発。低燃費で加速性能があり、燃料の軽油も安いため、国内市場全体が伸び悩む中で、好調な販売を維持していた。日本自動車販売協会連合会(自販連)によると、今年1〜8月の販売は10万5127台と前年同期の2.3倍に急拡大している。

 2012年にスポーツ用多目的車「CX−5」のディーゼル車を投入して市場を牽引(けんいん)してきたマツダは、モデル設定がディーゼル車のみの「CX−3」を今年2月に発売。6月にはトヨタ自動車が乗用車として8年ぶりにディーゼル車を復活させた。独メルセデス・ベンツや独BMWなど海外勢もハイブリッド車に並ぶ「エコカー」としてアピールしていた。

 排ガス中の有害物質の低減方法はメーカーごとに異なっており、マツダは「各国の法令を順守している」と強調する。今回のVWの不正について、他社からは「ディーゼル車が環境に悪いと同一視されることが怖い」と懸念する声が上がっている。

 各国の環境規制をクリアしたクリーンディーゼル車は燃費の良さや二酸化炭素(CO2)の排出量の少なさから欧州を中心に支持されてきたが、大気汚染物質の原因との指摘もある。

 マツダは得意とするクリーンディーゼル車を米国では販売していないものの、24日の東京株式市場で同社の株価は終値で前週末比134円安の1836円と7%近くも急落。VWにターボチャージャー(過給器)を納入するIHIが年初来安値を一時つけ、グループ会社が変速機を供給するアイシン精機も前週末比の下落率が7%を超えた。


 

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コメント
 
1. 2015年9月25日 10:44:25 : OO6Zlan35k
環境大国ドイツ赤っ恥、フォルクスワーゲンの環境不正
米国による弾劾は1社、1国のみならず欧州全体に影響必至
2015.9.25(金) 伊東 乾
独VW、排ガス不正問題の影響車数1100万台
ドイツ・ベルリンにある同国の自動車大手フォルクスワーゲンの販売店〔AFPBB News〕
 ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンのディーゼル車不正は世界に様々な波紋を投げかけることになるでしょう。

 まだ明らかになっている事実は限られており、今後の報道に注目していきたいと思いますが、同時に限られた情報からも察せられる背景や、中長期的な影響の可能性を急ぎ検討して見たいと思います。

不正ソフトウエア搭載

 まず、9月23日時点で明らかになっている容疑事実を確認しておきましょう。

 米国の当局が告発するところによれば、フォルクスワーゲンは2008年以降に出荷された1100万台に及ぶディーゼル車で、実際の走行時には排ガスが環境基準を上回る規制物質を含むのに、検査時のみはそれが下回って表示されるような不正ソフトを搭載した、とされています。

 すでにフォルクスワーゲン側から謝罪が出ており、この事実は動かないものかと思われます。

 米国側は刑事事件としての捜査を検討とのこと、ミスとか過失ではなく、意図的になされた犯罪であるとの見方が伝えられています。

 「事件」の真相は今後段階的に明らかになっていくでしょうが、もし報じられるとおりであれば、こうした「ちんけなインチキ」がどうして発生したのか、それはいったいどのレベルで引き起こされた「犯罪」で、社内でもどの範囲までが関わり、また周知の環が広がっていったのか、といったことが気になります。

 まずもって邪推するなら、厳密化する環境基準に対応してエンジン回りなど自動車自体の対応イノベーションに要するコストを<不正削減>したのだろう、といったことは察せられます。

 2008年という年号はリーマンショック〜東西冷戦体制が崩壊した「冷戦後」のレジームが経済の切り口からほぼ完全に崩壊した時期に当たることも注目すべきでしょう。

 「ポスト冷戦期」に拡大した風呂敷の中身を問われ、広げ過ぎた裾野に対応できず贋金を包んでそ知らぬ顔をして過ごさざるを得なかった・・・といった経過が見て取れます。

環境大国の基幹からの不正

 今回の「不正ソフトウエア」がほかの国を代表する自動車会社であれば、例えばBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)といった新興国など、それはそれで犯罪的な環境負荷など重大な問題と思います。

 が、よりによって環境大国として知られるドイツを名実ともに代表するフォルクスワーゲンで、検査逃れのインチキソフトが意図的に組み込まれていた、とすれば、別種の信用を大きく失墜している点を指摘せねばならないでしょう。

 ドイツは日本の比でなく自然食専門スーパーなどが普及し、環境基準も厳密、さらに、様々な背景があってのことですが、世界に先駆け、いち早く脱原発を打ち出し、循環型の社会経済をリードするエコロジー立国で国際社会をリードしてきました。

 そこで課される高く厳密な基準ハードルは、内外に垂範するものだったはず。

 その信用を土台から崩すような「検査逃れソフトの意図的組み込み」は、単にフォルクスワーゲン1社のみと言わず、ドイツの環境基準とそのチェックそのものが、いったいどうなっているんだ!」と怒鳴り込まれて何も言えないレベルのものです。

