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廃炉寸前の「もんじゅ」巡って文科省と経産省が権益争い!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47277
2016年01月07日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
■事実上の廃炉勧告
「夢の原子炉」はやはり夢のままで終わってしまうのか。
原子炉で使用した以上の核燃料を生み出すことが可能と喧伝されてきた、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が崖っぶちに追い込まれており、場合によっては年内にも廃炉の結論が出される。
そうなれば、日本の原子力政策の根幹をなす「核燃料サイクル制度」の見直しにつながり、ひいては使用済み核燃料の再処理を保証する日米原子力協定にも影響を与える。
きっかけは原子力規制委員会が、昨年11月、もんじゅの点検ミスが相次いでいるとして、運営主体の日本原子力研究開発機構(原子力機構)に代わって運営する組織を、半年をめどに見つけるよう、原子力機構を所管する馳浩文部科学相に規制委発足以来初となる勧告を突きつけたことだった。
だが、もんじゅ専門の職員は原子力機構以外には見当たらない。それゆえ規制委の勧告は、「事実上のもんじゅ廃炉勧告」とも言われている。
そうなったのも無理はない。1995年のナトリウム漏れ事故を皮切りに、炉内の中継装置の落下と証拠隠蔽、1万点余りの機器の点検漏れなど、もんじゅは原発業界で“不祥事のデパート”と揶揄されてきた。これまでに1兆円以上の国費を投入しながら、実用化のめどすら立たない以上、「無用の長物」というしかない。
規制委の勧告に従い、文科省はとりあえず、半年後までに回答を出すべく「もんじゅの知恵」ならぬ、専門家会議への“丸投げ”という「官僚の知恵」を出したが、のっけからつまずいた。
専門家が集まらないのだ。
馳文科相は12月上旬に専門家会議を開催し、原子力機構に変わる組織探しなどに着手する予定だったが、軒並みオファーを断られた。国の原子力政策の見直しに直結する重要決定会合になるだけに、ためらう専門家が多かった。
■初日から荒れた会合
確かに人選は難しい。もんじゅ温存派の専門家で固めてしまえば、猛烈な批判にさらされ、一方で、もんじゅ廃炉派を入れれば議論がまとまらない可能性もあった。
結局、元東京大学学長で文相や科学技術庁長官を歴任した有馬朗人氏を座長に、大学教授や企業関係者ら9人の委員で構成される「もんじゅの新たな運営主体を探す有識者検討会議」が開催されたのは、「仕事納め」の昨年12月28日だった。
会合は初日から荒れた。
原子力機構の児玉敏雄理事長が、状況を説明、人材や資金の不足も一因だとして、電力会社などの協力を得て、「オールジャパン体制で活動していきたい」と訴えると、委員からは反発の意見が相次いだ。
「改革への本気度が感じられず、(解決へ向けての)突っ込みが足りない」
「問題があるのは原子力機構の制度。オールジャパン体制とは関係がない」
原子力機構にも文科省にも危機意識がない以上、辛口の意見が多くなるのも無理はないが、文科省の迷走を、「お手並み拝見」とばかりに高みの見物を決め込む役所がある。文科省とともに原子力行政の一翼を担う経済産業省だ。
研究炉は、旧科学技術庁の流れを汲む文科省、実用炉は経済産業省という線引きがあるが、省益拡大意欲が霞が関のなかで最も旺盛な経産省が、文科省のもたつきを見逃すはずはない。むしろ、こうした状況を想定し先手を打ってきた。
実は経産省は、昨年8月の総合資源エネルギー調査会の専門委員会で、使用済み核燃料の再処理事業の主体となる新たな認可法人をつくる案を示している。再処理は日本原燃(青森県六ケ所村)が担うが、認可法人を通じて国が事業を監督できるようにするのが狙い。早ければ、今通常国会で関連法案の整備を行う見通しとなっている。
電力業界内には、「この認可法人にもんじゅを組み込むべく、経産省が原子力規制委員会に接触しはじめ、管轄下に置こうと虎視眈々と狙っている」(電力団体関係者)との観測が流れている。
■省庁の権益争いの道具と化したもんじゅ
福島の原発事故以降、原子力政策の重要事項は官邸の所管となっているが、そこには経産省出身でエネルギー政策に精通する今井尚哉首相秘書官もいる。そんな霞が関の人脈も、経産省による“もんじゅ奪取説”に一役買っている。
実際、有識者検討会議の委員選考が難航していた際、文科省内からは「官邸に専門家の人選でお伺いをたてているが、経産省にも筒抜けになっているのではないか…」との疑心暗鬼が伝わってきた。
そういう意味では、もんじゅ問題は文科省VS経産省という原子力行政部門の権益争いでもある。
経産省は罪深い。
もんじゅは、国が進めてきた核燃料サイクルの中核施設。原発で出た使用済み核燃料を溶かしてプルトニウムを再処理工場(青森県六ケ所村)で取り出し、それをもんじゅなどで利用するのが核燃料サイクルだが、そのコストはもんじゅの1兆円を含めて12兆円にも達している。
もんじゅが稼働していないのと同様、再処理工場も実用化のメドは立っておらず、経産省は、その壮大なムダを、もんじゅを含めて丸ごと引き受けようというのだ。
そもそも国がもんじゅの存続に固執せざるを得ないのは、日米原子力協定の存在が大きい。この協定により、日本は核兵器非保有国で唯一、使用済み核燃料を再処理できる権利を認められている。
しかし、本来、保有してはいけない余剰プルトニウムがすでに47d(核弾頭6000発相当)もあり、そうした状況下で、再処理してできるプルトニウムを使うもんじゅの廃炉は、協定違反ともなりかねない。
締結から30年となる18年7月が協定の期限切れ。日米原子力協定が破棄されれば、使用済み核燃料の再処理は認められず、中間貯蔵施設に置いている使用済み核燃料は地下に廃棄しなければならないが、廃棄場所の選定は全く進んでいない。
まさに八方塞がりだが、もんじゅも核燃料サイクルも「夢」に終わっている以上、文科省と経産省が権益争いをしているような状況ではないし、半年間の「有識者検討会議」で、もんじゅ仕様の特殊技術と人材を抱える原子力機構以外の運営主体が見つかるとは思えない。
時間は迫っている。結局、「夢」を終わらせるか否かの決断は、夏の参院選の争点にして国民に問うべきではないか。
そうでなければ、もんじゅが稼働していない状況でも、毎年、1600億円ものコストが核燃料サイクル維持に投じられ、それはドブに捨てられているに等しい。
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