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自民派閥政治資金問題 安倍派閣僚交代 瀬戸際に立つ岸田政権/梶原崇幹・nhk
2023年12月14日 (木)
梶原 崇幹 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/490402.html
岸田総理大臣は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題で、最大派閥・安倍派に所属する松野官房長官ら4人の閣僚の辞表を受理し、交代させました。
さらに、自民党内では、安倍派だけでなく、他の派閥でも問題が指摘されており、党を揺るがす事態となっています。
岸田総理大臣は、「国民の信頼回復のため、火の玉となって、先頭に立って取り組む」と決意を示しています。
安倍派に所属する4人の閣僚の交代が、岸田政権に与える影響や、自民党に投げかける課題について考えます。
(安倍派4閣僚、交代)
岸田総理大臣は、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受けて、最大派閥・安倍派に所属する松野官房長官、西村経済産業大臣ら4人の閣僚の辞表を受理しました。同様に安倍派に所属する5人の副大臣らも辞表を提出しました。
新しい官房長官には、岸田派で派閥ナンバー2の林・前外務大臣を、経済産業大臣には無派閥の齋藤・前法務大臣を起用しました。
また、自民党では、安倍派の幹部である萩生田政務調査会長、高木国会対策委員長、世耕参議院幹事長も辞表を提出しました。
(なぜ、この時期に、安倍派閣僚の交代なのか)
岸田総理大臣が、この時期に、安倍派所属の閣僚に限って交代させたのは、なぜなのでしょうか。
これについて、岸田総理大臣は、「所属する政策集団がどこかということではなく、1人1人の意向や事情を勘案した上で判断した」と述べました。
ただ、安倍派をめぐっては、政治資金パーティーで不適切な会計処理が行われていた疑いが指摘され、東京地検特捜部が、今後、捜査を本格化させるとみられています。安倍派では、指摘されている額や関係者の人数が多く、これらが捜査の焦点の1つになるとみられています。
年末にかけては、来年度の予算編成作業が本格化する重要な時期を迎えるものの、安倍派の閣僚すべてを交代させることで、政権としてのけじめを急いだものとみられます。
岸田総理大臣としては、思い切った対応を取った形ですが、今回の人事をめぐって、安倍派には反発の声が上がっています。官房長官の後任人事では、別の議員に打診したものの断られたとの見方もあり、政権を取り巻く環境は厳しさを増しています。
今後、政権幹部に同様の疑惑が指摘されれば、交代を迫られ、政権が揺らぎかねないおそれもあります。政権運営は瀬戸際に立っているといえます。
(安倍派の政治資金をめぐる問題とは)
問題が指摘される安倍派「清和政策研究会」の会計処理は、どのようなものだったのでしょうか。
関係者への取材によれば、安倍派では、所属する議員が企業や団体へのパーティー券の販売で集めた収入を派閥に収め、ノルマを超えて集めた分については、議員側にキックバックし、その際、派閥の収支報告書にはパーティーの収入や議員側への支出として記載していなかったケースもあったとされています。また、キックバックを受けた議員側の政治団体の収支報告書にも、収入として記載していなかった疑いがあるとされ、野党は、「キックバックされた収入は、表には一切出てこず、裏金にあたる」と追及しています。
安倍派では、松野官房長官や高木国会対策委員長ら、「5人衆」と呼ばれる幹部を含め、数十人規模の所属議員側がキックバックを受け、その総額は、去年までの5年間でおよそ5億円に上るとみられています。
「派閥から収支報告書に記載しなくてもいいと指示があった」と述べる議員もいて、政治資金規正法で罰則の対象となる収支報告書の不記載や虚偽記入にあたるかどうか、今後、東京地検特捜部が捜査を進めるものとみられます。
(そのほかの派閥をめぐる状況)
自民党内では、安倍派とは別に、そのほかの派閥にも、政治資金をめぐる指摘が出ています。
二階派では、パーティー収入の一部が派閥の収支報告書に収入として記載していなかった疑いが指摘されています。パーティー収入の一部は議員側にキックバックされていたとされ、派閥と議員側の政治団体の収支報告書にはその金額が記載されているとみられるということです。
岸田派でも、政治資金パーティーで実際に集めた収入より少ない金額が収支報告書に記載されているという指摘があります。
(収支報告書不記載の問題点)
政治とカネの問題をめぐっては、不祥事が起きるたびに政治資金規正法を改正することが繰り返されてきました。今回の事態は、1988年に表面化したリクルート事件に匹敵する不祥事に発展する可能性が指摘されています。
リクルート事件では、値上がり確実とされたリクルート社の子会社の未公開株が政界や官界などの多数の有力者に譲渡されるという例のない事件で、その中には秘書名義で受け取った複数の派閥の領袖も含まれていました。当時の竹下内閣の退陣だけでなく、その後の東京佐川急便事件などもあり、自民党は、結党以来、初めて政権を失うことにつながりました。
政治家本人や派閥が企業などから直接、献金を受けることが不正の温床になったとの反省から、1994年、細川内閣で実現した政治改革では、企業や団体からの献金は政党や政党支部などに限り認め、企業や団体からの派閥への献金は禁止されました。こうした中、政治資金パーティーは、パーティー券を購入した団体名を公開する範囲を広げることなどで、存続した経緯があります。
今回、仮に、パーティー券収入の一部が、収支報告書に記載されることなく、派閥から議員側に還流していたとすれば、事件を教訓に強化されてきた、政治資金の流れを透明化するという改革に逆行するものです。
(政局の行方と課題)
では、今後の政局はどうなっていくのでしょうか。
安倍派は、今回、数十人規模の所属議員側がキックバックを受けたという疑いが上がっています。2000年以降でも4人の総理大臣を輩出し、数の力を背景に影響力を維持してきた安倍派に緩みやおごりはなかったのか、問われることになります。
また、安倍派は、「5人衆」すべてが疑惑を指摘され、幹部が動きにくい状況が生じています。これまで通りの結束を保てるのか、不透明だという見方があります。
一方、岸田総理大臣は、これまで、閣僚や党の重要ポストで、最大派閥・安倍派を処遇し、政権の安定を図ってきました。安倍派からの支持は、岸田派にとって、保守層の支持を広げる効果も期待できました。
安倍派と距離を取ったことで、「多数の議員の支持」と「保守層の支持」という両面で、政権基盤に影響が及ぶことは避けられないとみられています。
今回、自民党にはどのような課題が投げかけられているのでしょうか。
不適切な会計処理は、安倍派だけではなく、他の派閥でも指摘されており、自民党全体に国民の厳しい目が向けられています。なぜ収支報告書に記載しなかったのか、組織的に行われたのか、還流された資金は何に使われたのかなど、疑問は残されたままです。岸田総理大臣には、捜査の進展を待つことなく、党で実態を明らかにし、政治資金規正法の見直しも含めた抜本的な再発防止策を示すことが求められています。
さらに、問題の背景には、自民党の政権運営が、派閥中心に支えられ、その派閥は、維持のために多額の資金を必要とするという構造があるという指摘があります。
(まとめ)
およそ30年前のリクルート事件をきっかけに高まった政治不信は、政治家らが、未公開株の売却益で、濡れ手に粟で大金を得ていたことへの国民の怒りが原因となっていました。
現在の物価高に苦しむ国民の目に、政治資金が不透明な形で議員側に還流している現実はどう映るのでしょうか。
岸田総理大臣には、政治資金の問題で、抜本的な対策を打ち出すことに加えて、派閥依存という党の体質の変革にも取り組むことが求められています。
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