対ロ制裁、欧州企業に影
エネルギー関連・軍需・車…　減る輸出、拠点再編

　【フランクフルト＝加藤貴行】欧米による本格的な対ロシア制裁が、欧州企業の業績に影を落とし始めた。エネルギーなどではロシア事業の先行き不透明感から業績の下方修正が出始め、小売業では現地の長引く売り上げ低迷を受けた事業縮小の動きも出ている。欧州主要企業の業績は債務危機の影響を脱してようやく本格回復に向かうところだったが、制裁が長期化すれば回復が遅れる可能性もある。

　欧州連合（ＥＵ）は金融取引の制限や新規の武器売買の禁止、エネルギー分野の技術供与の禁止などを盛り込んだ追加制裁で合意し、今月１日に実施した。

　ＥＵ統計局によると、ＥＵにとってロシアは中国に次ぐ２位の輸入相手で全体12％強（2013年）を占める。輸出でも同４位で７％弱を占めるだけに影響が大きい。
　「慎重に仮定すれば、陸上・海上設備の利益率は想定より下がる」。油田サービスの世界大手、仏テクニップのティエリ・ピレンコ最高経営責任者（ＣＥＯ）は業績予想の下方修正を表明した。

　油ガス田の生産に不可欠な施設を手掛ける同社は、追加制裁でロシア国内の資源開発が滞るリスクを織り込み始めた。
　これまで制裁強化論が強まるなか、ロシア事業を継続する意向を示してきた国際石油資本（メジャー）でも、「これ以上の制裁は、経営に重大な悪影響を及ぼす恐れがある」（英ＢＰ）と悲観論が出る。

　ドイツでは武器輸出の契約破棄が決まった。ガブリエル副首相兼経済・エネルギー相は４日、自国の軍需企業ラインメタルのロシアへの軍事訓練施設の輸出計画を認めないと表明。追加制裁では新規の武器売買が禁止の対象だが、ドイツは既存契約まで踏み込んだ。

　スウェーデンの商用車大手ボルボは４月に凍結したロシアの戦車メーカーにエンジンを供給する協議の再開を模索していたが、今回の追加制裁で断念せざるを得なくなる可能性が高まる。

　制裁の直接の対象ではない分野でも、ロシア経済の低迷が事業に影響しつつある。独フォルクスワーゲン（ＶＷ）の１〜６月期のロシア販売は前年同期比８％減、仏ルノーも２桁減った。ロシア市場は昨年から低迷しており、制裁で一段と消費者心理が冷え込む。各社の世界販売全体に占める割合は数％だが、南米など他の新興市場も減速するなか頭痛の種が増えた形だ。

　スポーツ用品世界２位の独アディダスは、約1000店を展開するロシアの小売事業の低迷などを理由に14年12月期の利益予想を下方修正した。
　ロシアでは出店計画を延期し不採算店の閉鎖を急ぐ方針。独流通大手のメトロは「ウクライナの店舗が不振」という。

　ドイツ機械工業連盟（ＶＤＭＡ）は７月下旬、制裁の影響を織り込み、今年の国内生産を前年比約１％増と従来の３％増から下方修正した。ドイツを代表する輸出産業である機械業界の成長が鈍化すれば、他産業の生産活動にも影響が出かねない。

=========================================================================================================
業績、下方修正相次ぐ 欧州景気下押しも

　【ロンドン＝黄田和宏】金融情報会社トムソン・ロイターが決算やアナリスト予想をもとに集計したデータによると、欧州主要企業の業績下方修正が相次いでいる。

　主要600社でみると、４〜６月期の１株あたり利益（ＥＰＳ）は７月末時点の推計で前年同期比8.2％増。７月１日時点の17.7％増から大きく下がった。仏ＢＮＰパリバをはじめ金融不祥事に絡んだ罰金などの一時的な費用が膨らみ、「金融業」が事前の15.6％増から一転、1.2％減に下方修正されたのが主因だ。

