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「女に首長が務まるか」プレッシャーの中、覚悟の16年…足立区長・近藤弥生さん/東京新聞
2023年2月20日 03時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/231663?rct=politics
3月8日の国際女性デーを前に本紙は今月、東京23区の3人の女性区長にインタビューしました。16年前、初当選の時に「女に首長が務まるか」との声を伝え聞いたという足立区長の近藤弥生さん(63)は「自分なりの覚悟は持ち続けてきた」と振り返ります。(聞き手・佐藤航)
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―区長に就いたのは16年前。それ以前は警察官を経て東京都議も務め、政治の世界で生きてきました。
区長を務めていて女性だから難しさを感じた、ということは、振り返ればなかったように思います。
ただ、初めて区長になった時には、「女に首長が務まるか」という声を伝え聞きました。これで失敗すれば、「やっぱり女だから」と言われるだろうなと。後に続く女性の道も狭まってしまう。そういう意味で、不退転の決意、自分なりの覚悟は持ち続けてきた気はします。
―女性の政治家として意識してきたことは?
やはり、女性が自分の価値観で人生を選択できる仕組みをつくること。私自身は警察官時代、ばりばり働いていた女性が結婚や出産を機に退職するのを見てきました。働く女性が仕事を続けられる環境を整えたいというのが、都議に立候補した動機の一つでした。
◆悔しいやじ、でも淡々と戦ってきた
都議として初の一般質問で保育所の問題を取り上げた時、自民の先輩都議に「女が子どもを預けるようになってから日本の子どもは悪くなったんだ」とやじられました。
悔しかったですよ。でも、都議会自民党のある女性職員から、「そこで戦っても意味がない。働きたい女性は働けるように、家で子育てしたい女性はそれができるように、選択肢を用意するのが議員の仕事でしょ」と言われて腑ふに落ちたんです。
角を突き合わせて戦っていてもエネルギーをそがれるだけなので、やるべきことを淡々とやって仕組みを整えていく。実績を上げていくことで、自分の公約や考えを実現していけばいいと思いました。議員ではできることも限られるので、自分で予算と施策が組める首長を目指しました。
―政治を志す女性を取り巻く環境は変わってきていますか。
政治の道に進む女性の裾野が広がっているのを実感しますね。5月の足立区議選でも、新人を含めて立候補を予定する女性は多いように感じます。
◆女性候補の広がり、自民党の姿勢は大きい
ただ今のところ、自民党から立候補予定の女性はいないようです。少なくとも女性候補を立てたいという思いはあるようなんですが。
もしかしたら自民党独特の「地盤、看板、かばん」の選挙のあり方が影響しているのかもしれませんが、そこは何とも分かりません。女性議員を増やすのに与党の姿勢というのは当然大きいと思います。
いずれにしても前回の区議選より有権者の選択肢は増えていると感じていますが、女性が議席を取りにいく、選挙に向かっていく苦労はあるのではないでしょうか。
朝から駅前に立つような、昔ながらの選挙をする候補者ばかりではないにしても、やはり家庭と選挙の両立はかなり大変だと思います。
―区の男女共同参画行動計画では、一人親家庭の支援を重視している。
足立区は4つの「ボトルネック的課題」を挙げ、対策を進めています。「犯罪」「子どもの学力」「健康」、そして「連鎖する貧困」です。
例えば生活保護の家庭。もちろん全てではありませんが、子どもが働くようになると、生活保護から外れなくてはいけないから、子どもが働けないように仕向けてしまうことがある。保護者を支援することも大切なんですが、どのような家庭に育ったとしても、自分の人生を生きていけるように支援していきたいと考えています。
―女性も自分自身の人生を選択できるように生活力を持つ必要があるが、家庭の状況でそれが閉ざされてしまうこともありますね。
それに加えて、無意識のバイアスと言いますよね。「女は(責任を持って働くことなどをしなくて)いいよ」と言われてきて、知らず知らずのうちにそうあるものだと思ってしまうこともあると思います。
男女の意識の問題もあります。足立区の調査を見ると、女性が仕事を持って働く理由について、女性自身は「社会に参画したい」「自己実現をしたい」という回答が多いんですが、男性に同じ質問をすると「家計のプラスになるから」という答えが多くなる。
◆「ランドセルの色」は明るい兆し
ただ、私自身が明るい兆しの一つと見ているのが、子どもたちのランドセルの色です。男の子は相変わらず黒が多いけれど、女の子は青や茶色が増えてきて、逆に赤の方が少数派になってきている感じさえします。
昔なら「女の子なんだから青はおかしい」と言われてしまっていたのが、徐々に許容されてきている。単純にはいかないでしょうが、私はここに将来の可能性の芽をみているんです。
―政治の世界で男女平等を進めていく意義はなんでしょうか。
政治だけではなく、自治会などでも女性の会長はまだまだ少ない。男性にも女性にもいろんな考えの人がいるので、女性だからと十把ひとからげにされるのもどうかなとは思いますが、物事を決定したり、ルールを決めたりする場面には、いろいろな角度から物事を見られる人が集まるのが大事です。
◆さまざまな人が議論する。それが政治
先日、区民から届いた声に、「夏なのに高校生がブラウスの上にベストを着ている。暑いのだから脱いでもいいのでは」というものがありました。
私は直感的に「下着が透けるのがイヤだと感じる子もいるんじゃないかな」と思ったんですが、教育委員会からはそういう視点は示されていませんでした。
一つの事象をいろいろな角度から見ることで、課題を解決していく。女性でも男性でも、さまざまな経験を持った人たちが議論して、社会を良い方向に進めていくのが政治だと思っています。
こんどう・やよい 1959年東京都足立区出身。青山学院大大学院経済学博士前期課程修了後、警視庁の警察官に。税理士を経て、97年の東京都議選に自民党唯一の女性候補として立候補し初当選。3期目の途中で辞職し、2007年の足立区長選で初当選した。現在4期目。
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