 米国の発表では「最高で環境基準の40倍にあたる窒素酸化物」とのことですが、このインチキがどのようなきっかけで明らかになったたかも非常に気になるところです。

 報道は「単なるリコール問題という以上に根深い」「部品メーカなど含め影響の拡大は必至」などと伝えますが、単にフォルクスワーゲンやドイツ車のみならず、かなり広範なドイツ〜欧州の<世界で一番良好なはず>の「品質保証不安」に拡大しないことを祈るばかりです。

 少なくとも今回の発覚がきっかけで、製品と業種を問わず、様々な検査がより厳密に行われ、信頼のブランドと見られていたものが、疑いの目を向けられる可能性は十分高まるでしょう。

 少なくとも競合するライバルを叩こうという底意があれば、生き馬の目を抜く市場競争、こんなケースが出てきてしまえば、様々な動きがあっても全く不思議ではありません。

 欧州がリードしてきた、人類全体の共通する敵としての「地球環境破壊への戦い」は、1989〜90年にかけての冷戦崩壊以降、グローバル社会を1つにまとめる大きなシナリオでありました。

 「京都議定書」などを中心とするグローバル・エコロジーの見通しが立ちにくくなった直後から、値引きできない生産の現場でこのような偽装が進んでいたとすれば、これほど皮肉なことはないと言わねばなりません。

「米国発」の示すもの

 今回の告発は、もちろん犯罪的な偽装があったために、それが必然の訴追を受けているわけですが、米国がドイツ経済の顔に正面からバケツの水をぶっかけていることにも注意しておく必要があるように思います。

 例えばウクライナ情勢の緊迫化に伴う和平の模索にあって、ロシアとウクライナ両国の調停にあたったのはドイツ+フランスすなわちEUの中核2国であって「世界の警察官」であったはずの米国は姿を現しませんでした。

 中東にあっても、あるいは私たちの住む東アジアでも、米国はかつての一国超大国時代・・・おおまかに2008年前後に収束してしまった「パックス・アメリカーナ」状況とは大きく異なる振る舞いとならざるを得なくなってしまった。

 右傾化した暴言の続く共和党のドナルド・トランプ氏のような人物が持て囃される程度に内情が変化している米国の姿勢転化とともに、先日来日本の国会で起きている出来事も過不足なく冷静に見つめる必要があると思います。

 そんな中で米国からドイツ車不正の正面から弾劾は、一種の経済戦と言うべき様相を示すと見る必要場あるかもしれません。

 フォルクスワーゲンの不正、その尻尾を掴んでから容疑事実の首根っこを押さえるまで、米捜査当局がどれくらいの時間をかけ、どのように入念につぶしていったのか、今後進んだ報道があると思います。

 一定の腹をくくらねばできないことであるのは間違いなく、単に1社の不正に対するリコールとしてのみ見ることは、こうした観点からもできないように思います。

マーストリヒト体制へのボディーブロー

 私が今回の報道に接して最初に感じたのは、特定のメーカー1社とかドイツ車、あるいはドイツというだけでなく、「ユーロ」への打撃という側面です。

 大げさと思われる方もあると思いますが、現在地球上に存在する2つの広域通貨「ユーロ」と「ドル」という観点からすれば「ドル」から「ユーロ」へのパンチであることは間違いなく、ボディーブローのような形でこれが利いてくるのは避けられないかと思います。

 中東から欧州を目指す難民のEU全体で12万人規模で受け入れなど、世界の火消しとしての欧州の役割が期待されるなか、欧州経済全体に加えユーロという通貨自体を支えてきたドイツで、基幹を牽引する「国民的企業」から、このようにグローバルな不正が明らかになったことの持つ意味、類似のリスク、効果波及の食い止めなど、真剣に考え取り組まねばならぬ問題が山のように浮かびます。

 国家規模でのギリシャ経済の粉飾が白日のもとに晒された後、ユーロ圏中央の野放図な融資が批判の対象となりましたが、そのユーロ圏のど真ん中自体がこのような形で実はその場を凌いでいた事実、そこから垣間見える病の根は決して浅くありません。

 日本にとって全く他山の石でない事態の推移を、注意して見守るべきだと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44838

[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

2. 2015年9月25日 11:04:05 : OO6Zlan35k
2015年9月24日 週刊ダイヤモンド編集部
不正ディーゼルショックの独VW、
半年天下で首位陥落危機

