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米「軍事より外交」鮮明 オバマ大統領、「弱腰」批判に反論 対中ロ、有効打は示せず
オバマ米政権は28日の大統領の演説を皮切りに外交の基本方針を国内外で訴える。シリアの内戦を防げず、クリミア編入に動いたロシアを制止できなかったとして、政権には「弱腰」との批判がつきまとってきた。オバマ氏は「軍事的な冒険」よりも、外交と協調行動に軸足を置く姿勢を改めて鮮明にした。
「全ての問題に軍事的な解決があるわけではない。米国は高い代償を伴う間違いを犯してきた」
ニューヨーク州ウエストポイントの陸軍士官学校で外交演説に臨んだオバマ大統領は軍事行動が唯一の処方箋ではないと主張し、弱腰との批判に反論を重ねた。
オバマ氏が口にした「高い代償」とはブッシュ前大統領によるアフガニスタンとイラクの2つの戦争が米経済の低迷と国民の離反を招いた点だ。戦争の幕引きを公約に掲げて大統領の座を射止めたオバマ氏が「レガシー(遺産)」にしたいと重視してきた分野だ。
「米国は常に世界の指導的な立場にいなければならない。孤立主義は21世紀の米国の選択肢にはない」
「米国は世界の警察ではない」。オバマ氏が昨年夏にシリアへの軍事介入を見送った際の発言が問題解決に後ろ向きとの印象を与えた。新たな戦争は望まないものの、自尊心を傷つけられたくもない。演説で「指導的」「特別」と連呼した言葉には、オバマ氏なりに国民を鼓舞しようとした跡がうかがえる。
「南シナ海やウクライナの情勢が放置されれば、米軍が巻き込まれる恐れがある」
問題は2つの戦争が終わって世界の安定が近づくどころか、火種が分散し、より危うさを増していることだ。オバマ氏は「中国の経済的台頭と軍事的行動の拡大が近隣諸国に懸念を与えている」などとリスクを列挙した。ただ具体的な対応については国際法を重んじ、同盟国との協調行動の必要を繰り返すのにとどめた。6月以降、ヘーゲル国防長官やケリー国務長官と手分けして米外交の基本方針を関係国に説いて回る考えだ。
中ロはオバマ氏の再三の警告を無視してきた。野党・共和党の重鎮、マケイン上院議員は「演説で示した原則が効果的な外交政策に結びついていない」と指摘する。米ヘリテージ財団のガーディナー氏は「ウクライナとシリアの対応に長期的な戦略がなかった。ロシアのクリミア編入に言及しなかったことは誤ったメッセージを送ることになる」と厳しい評価だ。
単独介入に慎重で、外交と制裁を駆使して事態を打開しようとするオバマ氏の姿勢には難題に有効打を示せない米国の苦悩もにじむ。
(ワシントン=吉野直也)
[日経新聞5月30日朝刊P.7]
- 孤立と介入の中間? 賛否分かれる「オバマ・ドクトリン」 あっしら 2014/5/30 23:46:24
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