　ロシアへの本格的な追加制裁の影響が出てくる７〜９月期以降も下方修正が増えている。中でもロシアとの関係が深い「エネルギー」は７〜９月期の増益率が3.5％から0.7％に下方修正された。ロシア企業との関係を強化してきた石油メジャーにとって、制裁強化は逆風だ。

　制裁ではロシアの国営銀行も対象となっており、欧州銀行のロシア事業にも悪影響が出る可能性がある。

　マクロ経済全体でみても、ロシア向け輸出の減速などで回復力の鈍い欧州景気はさらに勢いを失いかねない。シティグループでは、ロシアへの追加制裁で2014〜15年のユーロ圏の経済成長率を0.2〜0.3ポイント押し下げると予測する。株式市場も企業業績や欧州景気への影響を警戒。欧州の主要600社で構成する株価指数は６月のピークから７％下落した。

［日経新聞８月７日朝刊Ｐ．７］

コメント
01. 2014年8月10日 19:21:07 : 6m9Z3Oa7DY テロ国家に付き合ってるんだから文句は言えまい
02. 2014年8月11日 17:43:37 : TbZy18kA1M こんなのもあるみたい。 http://jp.ria.ru/analytics/economics/20140811/131388844.html プーチン「ロスネフチ」の北極圏油田プロジェクトの一環で最北地域の掘削開始 ウラジーミル・プーチン大統領はテレビ電話形式の会議で、 ロシア最北のＷｅｓｔ-Ａｌｐｈａ採掘地であるカラ海の 「ウニベルシチェツカヤ-１」（大学-１）プラットフォームで 試作採掘を開始する。掘削始動式典には 「ロスネフチ」（ロシア最大の国営石油会社）のイーゴリ・セチン社長と アメリカの国際石油資本会社エクソン・モービルのロシア支社の グレン・ウォーラー社長も参加することになっている。 これは、上述２社のとってロシアの大統領が開始する大陸棚開発に関する 初めてのプロジェクトではない。 例えば、６月末に「ロスネフチ」と「エクソン・モービル」は、 「サハリン-１」プロジェクトの一環でオホーツク海の 「アルクトゥン-ダギ」（「ベルクート」（イヌワシと言う意味の鳥） と言う石油ガス採掘田を稼働させた。 プーチンはこの許可をテレビ電話会議の過程で認可し、 クレムリンの状況センターからプラットフォーム向けて連絡した。 「ロスネフチ」はアメリカのエクソン・モービル社と共同で、 深海用採掘、北極圏での掘削及びシェール（頁岩）石油採掘用の装置の ロシアへの制限を含む一連のロシア企業に対する制裁に打ち勝つため、 カラ海で冒頭の北極圏油田採掘に着手している。 ロシア企業（ロシネフチ）の代表者たちは、これは、現行のプロジェクトに 影響はないと表明しているものの、専門家たちは長期的スパンでは 北極圏プロジェクトへの制裁が影響することは否定できないとしている。 「ウニベルシチェツカヤ-１」採掘田は、採掘が可能な間氷期である８月から １０月末までの期間を対象に掘削されることになる。 「ロスネフチ」のイーゴリ・セチン社長は７月中に、アメリカの制裁は アメリカエクソン・モービルとの現行の協力関係には 影響しないと語った。彼は、「ロスネフチ」は「エクソン・モービル」 とカラ海の大陸棚開発プロジェクト実現のための作業を継続しており、 エクソン・モービル社の法律家と協議を行っていると指摘した。 何が何だかよくわからんね（笑）

フォローアップ:

• 「経済の勢い鈍った」　欧州中銀、金利据え置き あっしら 2014/8/10 04:02:23 (0)

▲上へ　　　　　 ★阿修羅♪ > 戦争b13掲示板　次へ 　前へ

★阿修羅♪　http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。