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「軍拡は戦争を招く」のか? 「平和外交こそが平和への道」か/小林節・日刊ゲンダイ
公開日:2022/05/31 06:00 更新日:2022/05/31 06:00
小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/305946
ウクライナ情勢に触発されて、わが国で防衛力強化が声高に語られるようになったのは事実である。
それに対して、「軍拡は相手国の軍拡も招き、結局、軍事力が使われ戦争を招く」という伝統的な反論がまた出てきた。
確かに、やみくもな「愚かな軍拡」が軍事衝突を招く危険はある。しかし、今噴出している防衛力強化論の本質は「抑止力強化」の議論である。つまり、ウクライナでロシアが予想外の苦戦を強いられていることが、抑止力の有効性を証明している。だから、ウクライナに学んできちんと準備をしておけば、そしてそれを知らしめておけば、敵性国家も日本侵略をためらわざるを得ないはずだということである。従って、合理的視点から日本が「専守防衛」の質を急ぎ高めることは、確実に戦争を予防することになるはずだ。
軍拡反対論者は、同時に、「平和外交こそが平和への道だ」と主張する。つまり、「あらゆる機会を捉えて、外交交渉で戦争の芽を摘むべきだ」と。
外交交渉は必要だ。しかし、「平和」とは「戦争または戦争の危険のない状態」である。そこで、軍事力を前面に出して演習や侵攻で凄んでいる軍国主義国家に対して、こちらが軽武装で外交交渉だけで相手国の進軍を止めようとしたら、その結果は、こちらが無限に譲歩するしかなくなってしまう。
つまり、「尖閣諸島は元々中国の領土だ」「かつて琉球王国は中国に対して朝貢外交をしていたから中国の一部だ」「アイヌ民族は元々はロシア人で日本で弾圧され救いを求めているので保護しに行く」などという荒唐無稽な議論に対して、当方に十分な抑止力もなしに単に外交交渉だけで「戦争」を避けようとしたら、無限の譲歩を重ねて専制国家の属国になるしかない。しかし、太古から日本列島の中で独自の文化を育んで暮らしてきた私たちが、この自由で民主的な国家生活の独立性を奪われて他国の軍門に無為に下る理由はない。
だから、単なる軍国主義と紙一重のような軍拡論は論外であるが、わが国の専守防衛能力の実質的な向上は急務である。これが今回のウクライナ情勢からの教訓であろう。
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