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2021年8月28日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/127239?rct=national
第2次世界大戦中、旧日本軍の捕虜として、タイとミャンマーをつなぐ泰緬たいめん鉄道建設に従事した元英兵レン・ギブソンさんが亡くなった。101歳。密林での過酷な日々を生き抜いたギブソンさんは最期、新型コロナウイルスに命を奪われた。昨年の終戦記念日を前に、彼の体験を「遺言」として記事化した。あと1年遅ければ、貴重な証言は残せなかった。(沢田千秋)
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「おはよう、チアキ。土曜の夜、私の父レンが死んだことをあなたに知らせるため、これを書いてます」。8月3日、電車の中で、ギブソンさんの娘ジェニファーさんからメールを受け取った。「腎臓に疾患があり、ワクチンを2回打ったのにコロナに倒れました。死の直前、面会が許され、どれほどみなが彼を愛しているか伝えることができました」。スマートフォンから顔を上げると、まぶしく輝く東京湾が車窓を流れ、涙が出そうになった。
◆悲惨な捕虜生活でも音楽忘れず
ギブソンさんは、盲目の父が教えてくれたという音楽をこよなく愛する慈愛に満ちた人だった。緊張する私を「初めての日本の友達だ」と迎えてくれた。震える手でぼろぼろの布きれを掲げ「このふんどしだけを身に着けていた。宝物だよ」と笑った。密林でギターを手作りし、どんな歌で仲間を励ましたか、何度も歌った。そのギターは帰還便に載せられず、鉄道敷設労働で得たいくばくかの現金とともに、現地の若者にプレゼントした。
どんな悲惨な話も笑顔で語ろうとしていたが、親友の死を振り返る時、柔和な紅色の頰に暗い影が差した。年老いた紳士に、かつて苦難を強いた母国、その話をさせる自分。罪悪感にうつむくと、「日本人に憎しみなどない。私は日本に行けないが、友好的で魅力的な日本人がきっとたくさんいるんだろう」と、またほほ笑んだ。
◆「日本の子どもたちに知ってほしい」
私は昨秋、帰国したが、ジェニファーさんはたびたび連絡をくれた。ギブソンさんはよく私の話をしたという。今年5月、ギブソンさんの偉業を祝うイベントが開かれた。主催者の慈善団体から「旅費はすべて出すから来てほしい」と連絡が来た時は驚いた。
コロナ禍の折、丁重に断ると、ジェニファーさんから返信があった。「あなたが残した印象がいかに大きかったか、父がどれほどなつかしくあなたを思っているか知ってほしかった」。イベントには彼が教えた学校の生徒150人が集まり、彼の名を冠した救急車も寄贈されたという。
ギブソンさんの中で、日本人への憎しみが全くのゼロであったとは思わなかった。ただ、彼はそれを克服し、誰も憎まず旅立ちたかったのだと思う。その象徴が私との友好であったのかもしれない。「日本人の子どもたちに、何があったか知ってほしい」。ギブソンさんの願いだった。泰緬鉄道に従事した元英陸軍第125対戦車砲兵連隊は全員が逝った。次世代に戦争の記憶をつなぐことが、私にできる唯一の追悼だ。
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