「わずかな人数によるミスで、 何万人もの真面目な従業員が一様に疑われることは正しいことではありません」と組織的関与を否定したヴィンターコーン社長だが、引責辞任に追い込まれた
Photo:gettyimages
独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が前代未聞の危機に直面している。米国の排ガス規制試験で不正を働いていたことが発覚、事態はマルティン・ヴィンターコーン社長の辞任劇に発展。今年1〜6月の世界販売台数で初の首位に立ったVWの“天下”は、名実共に地に落ちた。(週刊ダイヤモンド編集部 池田光史)

 事態は急展開した。9月23日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)のマルティン・ヴィンターコーン社長は突如、声明を通じて辞任を表明。本稿執筆の24日時点で、25日には監査役会が後任の社長を決めるもようだ。

 今年1〜6月の世界販売台数でついにトヨタ自動車を追い抜き、初の首位に立ったVWに何が起きているのか。事の発端は9月18日、米国の環境保護局(EPA)が公表した告知文だった。VWは2008年以降に米国で販売していたディーゼル車において、「defeat device」と呼ばれる違法ソフトウエアを搭載して排ガス規制に対応していたと認定されたのだ。

 一定の速度やエンジン回転数など、新モデル発売前の排ガス規制の試験には決められた“課目”がある。そうした試験時の特定状況を検知し、トルク(エンジンを回転させる力)や燃費などのエンジン性能を犠牲にすることで、技術的にトレードオフの関係にある大気汚染ガス排出量を試験時だけ低下させるプログラムをセットしていたことが発覚。実際の走行時には、窒素酸化物(NOx)などの排ガスを基準値の最大40倍も垂れ流していたという。

http://diamond.jp/mwimgs/f/d/400/img_fd5055525ea340e30147e754a610395938850.jpg
Photo:gettyimages
 その影響たるや凄まじい。対象車はこの期間に販売された「ゴルフ」「ビートル」「ジェッタ」「パサート」などの主力車種に加え、グループ高級車部門のアウディ「A3」など計48万2000台。EPAは1台当たり最大約450万円もの制裁金を科すとしており、合計約180億ドル、日本円にして実に約2兆1600億円(!)という途方もない金額に膨れ上がる。

 これを受けて同社の株価は大暴落、21〜22日の2日間で31%も下落した。それもそのはず。VWの14年の営業利益は126億9700万ユーロ(約1兆7000億円)、制裁金だけで年間利益が全て吹き飛ぶことになるのだ。

 VWの利益剰余金は14年12月時点で約712億ユーロ(約9.6兆円)あるため、即座に経営が立ち行かなくなるわけではない。とはいえ、その影響は米国にとどまらず、全世界に広がりつつある。21日以降、ドイツやイタリア、カナダ、韓国など各国当局が調査に乗り出す意向を表明した。

 さらにVW側も22日、同様の問題が発生し得る対象車は世界で約1100万台に上ると公表。7〜9月期に約65億ユーロ(約8700億円)の引当金を計上したが、今後、積み増しを迫られる可能性もある。

 同日、ヴィンターコーン社長はビデオ声明で「わずかな人数によるミス」と断定し、組織的関与を否定。だが、その翌日には引責辞任に追い込まれた格好だ。

 しかし問題は、その制裁金の大きさやトップ更迭よりも根深い所にある。欧州自動車産業全体で築き上げてきた、環境に優しい「クリーンディーゼル」ブランドに対する信頼失墜だ。

ディーゼル神話に疑惑の目

 そもそものきっかけは14年、米ウェストバージニア大学と第三者機関が公道での実質的な排ガス実験をしたところ、著しく基準値を超える“怪しい車”が見つかったこと。報告を受けたEPAやカリフォルニア州当局は当該車の製造元であるVWに説明を求め、14年9月にはVWは不正ソフトウエアの存在を認めていた。

 不正の背景の一つには、排ガスに敏感で、窒素酸化物の基準値が日本の約2倍も厳しい米国の排ガス規制がある。

 ディーゼル技術では日本で独走するマツダですら現時点では燃費と排ガスのトレードオフという技術的課題をクリアしておらず、最難関の米国ではまだディーゼル車を投入できていない。それをVWは、“カンニング”して不正回避していた可能性があるわけだ。

 08年といえば、今や環境に優しい「Think Blue」をうたうVWがクリーンディーゼルの先駆けとして搭載した直噴ターボディーゼル技術「TDI」を刷新した時期と重なる。VWは欧州発のクリーンディーゼルを引っ提げて、09年には「ジェッタ」がディーゼル車として初の米グリーンカーオブザイヤーを受賞していた。

 今回の対象車は全て、そんなエポックメーキングなテクノロジーが搭載された車種。それだけに、同社の革新的なイメージが地に落ちることは避けられない。同様にクリーンディーゼルを次世代環境車の主力に据える欧州自動車産業全体に影響を及ぼし始めている。既に騒動は、独BMWや独ダイムラーなどに飛び火している。


Photo:gettyimages
 国を代表する企業の一大スキャンダルを受けて、メルケル独首相は22日、「透明性を示し、全ての行為を明らかにすることが重要だ」とコメントを発した。

 米国では数週間以内に公聴会が開かれる予定で、集団訴訟や司法省による刑事訴追も取り沙汰される。トヨタ超えを果たし、つかの間の“天下”を味わったVWの悪夢は始まったばかりだ。
http://diamond.jp/articles/-/78966


モビリティ羅針盤〜クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫
【14回】 2015年9月25日 佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
 
突然のディーゼル車不正発覚
王者VWにいったい何があったのか?


