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https://jp.sputniknews.com/20220515/11248618.html
沖縄本土復帰50年、日本人が何かおかしいと感じる記念日
2022年5月15日, 09:01
タチヤナ フロニ
5月15日、日本は、第二次世界大戦後20年以上にわたり(1972年まで)米国の統治下にあった沖縄の本土復帰50年を祝う。しかし、返還されてからの50年、沖縄における米軍基地の存在は維持されているばかりか、より強化されている。その理由について、「スプートニク」が専門家に取材した。
米軍基地のほとんどが沖縄に設置されているという事実について、およそ80%の日本人がおかしいと考えている。これは、沖縄の本土復帰50年という大きな節目の年を前に、NHKが18歳以上の回答者を対象に郵便で(2月から3月にかけて)実施した世論調査の結果である。
●軍事基地と「隣り合う」ことを強いられてきた長年の差別
ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所日本部門のヴィタリー・シヴィトコ部長は、沖縄市民のほとんどが、島に常に米軍基地が置かれていることで、沖縄は長年にわたり、不当な重い負担、多くの不便を強いられていると感じていると指摘する。
「さらに、日本のその他の市民らが、米軍基地の県外移転を望んでいないであろうことは明白です。沖縄にこれほど多くの米軍施設が配備されていることが正当なのかどうかという問題に関するこうした意見の食い違いは、長年、変わらないまま存在しています。そのことは、沖縄県が国に対して、常に訴訟を起こしていることでも証明されています。日本政府は、沖縄の市民らが、不当な負担を負わされている問題(米軍基地と隣接して暮らすこと)について、安全保障の問題であり、同盟国である米国に対する義務であると説明しています。つまり、この長年にわたる問題は、沖縄が本土返還を果たした後も、重大な問題であり続けているということです」。
もちろん、これは沖縄の人々にとって、本土復帰50年という大きな記念日の最良の贈り物ではない。しかし、NHKの世論調査によれば、およそ70%の日本人がこの(沖縄に米軍基地が置かれているという)事実を「日本の安全を守るためにはやむをえない」と考えている。
そしてこの「やむをえない」が、人々の運命に大きな影響を与え続けている。というのも、沖縄が返還されてからの50年間、1972年に生まれた子どもたちは50歳を超えているというのに、米軍基地は今も変わらず、存在しているのである。
●無駄な出費は米軍の利益にならない
日本政府は米軍基地の移転について、度々問題提起している。しかし沖縄の人々あ、生活上の不便に対するあらゆる物資的な特恵条件を受けつつも、この「やむをえない」状態が沖縄にとっての弱点であり続けているとシヴィトコ氏は述べている。
「基地の県外移転という意思決定は結局、行われませんでした。第一に、これには米政府の同意が必要となるわけですが、米国側は問題の協議をできるだけ避けようとしています。というのも、米軍基地の移転は新たな頭痛の種であり、追加的な出費も必要となるからです。ですから米政府はこの問題の解決を常に先送りしています。しかも、移転するとなれば、移転先となる都道府県でも、その地元政府と合意を交わす必要があり、それに伴い、地元住民からの抗議行動やその他の障害がもたらされる可能性があるからです」。
そしてこれは、日本政府にとって、米国政府にとっての2重の頭痛の種となるとシヴィトコ氏は指摘している。
では、どのような地政学的要素によって、沖縄の人々は米軍基地と長年隣り合って暮らすことを強いられているのだろうか。
しかも、沖縄が日本の領土のわずか0.6%であるのに、全国の米軍専用施設面積のおよそ80%、米軍の軍備の50%以上がこの地に集中しているということを考慮する必要がある。
よく知られているように、アイスバーグ作戦としても知られる沖縄攻略作戦は、米国とその同盟国にとって、第二次世界大戦末期の戦局を決定づけるものとなった。何より、最終的な降伏をさせるための日本への攻撃の強力な拠点となったのである。
そして現在の歴史が示しているように、米国にとっての「沖縄の拠点」の重要性は、何年も経った今も失われていない。ただし、その拠点の存在は、現在は日本にとって利点となるもの―つまり、攻撃のためではなく、日本の領土を守るためだとされている。
●「軍事的意味を持つリゾート地」
沖縄には美しいビーチと休息のための場所がある。しかし、リゾート地としての島の発展は優先的課題にはなっていない。
現在、沖縄が果たすべき意義は、何より、激しさを増す中国と米国の地政学的対立によって決定づけられている。シヴィトコ氏は、これは、国内の政治勢力の力配分、そして世界情勢によっても影響を受けると指摘している。
「米国はすでに、他でもない沖縄に、信頼できる軍事拠点を設置しました。近い将来、米国がここから撤退することは絶対にありません。つまり、米軍基地が日本領内から完全に撤退するという考えは現実的ではありません。1960年代(日本で左派政党、共産党が比較的、強かった時代)に、日米安全保障条約の改定に際し、日本の米軍基地に対し、世論が抗議したことがありましたが、社会党や共産党は今はもう重要なものではなくなり、野党連合にとっての小さなパートナー政党でしかなく、幅広い人々に対する影響力もありません。現在、日本政治の主流となっているのは、日本の政治活動の90%を占める保守派です。ですから、安全保障条約は、今も揺るぎないものであり続けています。中国の軍事力の増強、新たな戦略兵器の増加などが見られる今はなおさらです」。
1972年、沖縄は独立した。しかし、島では、今なお治外法権の原則が残っており、事実上、米軍兵士らは完全に自由な行動が許された状況となっている。米軍兵士の犯罪や罰則(日本人女性への暴行事件を含め)に、日本の法制は一切及ばないのである。
沖縄の米軍基地をめぐるこれまでの状況を見れば、少なくとも今後数十年は、まったく変えることができないものに思われる。過去数年間を振り返っても、この問題に革新的に取り組もうとした首相は1人もいない。
一方、沖縄の歴史は、沖縄が、日本列島の主な島々への侵攻が行われた際に飛び板の役目を果たすことになっていたということを思い起こさせる。島は上空作戦のための基地として整備されている。しかし、日本の領土への侵攻は結局、行われなかった。知られているように、米国が求めていた全面降伏に日本が同意したのは、広島と長崎への原爆投下、そして予期せぬソ連の満州侵攻によってである。
果たして、21世紀の沖縄の使命とはどのようなものになるのだろうか。現在の戦略的不安定が、第二次世界大戦時に日本が経験したような、核の悲劇を産むものとなることが2度とないよう願わずにはいられない。
現時点で日本はすでにアジア太平洋地域における米国の主要な同盟国であるが、今の米国の本当の計画を日本は知っているのだろうか。
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