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2021年9月9日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/129737
<米国の20年戦争 9・11の傷痕から@>
よく晴れた火曜日の朝、教室で1時間目の授業を受けていると、校舎を地震のような衝撃波が突き抜けた。爆発音とともに振り向いた窓の外では、さっきまで銀色に輝いていた超高層ビルが「赤い火の玉にのみ込まれていた」。
2001年9月11日、米ニューヨーク。ライラ・ノードストローム(37)は、世界貿易センターのツインビルを500メートル先に望む高校の生徒だった。炎に追われビルから飛び降りていく人々、校舎内に響く悲鳴…。煙で灰色に染まる空を「大きな鳥が飛んでいく」と眺めたら、再び爆発音が聞こえた。「鳥」は2棟目のビルに衝突したハイジャック機だった。
ビルが倒壊し、巨大な黒煙が押し寄せてくる。校舎を飛び出し、他の生徒や教師らと現場とは反対の北に向かう。停車中の車から聞こえるラジオは、市内の有名な建物すべてに「飛行機で攻撃される恐れがある」と告げていた。気付くと、高校から15キロ以上先の街まで来ていた。
その後、ビル跡からの粉塵ふんじんによる健康被害補償を若者にも広げるよう政府に求めたライラ。新型コロナウイルス禍でも経済弱者の被害が問題となるなか「命をないがしろにする悲劇を繰り返さないで」と訴える。(敬称略、ニューヨーク・杉藤貴浩、写真も)
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◇米中枢同時テロ 国際テロ組織アルカイダにハイジャックされた旅客機4機のうち2機がニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)2棟に衝突。3機目は首都ワシントン近郊の国防総省に激突、4機目は東部ペンシルベニア州で墜落した。死者は日本人24人を含む約3000人。WTCで救助や復旧に従事した警官や消防士、周辺住民や学生には、がれきから出た有害な粉塵による健康被害も多発し、国の健康補償制度には現在約11万2000人が登録している。アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者は2011年5月、パキスタンで米特殊部隊に殺害された。
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2001年9月11日、ライラはニューヨークの世界貿易センター間近の高校で惨事を目の当たりにした。
避難した彼女らが、市の「現場周辺の空気は安全になった」との宣言で高校に戻ったのは翌月。しかし1カ月近くたっても、崩壊した2棟のビル跡からの粉塵(ふんじん)が校舎を覆い、撤去されたがれきは敷地の隣に積み上げられていた。せきや頭痛、鼻血を訴える生徒が相次いだが、教育委員会は「一時的なものだ」と言い続けた。「おかしいと思っても、権限のない10代の私たちには何もできなかった」
立ち上がったのは5年後、大学を卒業する06年のことだ。この年、テロ現場で連日救援に当たった34歳の元警官が、粉塵が原因とされる肺疾患で死亡。ぜんそくの持病を抱えるライラは不安を覚えた。当時の制度では大学を出ると親の保険は使えなくなり、企業保険のないフリーで仕事をすれば高額の薬は手が出なくなる。ぜんそく薬の服用を控えながら思った。「私たちも同じ空気を吸った被害者。なぜ医療から遠ざけられるのか」
生まれて間もなかった会員制交流サイト(SNS)フェイスブックで全米に散らばった元同級生たちに連絡。政府によるテロ被害の補償対象を元警官や消防士だけでなく、現場周辺にいた子どもたちにも広げるよう請願活動を始めた。
だが、壁は厚かった。「補償はビル跡で戦った大人の男たちだけ」という強い固定観念。数万人規模の元警官、消防士らに加え、現場から2、3キロ内の学生約2万人まで対象を広げれば政府の支出も膨らむ。面会した政治家が「近くで人が燃えるにおいはどうだったかね」と無神経に言い放ったのを聞き、深く傷ついたこともあった。
それでも請願書や署名を議員らに送り続け、時には立場を超えて元警官らの訴えにも同行。11年に成立した被害者健康補償法には元学生も含まれ、19年には当時の子どもらを念頭にした補償延長も決まった。
ただ、長い戦いで実感したのは、勝利ではなく「むなしさだった」。テロ被害者を口実に中東などでの戦争に推計8兆ドル(約880兆円)を費やしながら、被害者救済や保険制度の改革には後ろ向きだった政府。がんを発症した元同級生は知るだけで片手に余り、すでに世を去った後輩もいる。ライラも粉塵被害者に多く見られる重度の食道炎に悩まされるようになった。
粉塵が残る中、自分たちの高校が再開させられたのは、「正常化と経済回復を急いだためだった」と今では思う。「少なくとも私たちに害を与えたのはテロリストではない。政府や行政の過ちだった」
あのテロから20年。全米をさいなむ新型コロナウイルス禍でも弱者の犠牲が目立ち、性急な経済活動の再開が感染の再拡大を招いている。「あの時と同じ光景だ」とライラ。長い戦いは、まだ終わっていないと感じている。
◇
世界を震撼(しんかん)させた米中枢同時テロから11日で20年を迎えます。米国が始めた「テロとの戦い」は、人種差別や格差拡大などの問題を解決どころか増幅させてしまった感すらあります。米国が残した「傷痕」を4回にわたり報告します。
【関連記事】米19年目の9・11 「最前線の人間ほど犠牲に」 テロ被害の男性、政府のコロナ対応に危機感
https://www.tokyo-np.co.jp/article/55011
ーーー以上引用
放射性物質のせいではないの?
普通の爆発や倒壊で、ありえるか?
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