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北岡伸一さんたちが語る「地政学」との向き合い方 揺らぐ世界といま/朝日新聞
聞き手・塩倉裕、尾沢智史、岡田玄2022年9月13日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQ9D55HXQ98UPQJ00N.html
外交や安全保障をめぐる問題で、最近何かと言及されることが多い「地政学」。歴史的に見てどんな由来があり、何を重視する考え方なのか。こうした言葉が流行する背景とは。
論者3人の論考です。北岡伸一さんは、いまの日本に必要な新しい地政学的な考え方について語ります。金沢大学准教授の渡辺敦子さんは、地政学が持つ単純化の危うさを指摘します。書店主の金野典彦さんは、自分の店に地政学の本を置かない理由を考察します。
揺らぐ秩序 戦略が重要に 北岡伸一さん(政治学者)
すべての国にとって国益の根幹は、その国の安全、独立、繁栄、よき伝統の維持という点で同じです。しかし、国益を維持するための方法は、その国の置かれた地理的・歴史的な条件によって変わります。核兵器保有国に囲まれた日本と、デンマークのような国では、国益を守る方法は異なってきます。
地政学は、大陸や海洋などといった地理的条件に着目して国際関係を見る考え方のことです。どの国であれ、対外政策において地政学的な考慮が必要となるのは当然です。地政学には「学」という言葉が付いていますが、根っこの部分では「外交戦略」に近いものであると捉えておくべきです。
地政学という言葉が国内外で改めて脚光を浴びている理由は、第2次世界大戦後にできた国際秩序が揺らぎつつあるからでしょう。特にロシアのウクライナ侵攻後、ルールに基づく国際秩序に頼っていて大丈夫なのかという不安が生まれ、自国の力で国益を維持すべきではないかとの意識が高まっています。
出版社が地政学という言葉を使いたいと考える傾向も感じます。地政学という言葉を使わなくても大事なことは語れると私は思っていますが、それでも地政学という言葉を使いながら論じている理由は、外交戦略について考えることが重要だと訴えたいからです。現代日本は、いわば新しい地政学的考慮を必要としている、と思うからです。
それは地理だけでなく歴史的…
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