ディーゼル車の不正発覚で引責辞任したフォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコーン社長・CEO Photo:AP/AFLO
 日本ではシルバーウィークの連休に入った矢先の9月19日の朝(米現地時間18日)、米環境保護局(EPA)が独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車で排ガス試験のときだけ排ガス量を減らす違法なソフトが使われていたとして、対象となる48万2000台のリコール(回収・無償修理)を同社に命じたというニュースが飛び込んだ。加えて米EPAは、VWに対して大気浄化法違反の通知を送り、調査を開始した。

 米国におけるVWへのリコール対象車は、2009年以降2015年までに販売された「ゴルフ」「ビートル」「パサート」「ジェッタ」に、グループ傘下のアウディ「A3」を加えたディーゼル5車種。米EPAによると、通常走行時の窒素酸化物(NOx)の排出量は基準値の最大40倍という。

 当事者のVWは、その2日後の20日、独本社のマルティン・ヴィンターコーン社長が「お客様と国民の信用を傷つけ、深くお詫び申し上げます」との声明を発表。米EPAの指摘を認めた形で、さらに米国だけでなく、欧州などでも調査が広がり、グローバル戦略全体に影を落とす最悪の状況となりつつある。

 独VWはさらに22日、米EPAによるリコール対象車でディーゼルエンジン「EA189」を搭載したVWグループディーゼルE車において、試験結果と走行時の窒素酸化物(NOx)など排ガス量のデータが異なったことを認めている。

 このエンジンを搭載した車両は世界で1100万台に上り、対策費用として約8700億円を7-9月期決算に特別損出として計上することを発表した。そして23日、マルティン・ヴィンターコーン社長・CEOが「VWは心機一転で再出発が必要」と辞意を表明。事態はトップの引責辞任にまで至ることになった。

 いったいVWに何があったのか。

 VWは世界の自動車メーカーの中で、リーマンショックを挟んで最も成長を示した企業グループであり、今年上期には日本のトヨタ自動車を抜いて世界トップの販売を示し、世界一の座を奪還したばかり。環境技術やモノづくりでも優位性を示す動きを見せてきたが、今回の不祥事は巨額の制裁金が今後発生する可能性もあり、大幅な業績悪化予想と社長の引責辞任で経営面を揺るがされることになる。だが、それ以上にVWグループのブランドと信用力の失墜に繋がる打撃が大きい。

 メルケル独首相が「VWは完全な透明性を示すことが重要だ」とのコメントを発し、VWに情報公開の徹底を要求する異例の事態になっており、欧州を代表する自動車大国・ドイツの面子にも影響を及ぼしかねない。また、欧州株式市場ではVW株の大幅下落だけでなく、ダイムラーやBMW株も下落、さらに仏ルノー、プジョーシトロエン株も下落するなど、VW問題が欧州株式市場全体に連鎖することにもなった。

 VWは、社内調査と米EPAなど関係機関との協力によって原因を明らかにするとしており、現時点で不明な点を今後の情報公開に委ねることになる。それにしても、環境技術でも先行し、かつ欧州市場で高い販売シェアを持ち、実績を積み重ねて「クリーンディーゼル」を環境戦略の最前線に打ち出しているVWが、こんな排ガス規制逃れをする必要があったのか、疑問である。

 問題となったディーゼル車だが、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べてコストが安い軽油を燃料とし、二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく燃費もいいというメリットがある半面、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出や騒音が多いというデメリットがあった。

 日本でもディーゼル車に対しては、大気汚染の観点からかなり厳しい見方が多く、過去には石原慎太郎東京都知事時代に「ディーゼル悪玉論」が横行したこともある。当時、都知事会見で石原氏が、煤が溜まったペットボトルをかざして、「ディーゼル車がこれだけ大気を汚染しているのだ」と強調したことを思い出す人も多いはずだ。

欧州ではクリーンディーゼル車が主流
市場に与える打撃は計り知れない

 余談だが、筆者は新聞記者時代、その後の石原都知事にインタビューをした際に、「ディーゼル車の環境対応技術もかなり進化して良くなりましたが」と問うたところ、「結果的に私があの会見で言ったことで、自動車各社が奮起してディーゼルエンジンが良くなったんだ」と、いかにも石原氏らしい答えが返ってきたことを思い出す。

