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韓国国会で2日、北朝鮮人権法案が賛成多数で可決したことを示す電子ボード(AP)
【ソウルから 倭人の眼】韓国は大丈夫なのか? 北の脅威を前に政争、経済は低迷、国民生活は困窮…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160322/frn1603221911011-n1.htm
2016.03.22 夕刊フジ
北朝鮮による核実験や長距離弾道ミサイル発射、米韓合同軍事演習への反発や挑発に対し、国際社会の懸念が高まるなか、北の脅威の最前線である韓国では、与野党が相変わらず政争に明け暮れ、党内の内紛や分裂を続けている。その一方で、失業率は上がり続け、貧富の格差が拡大するなど、国民生活や経済は泥沼に入りつつある。不満だらけの国民はお上(政府)を信じず、言うことも聞かず。韓国は大丈夫なのか。(ソウル 名村隆寛)
■足を引っ張り合う
韓国国会で今月、テロ防止法案と北朝鮮人権法案が、国会提出からそれぞれ15年、10年半をかけてようやく可決、成立した。いずれも左派系政党の反発などで長年、棚上げ状態にあった。
法案可決の背景にはテロの脅威が高まる北朝鮮の問題がある。しかし、野党側は最後まで抵抗。2月23日から今月2日まで長時間の演説により議事を妨害する「フィリバスター」で採決を引き延ばした。
日本でかつて野党が行ってひんしゅくを買った「牛歩戦術」のようなもので、夜を徹した演説には計38人が登壇した。最大野党「共に民主党」の議員は12時間半余り演説し、韓国国会の史上最長記録を更新。当然、世論の批判を浴びた。
両法案は、朴槿恵大統領が成立に向けて議会の協力を求めていたものだが、可決したのはほんの一部だ。朴大統領は3年前の就任以降、特に労働改革法やサービス産業発展法といった、経済や民生にかかわる法案の成立を何度も訴えてきた。低迷する経済の改善に必要なのだろう。しかし、こちらは野党の反対に加え、与党セヌリ党の内部の紛争で法案処理が遠のいている。
テレビで見る国会の様子に、「今日もやっとるね」と思う。特に「韓国らしい」と感じるのは、政権に限らず気に入らない相手の足を引っ張ることだ。北朝鮮が挑発を続けるまさにその瞬間も、韓国の政界はポピュリズムや保身にご執心だ。「妨害、人の足を引っ張ることに“生きがい”を感じているのではないか」とまで錯覚さえする。
■「あいつらを、やってしまえ!」 議員先生、今日も抗争
韓国では4月13日に総選挙の投開票が控えている。しかし、選挙区を確定する法案も国会でもつれた末、今月初旬にようやく採決に至った。しかも、選挙まで残り1カ月半を切った時点で。日本ではまず考えられないが、韓国では不思議なことではない。
こうしたなか、与党セヌリ党で最近、親朴大統領派と、次期大統領の座を狙う金武星代表に近い勢力の間で内紛が激化した。現政権で大統領政務特別補佐官を務めた国会議員の尹相現氏が先月末、「金武星をやってしまえ(直訳は“殺してしまえ”)。あいつらを(セヌリ党の)候補者選びで落としてやる」と電話で話した内容が8日、韓国メディアで報じられ発覚した
通話の相手は不明だが、物騒な発言は内紛の火に油を注いだ。尹氏は「酒を飲んで話した」と事実を認め、金氏への謝罪を表明した。尹氏は後日、党の公認候補から外された。「陰謀だ」と非難した尹氏の言葉通り、尹氏は韓国でよくあるように、ハメられたのかもしれない。
「暴言発覚」の翌日には、また物議をかもす秘密会談がメディアにより暴露された。玄伎煥大統領府政務首席と、セヌリ党で総選挙の公認管理委員長を務める李漢久氏が極秘裏に会っていたという。総選挙の党公認候補選びに朴大統領が介入しているとの疑惑を抱かせるのには十分な材料だ。
また、選挙公認管理委員会の親朴派・反朴派の幹部が国会の通路やエレベータで、大声で派手にののしり合うというローカル色の濃い出来事もあった。こうした陰謀劇や暴露、もめ事は韓国では珍しくはない。ものによっては、生のドロドロした“韓流政界ドラマ”を見ているようで、興味をそそられる。
■いい話、全くなし
選挙を前に噴出した党の内紛に、韓国国民はうんざりとし、シラケている。反発のための反発を繰り返す野党に対する目も冷ややかだ。経済が停滞し、庶民の暮らし向きが一向によくならない現実を尻目に、政争や内紛を続けているのだから。
国内の問題で韓国が現在抱える最も深刻な問題は、経済と民生だ。朴大統領自身、これまで何回も訴えている。ほぼ毎週といってもい。演説ではもちろん、各種の会議で口にしている。これまでも何度か書いたことだが、それほど韓国の経済と国民の生活状況は悪い。
韓国統計庁が今月発表した雇用動向によれば、2月の失業率は4・9%(前年同月比で0・3ポイント悪化)。2010年2月以来の高さだった。中でも15〜29歳の青年層が深刻で、失業率は12・5%(同1・4ポイント悪化)。失業率が現行基準に変更された1999年以降では最悪の数値だ。
特に昨年10月の7・4%から毎月、失業率は上がり続けている。昨年1年間の青年層失業率は過去最高の9・2%だったが、今年もさらに悪化する可能性が高い。
■若年層の不満
青年層の失業率上昇に見られるように、韓国の学生は今、未曾有の就職難に直面している。いい大学を卒業しても仕事がない。産経新聞ソウル支局がある建物には、労働組合のナショナルセンター、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の本部がある。大規模かつ過激なデモで知られる急進左派労組だ。
