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2021年7月8日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/115259
https://www.tokyo-np.co.jp/article/115259/2
「月刊Hanada」8月号に掲載された安倍晋三前首相の発言が物議を醸している。東京五輪に対し「反日的」な人たちが開催に強く反対しているというのだ。各種の調査によると、いまでも五輪の中止を求める人は3割ほどになる。反日ではなく、コロナへの素朴な不安の表れではないのか。今回に限らず、レッテルを貼って批判を切り捨てる安倍さんの手法には批判が強い。(石井紀代美、中山岳)
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◆「共産党に…朝日新聞も」
安倍さんの「発言」は、保守系ジャーナリストの桜井よしこさんとの対談記事の中で飛び出した。
東京五輪のコロナ対策が万全なのに、野党が開催による感染拡大を懸念している。桜井さんはそう言って「五輪を政治利用している」と批判した。これを受けて安倍さんは「極めて政治的な意図を感じざるを得ませんね。彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか」と同調。そして語った。
「共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています。朝日新聞なども明確に反対を表明しました」
安倍さんは首相時代、今回の東京五輪の招致に関わってきた。2013年、東京開催が決まったブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会を覚えている人もいるだろう。あの「アンダーコントロール」発言が飛び出した会合だ。
安倍さんは演説でこの言葉を使い、東京電力福島第一原発の汚染水が制御できていることを強調した。が、五輪を前に政府は海洋放出の方針を決めた。16年のリオ五輪閉会式では人気ゲームキャラクター「スーパーマリオ」の格好で登場し、話題になった。桜井さんの対談でも得意げに触れていた。
当時は確かに反対の声は強くなかった。招致委員会がIOCに提出した「立候補ファイル」では「大規模な反対運動はない」と言い切っていた。五輪への思い入れが深い安倍さんだけに、様変わりした今の状況が認められず、「反日」という強い言葉を使ったのかもしれない。
◆開催反対は素朴な「コロナへの不安」
実際、五輪中止を求める声はいまだに強い。
開催まで1カ月と迫った6月に実施した共同通信の世論調査では「中止する」と答えた人が30・8%に上った。開催による感染の拡大に不安を感じている人は8割以上に上った。ほかの報道各社の調査でも約3分の1が中止を望んでいるという結果が出ている。
どう考えても、開催に反対している人たちは、素朴に「コロナへの不安」を感じているだけ。「反日」という言葉を使うのは、あまりに不適当ではないか。
コラムニストの小田嶋隆さんは「本来『反日』は、国際情勢を分析する人たちが『親日』との対概念で、外国の政治勢力やリーダーに使っていた言葉。一方、日本人には『反政府的』『反体制的』などが用いられてきた」と説明する。
日本人に「反日」を使いだしたのは、21世紀に登場したいわゆる「ネトウヨ」と、小田嶋さんは言う。その大まかな意味や用法は、戦前戦中の「非国民」と同じだ。
小田嶋さんは「反日発言で安倍さんは『私はネトウヨです』とカミングアウトしたようなもの。国民を『日本に反する人間』と見なしているわけで、政治家として終わり」と指摘した。
◆「批判に耳ふさぐ姿勢」
安倍さんは首相時代にも、批判を受けると一方的に相手を切り捨てる場面があった。象徴的だったのは、2017年7月の東京都議選での応援演説だ。
JR秋葉原駅前で演説した安倍さんに、聴衆の一部が「安倍辞めろ!」と連呼した。演説中に抗議の声が大きくなると、安倍さんは聴衆を指さして「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放った。
確かに「辞めろ」の連呼には腹を立てた安倍さんの支持者もいただろう。だが、「こんな人たち」の中には、「憲法を守れ」というプラカードを掲げる人たちもいた。賛否はあろうが、真っ当な主張だ。安倍さんの演説の映像がテレビのニュースやSNSで広まると、批判が起きた。
政治評論家の小林吉弥さんは「首相時代の国会答弁でも、批判に耳をふさぐ姿勢が目立った。批判や異論をのみ込むのもトップリーダーの度量なのに、強気一辺倒で自説を展開することが多かった」と振り返る。
今回の「反日」発言について、小林さんは「東京五輪の誘致から深く関わった安倍さんは、とにかくやるべきだと考えている。ただコロナ禍で五輪が開かれることに国民の多くは不安に感じている。それなのに中止や延期を求める人々を反日的と表現するのは、あまりに間口を広げて批判している」と語る。
◆都議選で見えた「民意」
東京五輪の中止や延期を含めて見直しを求める民意は、4日に投開票された都議選でもうかがわれた。
「中止」を訴えた共産党や「延期・中止」の立憲民主党が議席を伸ばした。「無観客開催」を主張した都民ファーストの会などを含め、見直しを訴えた政党の議席は66で過半数を占めた。対する自民党は第1党を奪還したものの33議席。事前に予想されたほどには伸びなかった。
都議選の結果を受け、ジャーナリストの鈴木哲夫さんは「支持政党にかかわらず、多くの都民が自然な感情から五輪開催に疑問を投げかけている。そうした人々を『反日』と線引きする安倍さんは、民意が分かっていないと言わざるを得ない」と指摘する。
開催にこだわる理由について、鈴木さんは「もし開けなければ、昨年に1年延期を決めた安倍さんの政治決断が間違いだったということになる。それを避けたいのではないか」とみる。
◆ブーメラン発言
駒沢大の山崎望教授(政治理論)は、安倍さんが「反日」発言をした対談記事で、立民の枝野幸男代表について「私に一切質問せず一方的な批判に終始するなど、インタラクティブ(双方向)な議論を避ける特徴があります」と述べた点にも注目する。
「枝野さんが自らと異なる意見を受け止められないと言いたいのだろうが、まるで安倍さん自身に返ってくるブーメランのような発言だ」
その上で、山崎さんは「意見の異なる相手を『反日』と切り捨てるのは、五輪に反対する人とは共存できないと言ったに等しい。政治家なら言ってはいけないレベルの発言だ。歴代首相の中でも最も長く在職し、発言の影響力も大きい安倍さんが口にしたのも大問題だ」と強調する。
首相が異論や批判に耳をふさいで相手を排除する場面は安倍政権以降、国会でも繰り返されていると山崎さんは言う。
そして山崎さんは「意見の異なる相手と議論して合意を図ることが、政治の現場で成り立たなくなりつつある。このまま放っておけば、民主主義が壊れていく恐れすらある。安倍さんの今回の発言は危機を象徴していると言え、過去の失言とは比べられない危うさをはらんでいる。見過ごしてはならない」と警鐘を鳴らした。
◆デスクメモ 気になった招致ファイル
「少数意見にも真摯(しんし)に対応」「建設的な批判は受け入れる」。2016大会招致ファイルの言葉。2020のファイルになく、気になったのが「スポーツイベントを好み、参加したいという内に秘めた願望と情熱が共存する国民性」との記述。読んで嫌な気持ちになった。(裕)
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