 しかし元来、欧州ではディーゼル車の環境対応への意識が強く、硫黄分の少ない軽油の供給もあり、NOxなどの排出を大幅に削減する技術を使った「クリーンディーゼル車」が、欧州乗用車販売の5割以上を占め、主流になっている。必然的に、VWをはじめとする欧州の自動車各社は、環境対応技術の核としてクリーンディーゼルを主流とし、クリーンディーゼルエンジンとのプラグインハイブリッド(PHV)戦略に磨きをかけている。

 ディーゼル車の排ガス規制については、欧州のユーロ5からユーロ6、日本のポスト新長期規制、米国のTier2Bin5といった基準のクリアが求められ、VWは米国戦略としてディーゼル車を前面に押し出した展開を進めてきた。VWは2008年4月に、高圧と低圧の2つのEGR(NOx低減のための排ガス再循環装置)を組み合わせたシステムにDPF(ディーゼル微粒子循環フィルター)とNOx吸蔵還元触媒を組み合わせて、米国排出ガス規制をクリアすることを発表している。

 今回、米国で2009年以降のVW及びアウディのディーゼル車がリコール対象になったということは、当時の発表を受けて米市場に投入されたディーゼル車の品質が、全てリコールに該当していたということになるだろう。

ピエヒ帝国の「お家騒動」で
VWに見え始めていた変調の兆し

 今回の米国でのディーゼル車不正問題は、今後の社内調査や情報公開に委ねられるとして、結果的にVWのグローバル戦略に飛び火する打撃となり、かつ社長CEOの引責辞任という事態にまで追い込まれた。このような事態になった遠因を推測してみよう。

 VWは、フォルクスワーゲン(国民車)という社名からわかるように、ドイツの国民車を量産する自動車メーカーが母体となっている、ドイツを代表する企業である。VWは、フェルドナンド・ピエヒという人物なくしては語れない。

 氏はVWを創業したポルシェ家とピエヒ家の創業家出身で、1993年当時、大幅な赤字を出す経営危機にあったVWのトップに立つや、再建に向けたコスト改革や競争力改善への改革を一気に推し進めた。さらにマルチブランド戦略、プラットフォームを進化させたアーキテクチャー(設計概念)MQV戦略、高級化戦略と、これらを受けての外部成長を獲得するM&A戦略を積極的に推進した。

 ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティなどの欧州高級車ブランドを買収し、傘下のアウディ、ポルシェとの協業を推進。さらにマン、スカニアといった商用車ブランドから、二輪車のドゥカティ、デザインのジウジアーロまでをも傘下に収め、12のブランドを持つVWグループ帝国を形成するに至っている。唯一失敗に終わったのは、日本のスズキとの資本提携だろうか。

 このように、VW帝国を築いたのはフェルドナンド・ピエヒ氏という強烈なリーダーによるものだった。2002年に65歳の定年でVW取締役会会長を退任したが、監査役会会長として院政体制に移行し、ピエヒ氏独裁下でマルティン・ヴィンターコーン氏を2007年から社長に就任させ、右腕とした。

 この間、VWは次世代のモジュラー・マトリックス戦略である「MQB」を公表、3つのプラットフォームに集約する一方で、中期経営計画「ストラテジー2018」を推進中である。中期計画では、2018年のVWグループ世界販売1000万台達成、税引き前売上高利益率8%確保、最高の品質と顧客満足、最良の雇用者満足という4つの目標を掲げている。グループ1000万台については、2014年に前倒しでこの水準に乗せてトヨタに肉薄し、今年2015年上期でトヨタを抜いてトップに立ち、話題を投げかけた。

 ここまでは、ピエヒ独裁によるVW帝国の躍進だった。それが今年に入り、異変が起きたのである。VW帝国の絶対的なリーダーとして20年以上も君臨してきた「ドクターピエヒ」ことフェルディナント・ピエヒ氏が、4月25日にVWの最高意思決定機関である監査役会会長を辞任。これを独メディアは、「VWのお家騒動」と伝えた。

 この時点で「VW内部が揺れ動いているのでは」と伝えられた。昨年の米国販売が2%減の59万台に止まったこと、今年に入りトップを走ってきた中国事業が経済停滞の影響を受け、販売シェア首位だった中国販売が減少したことなどが響いて、世界販売が昨年実績を割り込んできている状況で、異変への兆候があった。

