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第一次安倍政権では'07年8月の内閣改造直後、安倍総理は体調不良で辞任を表明している〔PHOTO〕gettyimages
巻頭特集 第1部
日本経済に大異変!景気急降下、再びデフレへ 安倍総理とヘタレ大臣たち この内閣でニッポンの危機を救えるのか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40449
2014年09月22日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
「日本はデフレから脱却しつつある」―繰り返されるこの言葉を、もう信じることはできない。延命と保身のためだけの内閣改造に何の意味があったのか。総理の目には、もはや国民は映っていない。
■あらゆる数値がマイナスに
「安倍総理は、今回の内閣改造で、邪魔者排除や利権配分など『いかに自分が得をするか』しか考えなかった。ついでに支持率と株価も上がれば一石三鳥ということだったのでしょう。しかし、改造後も株価は横ばいで、世間には期待外れムードが漂っている。国民は、これが所詮『安倍総理が自分のためにやった改造』だと気付いているんです」(自民党閣僚経験者)
これまで1年8ヵ月にわたり、「景気は確実によくなっている」と繰り返しながら騙し騙し継続してきたアベノミクス。しかし、安倍総理が9月3日に行った内閣改造の「失敗」は、このアベノミクスがついに破綻し、日本経済が再び奈落の底へと転がり落ちるきっかけとなるかもしれない。小手先の閣僚人事など、待ち受ける日本経済の大混乱には、何ら効果がないのだ。
事実、ここにきてあらゆる経済指標が急降下を始めている。まずは不動産売買の落ち込みである。4月の消費税増税を前に、今年1~3月期には、住宅・マンション・不動産など大口の駆け込み需要が急増した。しかしその後はぱったりと止み、4~6月の商業不動産投資額も前年同期比マイナス15%と大幅に減っていることが分かった。
「家やマンションを買うと、家具や身の回り品を揃えるため、一軒あたりおよそ150万円前後の追加需要も発生します。これらが4月以降は丸ごと消えてしまっているのですから、そう簡単に消費は回復するはずがありません」(アセットベストパートナーズ・中原圭介氏)
企業の活動も、もはや「伸び悩み」「横ばい」といった段階を通り越して、退潮を始めた。8月末に発表された今年7月期の自動車生産台数は11ヵ月ぶりに減少に転じ、前年同月比で2・2%減。政府や大新聞が「順調に伸びている」と吹聴してきた製造業の設備投資額も、7~9月期は前期比7%減という大幅な落ち込みが予測されている。
今年4~6月期のGDPが、年率換算で6・8%もの急落を見せたことも記憶に新しい。こうした不都合な事実が判明してからも、安倍総理をはじめ政府、日銀、そして財界トップは「想定内」「7~9月期には消費が上向くから問題ない」と口を揃えている。
しかし彼らは、希望的観測を自らに言い聞かせているにすぎない。全国紙経済部記者が言う。
「金融緩和でカネをジャブジャブに増やせば、円安が進み輸出が増える。そうすれば企業の設備投資が増え、企業活動は活性化する。一般家庭にもカネが回るようになり、景気は上向く―そもそも、アベノミクスが拠って立つこの見立て自体が仮説にすぎません。
長期金利が低下すると、企業が設備投資するようになるという考え方も短絡的。商品が売れる見込みもないのに、無駄な設備投資をする企業なんてありません。経済理論上は正しくても、現実は甘くない」
さらに、内閣府が発表する消費総合指数によると、4~6月期の民間消費は前期比マイナス5・2%の大幅減。この数値は今後さらに下方修正される見通しだ。
「円安が進むことで輸入品の価格もどんどん上昇している。食品やガソリンの値段が上がると、物価高を真っ先に実感するのは地方在住の人々や家計を預かる主婦たちです。
例えば栃木県では、物価の上昇と相まって7・1%も実質賃金が下がっている。東京に住む大企業の社員の賃金が多少上がり、百貨店の売り上げが多少増えたくらいでは、地方の消費の落ち込みを補うのは不可能です」(前出・中原氏)
東京短資チーフエコノミストの加藤出氏も言う。
「この先、消費税10%への再増税に踏み切り、日銀の掲げる年率2%のインフレ目標が達成されれば、実質賃金の低下分を勘案すると、再来年には安倍政権発足前に比べて約9%も物価が上がる計算になります。
アベノミクスの開始以降、賃金上昇率が最高水準だったIT技術者の収入でさえ前年比約8%増ですから、賃金の増加分は物価上昇に打ち消される可能性がある。医療・介護分野ではマイナス1・3%と、むしろアベノミクスによって名目賃金まで下がっている。実質賃金は単純計算で1割以上も減るかもしれません」
'03年から'08年にかけて日銀総裁を務めた福井俊彦氏は、在任中の'06年夏に、
「デフレに逆戻りするリスクはほぼ解消している」
