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(回答先: 日本経済に大異変!景気急降下、再びデフレへ 安倍総理とヘタレ大臣たち この内閣でニッポンの危機を救えるのか(週刊現代) 投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 9 月 22 日 14:20:05)
日本経済が大きな転換点を迎えていることは間違いない。
スレッドの記事にはデフレに戻ってしまうようなニュアンスもあるが、98年から15年にわたって続いたデフレが終わりを迎えたことは確かである。しかし、それは、良いかたちの終わりではなく、スタグフレーションというより悪い状況への転換である。
デフレは経済成長にとって望ましくない経済事象だが、中長期にわたるデフレは、その国民経済が国際的に強い競争力を維持していることを意味している。
現在のスペインなどのように緊縮財政政策で生じているデフレは一時的な需給バランスの変動によるものだが、これまでの日本のような長期的デフレは、デフレに突入するまでに積み重ねられてきた資本(設備投資)の強靭さに支えられたものであり、新たな投資を怠ってもそこそこ国際競争力を発揮できることを意味している。
歴史的にみても、19世紀後半の「英国の大不況」(20数年に及ぶデフレ)や1930年代の「米国の大恐慌」(10年を越すデフレ)を考えればわかるが、長期的なデフレに見舞われた国民経済は、その時点の最強の産業国家であった。
最先進国の不況は他の国民経済にも大きな影響を与えたが、産業力がそれほど強くない他の国民経済のデフレは短期で終わった。
消費者物価の変動は、人口規模が同じと想定すれば、固定資本投資増減・赤字財政支出増減・生産性上昇の関係で起きる。
設備投資(不動産投資も)や赤字財政支出が増大すると、消費者物価は上昇する。(その後、設備投資の効果で生産性が上がるので物価の上昇は抑制されることになる)
日本は、80年代、ジャパンアズNo.1と言われバブルにも踊ったことで、固定資本投資が膨大に積み上がり続けた。しかし、それも、90年から93年にかけてのバブル崩壊を受けて一気に縮むことになる。
金融事象的には、過剰な債務を抱えた企業が投資(借り入れ)を抑制し、現状の債権回収さえ危うくなった銀行は新規の貸し出しを抑制するという状況が続いた。
80円前後まで進むことがあった円高も、国内設備投資を躊躇わせるとともに、消費者物価上昇の抑制に寄与した。
自動車や家電で世界を席巻しジャパンアズNo.1と言われた日本企業は、破格の国際競争力を達成しており、バブル崩壊後のタイトな金融・経営状況において、国内でことさら新規の設備投資をしなくても国際的に勝てる競争条件にあったことが長期の設備投資低迷につながったのである。
日本のグローバル企業は、円高もあり、日本を輸出拠点として考えるよりも、需要地での生産や人件費が圧倒的に安い中国を輸出拠点と考えるようになった。
日本経済の大きな転換点は09年であったと言える。なぜなら、その年、設備投資の金額が、減価償却レベルを下回ったからである。
戦後営々として積み上げ増強してきた産業基盤は、09年を境に衰退へと向かっている。
円安の原因は、アベノミクスではなく、日本・米国・ユーロ圏の金融・経済の差異である。(アベノミクスは、国債サイクル(政府債務)管理政策であり、経済政策とは言えない)
日本が円高であった主要因は、日本のデフレが続く一方で、米国や欧州が2%前後のインフレであったことである。
外国為替取引が変動制であれば、中長期的にはインフレ率が相対的に高い国の通貨が安くなり、短中期的には金利が相対的に低い国の通貨が安くなる。
(02年から07年までは、低金利の円を借りてドルやユーロを買って投機に走る動き(円キャリー取引)が増大したことで円安状況が生まれ、グローバル企業は空前の利益をあげ続けた。多くの国民にはピンとこない話だが、戦後最長の好景気期間はこの時期である)
現在の円安は、米国及びユーロ圏が消費者物価上昇率1%を切るようなディスインフレ状況にある一方で、日本は消費税増税の影響もあり3%を超える高いインフレ状況にあることをベースとし、それでも、日本の金利は長期で0.5%と低いまま(ドイツでも1.5%を超え米国も2.5%を超えている)であることが主たる要因である。
日本の方がインフレ率が高く金利も低いという状況が続くなら、ドルやユーロに対する円安傾向も続くことになる。
現在の円安の最大の問題点は、インフレが投資増加や賃金アップによる需要の増大でもたらされたというより、消費税増税に伴う負担を転嫁する動きとして起きていることである。
総需要の増加がないままのインフレは、販売数量の減少を招き、名目レベルでも企業の付加価値増加につながらない。
より深刻なのは、GDPデフレータ上昇率(2.6%)が消費者物価指数(3.7%)よりも1%以上低いことでわかるように、円安で高くなった輸入物価を国市場で転嫁し切れていない状況である。
電気代やガソリン代はそれなりに転嫁できているとしても、エネルギーを消費してつくられる製品の価格は思うように高くなっていないのである。円安に伴う輸入物価高のツケを中小企業の多くが引き受けていることになる。
決定的な問題は、円安でも輸出数量が伸びず、生産量を増大させるための設備投資が行われていないことである。これは、現在の景気を左右するだけでなく、インフレ率の抑制=実質可処分所得の増加が達成されないことを意味する。
そのようなかで円安がさらに進めば、消費者物価の上昇が続くのみならず、コストアップを転嫁できずに付加価値を減らす企業が増加することになる。
消費税は付加価値税であり、消費税増加は企業の付加価値を政府部門が取り上げることである。
消費税特権者である(政府が取り上げた付加価値が“贈呈”される)グローバル企業を除く大多数の企業は、円安によるコスト増大と消費税増税による付加価値減少のダブルパンチで深刻な経営状況に陥り、賃上げどころではない。
物価が上がるのに企業の収益は悪化するスタグフレーションこそが、日本経済を危機的状況に陥れる最大の問題である。
スタグフレーションを緩和する即効的政策は、消費税の廃止もしくは消費税の税率引き下げである。
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