29. 2015年12月01日 22:46:10
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>>26 ニホンゴデダイジョウブデスカ? デタラメを書くな馬鹿 渋谷健司 東京大学大学院 医学系研究科 国際保健政策学教授、一般社団法人JIGH理事長
福島県の甲状腺検査のやり方を見直してほしい、と私が発言した理由 http://www.huffingtonpost.jp/kenji-shibuya/thyroid-function-test_b_5518695.html 6月10日に開催された、第3回福島県甲状腺検査評価部会での、「現行の甲状腺検査のやり方を見直してほしい」という私の発言の真意を説明しておきたいと思う。 私は、原発事故がおきた直後から、福島県での活動をはじめた。相馬市や南相馬市での外部・内部被ばく量の測定を地元自治体や有志と協力して、ほぼ自費で継続し、モニターしている。それら全て、国や県からは独立して行っている。 私がすぐに福島入りしたのは、一日本国民として、福島の人たちの健康状態を守らなければいけないと思ったからだ。シンプルにその思いだけで、3年間、続けてきた。 なぜ、続けるのか?
私は、今からちょうど20年前の1994年に、ルワンダに行った。ルワンダで大虐殺があったことを覚えている人も多いだろう。数百万人はいた難民キャンプにNPOとしてクリニックを設営するのが私の目的だった。
知らせを聞いた私はすぐに現地に向かった。危険な時期で多くの人から止められた。キャンプに日本人医師は私以外いなかった。それでもその時期のルワンダには医師が必要で、一人でも多くの命を救いたかった。 福島に対する思いも、同じだ。 私の仲間や教室のスタッフ・学生たちも思いは同じだ。震災から今も継続してボランティアで手伝ってくれている。 私達は、相馬市や南相馬市などの自治体と連携して、まず、子供たちの被ばく量を測定した。その結果は、全て市民に情報開示されている。 この外部・内部被ばく量の継続的な測定で、この3年あまりの間で明らかになってきたことも多い。相馬市や南相馬市などの被ばく量(セシウム)は十分に低く、それも年々低下しているということだ。初期のヨウ素による被ばく量の推計も行われている。 正直なところ、当初は私も政府の発表する値が信じられなかった。しかし、何度も自分たちで測定をしたが、それでもやはり健康に影響を与えるレベルの被ばく量は、子供では見つからなかった。 さて、ここからが本題である。福島県によると、過去3年間の甲状腺検診で、甲状腺癌が疑われる子供と、甲状腺癌が確定した子供の数は合計で90人であった(2014年3月31日現在)(確定症例は50人)。 この値は、通常の癌登録の罹患率などから予測される有病率よりも明らかに高いものである。1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の後に甲状腺癌が報告され始めたのは、事故後4〜5年であった。それでは、なぜ、福島県では被ばく量が高くないのに、甲状腺癌が3年間という短期間で多数発見されたのだろう。 一つの可能性は、甲状腺の超音波検査を集団で実施すると、かなりの確率で甲状腺癌が見つかるということだ。例えば、甲状腺の超音波検査が頻繁に行われるようになった韓国では、成人の甲状腺癌が毎年25%ずつ増加しており、今では女性で最も多い癌だ。 しかし、ここが大事なところなのだが、韓国をはじめ世界的に甲状腺癌による死亡は増えていない。病理組織学的には癌だが、検診がなければ症状も出ず、診断されなかったであろうと考えられる癌が、検診を実施したことで見つかっている可能性が高い。 もちろん、一般的に早期発見による死亡リスクの予防は非常に大事だ。リンパ節や周囲へ広がっている癌は、すぐに手術すべきである。自分の子供が癌と診断されれば、ご家族はすぐに治療してほしいと思うだろう。しかし、超音波検査を進めることで、全ての甲状腺癌を見つけ出し、それらをすぐに手術することが、果たして子供達のためになっているのだろうか。 超音波エコーによる甲状腺検診の導入で、意図せずに過剰診断、そしてその結果としての過剰治療と言われている問題が起きているのではないか。 こういう私の意見は、分かりにくいかもしれない。癌と言われたのに何もするな、と言っているように聞こえるかもしれない。しかし、経験ある臨床医や公衆衛生の専門家の多くは、私と同じ意見だ。この件については、英国の医学雑誌ランセットにも掲載され、世界で多くの医師も同意してくれている。 子供たちに手術をすれば、心身の傷が残る。甲状腺を取れば、一生ホルモン剤を飲み続けなければならないこともある。 「チェルノブイリの経験から、甲状腺癌発生の可能性を考慮し、子供たちの命を守るために適切に対応すべきである」 という考えは全くその通りである。事実、当初はそのように考えられて、甲状腺の超音波エコーによる検診の実施が決定されたのだろう。 しかし、3年間の基礎調査を終え、本格調査が実施され始めたこの段階で、これほど多くの甲状腺癌が見つかっている原因の一つに、検診による過剰診断の可能性を考慮する必要がある。 医師であれば、過剰治療等したいと思う人はいないだろう。世界でも、これほどの規模で子供の甲状腺検診が行われる例は珍しい。であればこそ、今回発見され、手術を受けた甲状腺癌の子供たちの症例を、きちんとオープンに議論することが非常に重要ではないだろうか。 甲状腺検査評価部会で、甲状腺検査を担当する福島県立医科大学からは、癌の大きさやリンパ節転移の有無等、治療指針に沿って対処すべきケースのみが手術されているとの報告がなされた。 だから、私は何パーセントの子供に、リンパ節転移や声が出ない等の症状があるのですか?と質問した。 しかし、それは、プライバシーの問題で回答できないと県や福島県立医科大学が答えた。それで、きちんとデータを出してほしいと、その場にいた他の委員からも意見が相次いだ 発見された甲状腺癌の手術に関しては、医療であり、調査の及ぶところではないというロジックで、その情報を公開しないことは、逆に子供たちやご家族に不利益をもたらす結果になりかねない。 不安に過ごされている住民の方々のためにも、今一度、正確なデータに基づいて、関係者が皆それぞれ前向きに協力しあい、再検討していく時期にあるのではないか。そして、それは、放射線の健康への影響を正確に把握するためにも必要なことだ。 これが、私の発言の真意である。
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