 日本市場でも、輸入車トップの座を長らく続けてきたVWブランドが今年上期でベンツブランドにトップを譲り、7月末には日本法人社長の突然の解任という事態も起きた。

北米市場伸び悩みへの焦りか?
巻き返し策が招いた最悪の事態

 特に、VWグローバル戦略における大きな課題が米国事業だった。中経では、米国市場での100万台販売が目標に掲げられており、そこではディーゼル車の浸透策が戦略の柱とされていた。だが、昨年は59万台と計画の5割強にとどまり、それによってVW内部に「焦り」が生じたのではないかと推測される。VWの米国事業は、1988年のペンシルベニア工場閉鎖によって生産撤退の屈辱を味わっている。それだけに、ディーゼル車を中心とした米国事業での巻き返しについては、「何としても成功させたい」という意気込みがあったはずだ。その気負いが裏目に出たのだろうか。

 一方、VWの環境技術対応は世界覇権を争う日本のトヨタと一線を画した方向で進められてきた。トヨタはハイブリッド車戦略で先行優位性を示し、近く4代目プリウスを市場投入する。進化させたハイブリッド技術をプラグインハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の要素技術を含むコア技術として、パワートレーンの多様化に対応する。水素社会到来への先行策として、昨年12月にFCV「MIRAI」を日本市場に投入し、米欧には本年10月から投入予定だ。

 これに対しVWは、ダウンサイジングターボと呼ばれる小排気量過給エンジンやクリーンディーゼルエンジンなど内燃機関の効率化・進化に力を入れてきた。さらに高出力ディーゼルを開発し、ダウンサイジングを進めている。電化パワートレーンの強化、特にプラグインハイブリッド(PHV)へ注力する方向にある。当面目指すロードマップは、エネルギー効率の高いダウンサイズ・ディーゼルエンジンを活用するプラグインハイブリッドだと言われてきた。

環境技術対応の方向転換も
「好事魔多し」を他山の石に

 それだけに、今回のディーゼル車不正問題が今後、VWにどのような影響やダメージを与えるかによって、環境技術対応の方向転換が迫られることにもなる。さらに日本にはデンソー、ドイツにはボッシュというメガサプライヤーの存在があり、クリーンディーゼル技術に大きな役割を果たしていることも関心事項だ。

 また、引責辞任を発表したヴィンターコーン氏の後継トップの行方がどうなるのか、創業家出身で大株主でもあるピエヒ氏のカムバックもあり得るのかといった経営面の建て直し策についても、この難局をどう打開していくかに注目が集まる。

 奇しくも現在、9月15日から27日までフランクフルトモーターショーが開催されており、欧州自動車大国・環境大国を自負するドイツが世界へのアピールを試みている国際モーターショーの最中において、ドイツを代表する企業・VWの不祥事が勃発することとなった。

 まさにVWにとって「好事魔多し」であり、自動車各社はもって他山の石と銘ずべきだろう。
モビリティ羅針盤〜クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫
【14回】 2015年9月25日 佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
VW、ディーゼル車不正の激震
王者転落でエコカー勢力図はどう変わる?
突然のディーゼル車不正発覚
王者VWにいったい何があったのか?


ディーゼル車の不正発覚で引責辞任したフォルクスワーゲンのマルティン・ヴィンターコーン社長・CEO Photo:AP/AFLO
 日本ではシルバーウィークの連休に入った矢先の9月19日の朝(米現地時間18日)、米環境保護局(EPA)が独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車で排ガス試験のときだけ排ガス量を減らす違法なソフトが使われていたとして、対象となる48万2000台のリコール(回収・無償修理)を同社に命じたというニュースが飛び込んだ。加えて米EPAは、VWに対して大気浄化法違反の通知を送り、調査を開始した。

 米国におけるVWへのリコール対象車は、2009年以降2015年までに販売された「ゴルフ」「ビートル」「パサート」「ジェッタ」に、グループ傘下のアウディ「A3」を加えたディーゼル5車種。米EPAによると、通常走行時の窒素酸化物(NOx)の排出量は基準値の最大40倍という。

 当事者のVWは、その2日後の20日、独本社のマルティン・ヴィンターコーン社長が「お客様と国民の信用を傷つけ、深くお詫び申し上げます」との声明を発表。米EPAの指摘を認めた形で、さらに米国だけでなく、欧州などでも調査が広がり、グローバル戦略全体に影を落とす最悪の状況となりつつある。

 独VWはさらに22日、米EPAによるリコール対象車でディーゼルエンジン「EA189」を搭載したVWグループディーゼルE車において、試験結果と走行時の窒素酸化物(NOx)など排ガス量のデータが異なったことを認めている。

 このエンジンを搭載した車両は世界で1100万台に上り、対策費用として約8700億円を7-9月期決算に特別損出として計上することを発表した。そして23日、マルティン・ヴィンターコーン社長・CEOが「VWは心機一転で再出発が必要」と辞意を表明。事態はトップの引責辞任にまで至ることになった。

