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20150718 R/F #132「小出裕章ジャーナル」【2号機ベント失敗の検証報告について】
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2号機ベント失敗の検証報告について「2号機の場合には1号機、3号機に比べてもはるかに大量の放射性物質を環境に撒き散らしてしまうということになりました」
http://www.rafjp.org/koidejournal/no132/
2015年07月18日 ラジオフォーラム
今西憲之:
2011年3月の東京電力福島第一原発の事故で2号機ですね、外形的には大きな爆発はなかったんですが、非常に危機的な状況になりました。格納容器の圧力を下げるベント、いわゆる中の空気を外に逃がす排気がうまくくいってなかった可能性があるということで、5月20日東京電力は、配管の放射線量等からベント、うまくいってなかったんじゃないかということについてようやく認めました。小出さん、このへんお伺いしたいのですが、まず、格納容器内の圧力を下げるベントという作業については、どういうものなんでしょうか?
小出さん:
原子炉の中心部分・炉心というのは、原子炉圧力容器と私達が呼ぶ鋼鉄製の圧力窯の中に納められています。そして基本的には、原子炉が動いて生み出される放射性物質は、原子炉圧力容器を含めた一時系と呼ばれてる所に閉じ込めると原子力を推進してきた人達は言っていたのです。
でも、何かあった時には放射能が漏れてきても、それを原子炉格納容器という放射能を閉じ込めるための特殊な容器で閉じ込めるから、放射性物質は絶対に外に出てこないというのが、彼らの主張でした。しかし原子力発電所を動かしてくる経験の中で、アメリカのスリーマイル島の原子力発電所の事故が1979年に起きてしまいました。そして、場合によっては格納容器も壊れてしまう可能性があるということに気付いたというか、やはり否定できなくなってしまったのです。
そして、本来は放射能を閉じ込めるための格納容器ですから、格納容器の中からガスを外に漏らすなんてこと、そのこと自身ををもともと想定していなかったわけですけれども、格納容器が大破壊をしてしまったらやはり困るので、事故がどんどん進んでいって、大きく壊れてしまいそうになった時には、ベントという、バルブを開いて中の放射性物質を含んだガスを意図的に外に出そうというようなことを彼らはやり始めたのです。
ですから、何かベントが成功すればいいというふうに皆さん思われているかもしれませんが、ベントというのは、もともと放射能を閉じ込めるために設計された格納容器の中のガスをわざわざ放射能ごと外に捨てるということですので、そのこと自身が大変、住民にとっては危険を加えるものなわけですし、原子力発電所というのがそういう機械なんだということを象徴する装置でもあります。
今西:
非常に緊急避難的な措置であったということなんですけれども、ベントはですね。福島第一原発の事故で、この2号機ですね、どのような状態になっているのでしょうか?
小出さん:
1号機も2号機も3号機も結局、最後には原子炉が溶けてしまったのですけれども、2号機の場合には、3月14日の夕方から原子力格納容器の中の圧力がどんどんどんどん上がってきてしまいました。格納容器というのもある一定の圧力までしか耐えることができないという、そういう構造物なわけで、耐えることができる圧力を超えて、中の圧力が上がってしまうと、格納容器が自動的に壊れてしまうわけです。
そんなんなったら困るということで、先程聞いて頂きましたように、もう意図的に放射能を含んだ格納容器内のガスを外に捨てようという、ベントということをやざるを得ないという、そういう決断を東京電力は下したのです。そして、そういうベントという作業をやろうとしてさまざまな試みを行ったのですけれども、どうも、そのベントの作業が上手くいかずに、大量の放射性物質が外に出てきてしまったのではないかと、ずっと考えられてきました。
今回、5月20日にその検証の結果というのが東京電力の方から報告されまして、やはり2号機の場合にはベントができなかったという、そういう報告になりました。
今西:
事故から4年経って、ようやくベントは失敗していたのではないかということになったんですけれどもですね、東京電力、どんな検証をしていたのでしょうか?
小出さん:
はい。ベントという作業は、特殊な配管を使うわけですが、その配管にバルブが付いています。そしてそのバルブを開いて、格納容器の中にある放射能で汚れたガスを外に出すわけですけれども、バルブを間違えて開いてしまった場合に、外に出てしまうというそういう可能性もあるわけで。それを防止しようということで、バルブを開いた先にラプチャーディスクという、破裂板というような薄い金属の板が挟んであったのです。そして誤操作して、特別放出しなくてもいいような時には、そのラプチャーディスクが破れることもなく、放射能を格納容器の中に閉じ込め続けるという、そういう考え方でした。
でも、今回の場合には、意図的にとにかくバルブを開いて、高圧になっている格納容器内のガスを外に捨てようとしたわけですから、自動的にラプチャーディスクと呼んでいる金属の板も破れなければいけなかったのです。でも、どうもそうではなかったようだということで東京電力が調べまして、ラプチャーディスクが設置してあった周辺の配管の放射線量を計りまして、その周辺が線量が低い、つまり放射性物質がそこまで到達していないというそういう結論になって、結局、ベントはできなかったんだという、そういう報告になったのです。
今西:
それでですね、ベントが失敗したということなんですけれどもですね、2号機においては、原子炉の格納容器が大破してしまうという最悪の事態も想定されていたような所が当時あったのですが、どのような被害が出ていたのでしょうか?
小出さん:
格納容器が耐えられる圧力の限度もあるわけですから、どうしようもなく格納容器が壊れてしまう。そうなれば、もうあとは打つ手がなく、内部の放射性物質が外に出てきてしまうという、そういうことになったわけです。実際に、かなりそれに近いかたちになって、2号機の場合には1号機、3号機に比べてもはるかに大量の放射性物質を環境に撒き散らしてしまうということになりました。
でも、格納容器の破壊された場所というものが、まだきちんと解明されていないのですが、破壊された場所によっては、もっともっと大量の放射性物質が環境に放出されるという、そういうこともあり得たと思います。
今西:
今回、ベントの失敗というのがようやく分かったわけなんですが、福島第一原発の事故でまだまだ解明されてない謎が大量にあるように思うのですけれども。
小出さん:
はい。もう山ほどあります。東京電力が未確認・未解明事故というものを列挙して、その今、調査・検討ということをやっているわけですけれども、東京電力が上げた未確認・未解明事故だけでも52件もあります。今回報告されたのはそのうちたったの4件でして、これからもまだまだ解明しなければいけないことが残っていますし、最終的な解明というのは、何十年も先にならなければできないだろうと思います。
今西:
なるほど。この未解明の部分だけで52件ということで、これだけ見てもほんとに深刻な事故だなあということがうかがえます。小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
はい。ありがとうございました。
- 2号機の放射性物質大量放出は格納容器ベントの失敗ではなくS/Cの水喪失状態で主蒸気逃がし弁操作を続けたせい あっしら 2015/7/19 07:21:21
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