この民主労総に抗議する十数人の大学生らが、毎月のように建物の前でデモを行っていた。「働かずにストをやっているのなら、僕たちに仕事を分けてください」といった冷静で礼儀をわきまえた抗議デモだった。2年ほど前から続いていた抗議デモは、いつしかなくなってしまった。彼らの就職が決まったのか、抗議を諦めたのかは分からない。
失業率の上昇、特に学生の就職難には朴大統領も強く懸念しており、演説や集会で何度も「韓国の未来を担う若者に職を」と訴えている。昨年秋には、「青年雇用対策に」と2000万ウォンのポケットマネーを出し、以来、毎月の給料から20%を寄付しているという。
しかし、多くの企業の実績は芳しくなく、新入社員採用には消極的だ。新卒社員を採りたくても、上が詰まり過ぎている。韓国の労組は日本に比べて相当に強力で、経営側の多くはその“うるささ”に手を焼いている。解雇はもちろん、「肩をたたく」ことも難しいそうだ。
韓国メディアが「驚き」を込めて報じていたことだが、韓国の現代自動車の平均賃金は日本のトヨタ自動車よりも多いという。現代がトヨタよりも収益が莫大(ばくだい)で、経営も安定しているのかどうかは分からない。ただ、現代自動車の労組の力は半端ではないと聞く。
現代自動車など、韓国の大手企業の中には労使の協約に「雇用世襲」の条項を設けているところがある。定年退職者や長期勤続社員の子弟を優先採用するものだ。端的に言えば、大企業の“労組貴族”が持つおいしい特権を子供にまで引き継がせることを指す。
一定年齢に達すると賃金が下がる「賃金ピーク制度」の導入も政府サイドから呼びかけられているが、導入したケースについてはほとんど聞かれない。賃下げなど韓国の労働者は受け入れない。ここでは既得権益は守られて当然なのだ。こうした風潮に対する若年層の不満は強い。
■国民の負債もうなぎ登り
持たざる庶民が抱える負債も深刻だ。韓国銀行の調査によれば、昨年3月の時点で、所得だけで負債を返済できない「限界世帯」と呼ばれる世帯は、前年より8万多い158万世帯と推定されている。金融負債を抱える1072万世帯の14・7%に相当する。
限界世帯の中には不動産などの資産を保有する者もいるが、今まさに進行中の景気鈍化や不動産価格の下落など、市場の状況次第では資産売却による対処が困難になる。
また、生活費や負債返還のために生命保険を解約する者が増えている。東亜日報が今年1月に生命保険業界の推定値として報じたところでは、昨年(10月末時点)解約された保険金の還金額は18兆ウォン(約1兆7600億円)で過去最高の額だった。通年の額ではなく、10カ月間の数値だ。
このほか韓国では、自殺者の数が年々増えている。不名誉なことに、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の中で2004年から14年まで、11年連続で、自殺率のトップは韓国だった。とりわけ、生活苦などによる高齢者の自殺が多いと分析されている。貧富の格差拡大の現実が数字に表れている。
■精神安定剤は日本いじり?!
よその国のこととはいえ、書いている方も暗い気分になる。だが、これが韓国の現状なのだ。「かつての日本の失われた10年、20年の状態に極めて似てきている」。韓国の経済専門家やメディアは今日も、自国経済の現状に危機感を抱き続けている。
最近の明るい話題といえば、韓国人プロ棋士、李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段が人工知能(AI)囲碁ソフト「アルファ碁」との囲碁5回戦で1勝し、アルファ碁の4連勝を阻んだことぐらいだ。韓国メディアはこぞって、「わが国も人工知能の開発を急げ」などとハッパをかけている。何事も「急がねばならない」「やらねばならない」という主張は韓国メディアらしい。だが、何でもかんでもやれるのか。千手観音でもあるまい。そもそも、現在の韓国にそんな余裕はあるのだろうか。
北朝鮮問題のせいか、韓国メディアではこのごろ、「反日の声」が収まっているものの、相変わらず日本を意識し続けている。メディアが最近、日本がらみで注目しているのは、日銀のマイナス金利政策だ。同政策に対する日本メディアや専門家による懐疑的な見方を引用するなどして、ネガティブにとらえる論調が目立つ。行間からは、マイナス金利政策によって日本経済がよからぬ方向に行くことや、アベノミクスが失敗に向かうことへの“期待感”さえうかがえる。
これも、日本との比較に執着する韓国にありがちな現象なのだが、日本の浮沈に一喜一憂し、日本の調子がよくないと妙に安心する。自国が危機に直面しようが、それよりも日本がコケてくれれば気分がいいかのようだ。
■言うこと聞かず
深刻の度を強める北朝鮮の脅威に、近寄る経済危機。韓国が直面する現実の課題は、まさに朴大統領が最も懸念を示していることだ。しかし、政界は不毛の政争を繰り返し、既得権益層と持たざる者の格差は開く一方だ。
韓国人は「愛国」という言葉が好きだが、先行き不透明な現在、日本を相手にした時のような驚異的な愛国心は感じられない。竹島や靖国神社などがからむ日本への「非難決議」では見事なほどに満場一致だが、現実の危機からは目をそらす。韓国が強調して止まない愛国心を疑いたくなることさえある。
政争に明け暮れる政界や韓国内での飽くなき思想対立に対し、朴大統領は苦言を呈している。しかし、先生の言うことを聞かない生徒であるかのように、忠告を聞かねばならない者ほど言うことを聞かない。任期が残り2年を切った現政権よりも、目は「次」に目は向かっている。愛して止まない国が直面する現在の危機を放っておいても。
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