 いったいVWに何があったのか。

 VWは世界の自動車メーカーの中で、リーマンショックを挟んで最も成長を示した企業グループであり、今年上期には日本のトヨタ自動車を抜いて世界トップの販売を示し、世界一の座を奪還したばかり。環境技術やモノづくりでも優位性を示す動きを見せてきたが、今回の不祥事は巨額の制裁金が今後発生する可能性もあり、大幅な業績悪化予想と社長の引責辞任で経営面を揺るがされることになる。だが、それ以上にVWグループのブランドと信用力の失墜に繋がる打撃が大きい。

 メルケル独首相が「VWは完全な透明性を示すことが重要だ」とのコメントを発し、VWに情報公開の徹底を要求する異例の事態になっており、欧州を代表する自動車大国・ドイツの面子にも影響を及ぼしかねない。また、欧州株式市場ではVW株の大幅下落だけでなく、ダイムラーやBMW株も下落、さらに仏ルノー、プジョーシトロエン株も下落するなど、VW問題が欧州株式市場全体に連鎖することにもなった。

 VWは、社内調査と米EPAなど関係機関との協力によって原因を明らかにするとしており、現時点で不明な点を今後の情報公開に委ねることになる。それにしても、環境技術でも先行し、かつ欧州市場で高い販売シェアを持ち、実績を積み重ねて「クリーンディーゼル」を環境戦略の最前線に打ち出しているVWが、こんな排ガス規制逃れをする必要があったのか、疑問である。

 問題となったディーゼル車だが、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べてコストが安い軽油を燃料とし、二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく燃費もいいというメリットがある半面、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出や騒音が多いというデメリットがあった。

 日本でもディーゼル車に対しては、大気汚染の観点からかなり厳しい見方が多く、過去には石原慎太郎東京都知事時代に「ディーゼル悪玉論」が横行したこともある。当時、都知事会見で石原氏が、煤が溜まったペットボトルをかざして、「ディーゼル車がこれだけ大気を汚染しているのだ」と強調したことを思い出す人も多いはずだ。

欧州ではクリーンディーゼル車が主流
市場に与える打撃は計り知れない

 余談だが、筆者は新聞記者時代、その後の石原都知事にインタビューをした際に、「ディーゼル車の環境対応技術もかなり進化して良くなりましたが」と問うたところ、「結果的に私があの会見で言ったことで、自動車各社が奮起してディーゼルエンジンが良くなったんだ」と、いかにも石原氏らしい答えが返ってきたことを思い出す。

 しかし元来、欧州ではディーゼル車の環境対応への意識が強く、硫黄分の少ない軽油の供給もあり、NOxなどの排出を大幅に削減する技術を使った「クリーンディーゼル車」が、欧州乗用車販売の5割以上を占め、主流になっている。必然的に、VWをはじめとする欧州の自動車各社は、環境対応技術の核としてクリーンディーゼルを主流とし、クリーンディーゼルエンジンとのプラグインハイブリッド(PHV)戦略に磨きをかけている。

 ディーゼル車の排ガス規制については、欧州のユーロ5からユーロ6、日本のポスト新長期規制、米国のTier2Bin5といった基準のクリアが求められ、VWは米国戦略としてディーゼル車を前面に押し出した展開を進めてきた。VWは2008年4月に、高圧と低圧の2つのEGR(NOx低減のための排ガス再循環装置)を組み合わせたシステムにDPF(ディーゼル微粒子循環フィルター)とNOx吸蔵還元触媒を組み合わせて、米国排出ガス規制をクリアすることを発表している。

 今回、米国で2009年以降のVW及びアウディのディーゼル車がリコール対象になったということは、当時の発表を受けて米市場に投入されたディーゼル車の品質が、全てリコールに該当していたということになるだろう。

ピエヒ帝国の「お家騒動」で
VWに見え始めていた変調の兆し

 今回の米国でのディーゼル車不正問題は、今後の社内調査や情報公開に委ねられるとして、結果的にVWのグローバル戦略に飛び火する打撃となり、かつ社長CEOの引責辞任という事態にまで追い込まれた。このような事態になった遠因を推測してみよう。

 VWは、フォルクスワーゲン(国民車)という社名からわかるように、ドイツの国民車を量産する自動車メーカーが母体となっている、ドイツを代表する企業である。VWは、フェルドナンド・ピエヒという人物なくしては語れない。

 氏はVWを創業したポルシェ家とピエヒ家の創業家出身で、1993年当時、大幅な赤字を出す経営危機にあったVWのトップに立つや、再建に向けたコスト改革や競争力改善への改革を一気に推し進めた。さらにマルチブランド戦略、プラットフォームを進化させたアーキテクチャー(設計概念)MQV戦略、高級化戦略と、これらを受けての外部成長を獲得するM&A戦略を積極的に推進した。

