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タイの新憲法草案 軍の政治介入容認
非常時に権限付与 「クーデター制度化」批判も
【バンコク=小谷洋司】タイの憲法起草委員会は22日、非常時に軍の関与を容認することを明記した新憲法の最終草案を公表した。政情不安が高まった場合などに、軍が関与する独立組織が政府に取って代わる。素早く秩序を取り戻す狙いだが、「クーデターの制度化」などとする批判が上がっており、このまま憲法が成立するかどうかは予断を許さない。
起草委は同日、政治改革について議論する国家改革評議会(NRC)に全285条からなる最終草案を提出した。NRCは9月6日に最終草案を承認するかどうかの投票を実施する。NRCの承認を経て来年1月に国民投票を実施し、過半数の賛成が得られれば成立する。
最終草案は「改革の貫徹や国民の対立阻止、和解の実現」のために「国家改革和解戦略委員会」を設置することを規定。5年間の期限付きで非常大権を与えるとした。内閣が非常事態に対応できない場合、委員会の3分の2以上の同意をもって「委員会は内閣の代わりに事態打開に必要な措置を講じる権限を持つ」。委員会のすべての判断・行動は「合法」とされる。
委員会の陣容は最大23人。国軍最高司令官、陸・海・空軍と警察の各トップや首相経験者(1人)、下院議長経験者(1人)らが参加する。選挙で選ばれた現役政治家は首相、上下両院議長の最大でも3人のみ。軍が強い影響力を行使できる。
2013年秋から14年春にかけてタクシン元首相派と反対派の対立が激化し、首都バンコクが騒乱状態になった際、タクシン派のインラック前政権は機能不全に陥った。事態を打開したのは14年5月の軍事クーデターだった。起草委はこうしたケースで委員会の強権発動を想定する。
タイには民主政治が行き詰まるたびクーデターを繰り返してきた歴史があり、クーデターは未遂も含め約20回にも及ぶ。起草委の一人は「政治家と軍の首脳が一堂に会し、軍事クーデターなしで問題を解決できるようにする」と語った。
ただ、非民選メンバーが大半の委員会が強権を持つことには国際社会からも批判が出る可能性がある。
起草委は4月に1次草案を公表。政府やNRCの要望を聞いたうえで最終草案をまとめた。軍事政権の影響を受けているNRCは最終草案を受け入れるとの見方が優勢だ。
1次草案でタクシン派などから「非民主的」との指摘があった選挙制度や首相の選任方法、上院議員の構成などについては、若干の変更を加えただけで大枠は踏襲した。
起草委は反タクシン派の保守層が多数とされる。
最終草案も保守層に根深い政治家不信を色濃く反映した内容になったといえる。
[日経新聞8月23日朝刊P.5]
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