 ランボルギーニ、ベントレー、ブガッティなどの欧州高級車ブランドを買収し、傘下のアウディ、ポルシェとの協業を推進。さらにマン、スカニアといった商用車ブランドから、二輪車のドゥカティ、デザインのジウジアーロまでをも傘下に収め、12のブランドを持つVWグループ帝国を形成するに至っている。唯一失敗に終わったのは、日本のスズキとの資本提携だろうか。

 このように、VW帝国を築いたのはフェルドナンド・ピエヒ氏という強烈なリーダーによるものだった。2002年に65歳の定年でVW取締役会会長を退任したが、監査役会会長として院政体制に移行し、ピエヒ氏独裁下でマルティン・ヴィンターコーン氏を2007年から社長に就任させ、右腕とした。

 この間、VWは次世代のモジュラー・マトリックス戦略である「MQB」を公表、3つのプラットフォームに集約する一方で、中期経営計画「ストラテジー2018」を推進中である。中期計画では、2018年のVWグループ世界販売1000万台達成、税引き前売上高利益率8%確保、最高の品質と顧客満足、最良の雇用者満足という4つの目標を掲げている。グループ1000万台については、2014年に前倒しでこの水準に乗せてトヨタに肉薄し、今年2015年上期でトヨタを抜いてトップに立ち、話題を投げかけた。

 ここまでは、ピエヒ独裁によるVW帝国の躍進だった。それが今年に入り、異変が起きたのである。VW帝国の絶対的なリーダーとして20年以上も君臨してきた「ドクターピエヒ」ことフェルディナント・ピエヒ氏が、4月25日にVWの最高意思決定機関である監査役会会長を辞任。これを独メディアは、「VWのお家騒動」と伝えた。

 この時点で「VW内部が揺れ動いているのでは」と伝えられた。昨年の米国販売が2%減の59万台に止まったこと、今年に入りトップを走ってきた中国事業が経済停滞の影響を受け、販売シェア首位だった中国販売が減少したことなどが響いて、世界販売が昨年実績を割り込んできている状況で、異変への兆候があった。

 日本市場でも、輸入車トップの座を長らく続けてきたVWブランドが今年上期でベンツブランドにトップを譲り、7月末には日本法人社長の突然の解任という事態も起きた。

北米市場伸び悩みへの焦りか?
巻き返し策が招いた最悪の事態

 特に、VWグローバル戦略における大きな課題が米国事業だった。中経では、米国市場での100万台販売が目標に掲げられており、そこではディーゼル車の浸透策が戦略の柱とされていた。だが、昨年は59万台と計画の5割強にとどまり、それによってVW内部に「焦り」が生じたのではないかと推測される。VWの米国事業は、1988年のペンシルベニア工場閉鎖によって生産撤退の屈辱を味わっている。それだけに、ディーゼル車を中心とした米国事業での巻き返しについては、「何としても成功させたい」という意気込みがあったはずだ。その気負いが裏目に出たのだろうか。

 一方、VWの環境技術対応は世界覇権を争う日本のトヨタと一線を画した方向で進められてきた。トヨタはハイブリッド車戦略で先行優位性を示し、近く4代目プリウスを市場投入する。進化させたハイブリッド技術をプラグインハイブリッド(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)の要素技術を含むコア技術として、パワートレーンの多様化に対応する。水素社会到来への先行策として、昨年12月にFCV「MIRAI」を日本市場に投入し、米欧には本年10月から投入予定だ。

 これに対しVWは、ダウンサイジングターボと呼ばれる小排気量過給エンジンやクリーンディーゼルエンジンなど内燃機関の効率化・進化に力を入れてきた。さらに高出力ディーゼルを開発し、ダウンサイジングを進めている。電化パワートレーンの強化、特にプラグインハイブリッド(PHV)へ注力する方向にある。当面目指すロードマップは、エネルギー効率の高いダウンサイズ・ディーゼルエンジンを活用するプラグインハイブリッドだと言われてきた。

環境技術対応の方向転換も
「好事魔多し」を他山の石に

 それだけに、今回のディーゼル車不正問題が今後、VWにどのような影響やダメージを与えるかによって、環境技術対応の方向転換が迫られることにもなる。さらに日本にはデンソー、ドイツにはボッシュというメガサプライヤーの存在があり、クリーンディーゼル技術に大きな役割を果たしていることも関心事項だ。

 また、引責辞任を発表したヴィンターコーン氏の後継トップの行方がどうなるのか、創業家出身で大株主でもあるピエヒ氏のカムバックもあり得るのかといった経営面の建て直し策についても、この難局をどう打開していくかに注目が集まる。

 奇しくも現在、9月15日から27日までフランクフルトモーターショーが開催されており、欧州自動車大国・環境大国を自負するドイツが世界へのアピールを試みている国際モーターショーの最中において、ドイツを代表する企業・VWの不祥事が勃発することとなった。

 まさにVWにとって「好事魔多し」であり、自動車各社はもって他山の石と銘ずべきだろう。

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