と宣言し、ゼロ金利政策などの量的金融緩和を停止した。福井総裁の見立てが誤っていたことは、その後の歴史が証明している。そして今、安倍総理も日銀の黒田総裁も「日本はデフレから脱却しつつある」と言い張り、同じ愚を犯そうとしているのだ。
■消費税増税は絶対にムリ
それにしても、安倍総理は今回の内閣改造で何をしたかったのだろう。
「50人以上いる党内の『入閣待機組』は納得していません。この人事は、大きな禍根を残すことになる」(前出・自民党閣僚経験者)
事前報道の過熱ぶりと裏腹に、前向きなサプライズは何も見当たらない、失望と閉塞感漂う人事だった。
「今回は、地方と女だ」
安倍総理は改造直前、側近の前でそううそぶいていた。が、そのうち「地方」を任されることになった石破茂地方創生大臣の迷走劇には、思わず呆れた読者も多かったろう。
「安倍総理は『地方に人気があるから石破さんは地方創生大臣』などと適当なことを言っていましたが、何をやるポストなのかさっぱり分からない。『各省庁の地方政策を横断して取りまとめる』と言っても、官僚が抵抗するし、そう上手くはいかない。『石破封じ込め』の口実を作っただけ」(自民党中堅議員)
「安保担当大臣はイヤだ」「幹事長留任がないなら無役でいい」と総理に盾突きながら、最後は「部屋なし・机なし・秘書なし」大臣をあてがわれ、唯々諾々と従った石破氏。安倍総理は「『また座敷牢に押し込んでやった』と言わんばかりだった」(総理側近)。ケンカもろくにできないことが露見した石破氏には、もはや従う者などいないだろう。
また、安倍総理の言う「女」の閣僚は今回5人。記念撮影で安倍総理の周りをぐるりと取り囲むさまは、まるで「新生安倍ガールズ誕生」と言わんばかりだった。その中で最も注目を集めたのが、経済産業大臣に就任した小渕優子氏だ。だが、彼女も結局は「安倍総理に潰される」という見方が自民党内の大勢である。
「そもそも彼女が登用されたのは、親分にあたる額賀nu郎元防衛庁長官や青木幹雄元官房長官といったハト派の重鎮を黙らせるため。長老への目配りで閣僚人事を決めるなど、古い自民党の派閥政治そのものです。
しかも、経産大臣というと一見重要ポストに見えますが、安倍総理は明らかに彼女を潜在的な敵対勢力とみて封じ込めようとしている。改造前から、経済政策は総理の腹心の甘利明経済再生担当大臣、TPP交渉は西川公也農水大臣が官邸の意を汲んでやっていましたから、前経産大臣の茂木敏充氏には何の権限もありませんでした。改造後もこの体制は変わりません」(全国紙政治部デスク)
つまり小渕氏は「女性登用」のお飾りにすぎない。役立つとすれば、「子育てと議員の両立」がウリの彼女に原発再稼働を呼びかけさせ、反原発派が多い母親層を切り崩すことくらいだ。
今回の改造ではっきりしたのは、安倍総理がもはや「政権の延命」しか頭にないということである。新閣僚で国民の目先を変え、党内の不満分子も懐柔する。今回の人事は、それだけが目的だった。
しかし、出来上がったのは以前と変わり映えしない、何をしたいのか分からず実力も乏しい「ヘタレ大臣」ばかりの内閣だ。こんな人事で政権の延命、そして真の「デフレからの脱却」ができると総理が本気で考えているとすれば、あまりにも能天気に過ぎる。
現在の日本経済のおかれた状況を「インフレ」と表現するのは、厳密には間違っている。日本は今、不景気なのに物価がどんどん上がり、ますます景気が悪化する最悪の循環、つまり「スタグフレーション」の状態である疑いが濃い。この状況でさらなる消費税増税を実行すれば、日本経済には完全にブレーキがかかる。操縦不能になったあげく、再びデフレに逆戻りすることは明らかだ。
「本当に国民に申し訳なかった。深くお詫びしたい」
かつて、こう言って消費税増税を国民に謝罪した総理がいたことを覚えているだろうか。'96~'98年に総理を務めた、故・橋本龍太郎氏である。
「橋本政権の命脈を断ったのが、'97年に実施した3%から5%への消費税増税でした。引き上げ直後こそ税収は上向きましたが、すぐさま消費はどん底まで冷え込み、内閣は退陣に追い込まれた。この消費税増税は、その後十数年にわたって日本を苦しめる『デフレ不況』の引き金を引いた、歴史的失政と言われています」(前出・全国紙政治部デスク)
橋本氏は退陣後「オレは財務省に騙された」と悔やんだ。一方の安倍総理はといえば、財務省に増税を呑まされ、そればかりか国内外に公約までしてしまった。安倍総理は、橋本氏の轍を踏もうとしている。
かといって、今更「増税はやめる」などと言い出したら、それこそ財務省だけでなく海外の投資家やファンドも安倍政権を見限るだろう。「日本売り」が始まり、政権の命綱である株価は暴落する。
橋本氏は、'01年の総裁選で消費税増税を前述のように詫び、再び打って出た。しかし、「小泉旋風」に吹き飛ばされて惨敗。'06年、失意を引きずったまま腸の病で亡くなった。
オレは橋龍のようにはならない。何としても2020年まで超長期政権を維持し、憲法改正を成し遂げなければ、死んでも死にきれない―安倍総理はそう思い詰めているようだが、独りよがりというものだ。
■残された時間は少ない
内閣改造の翌日、意外なところから「反安倍」の声が上がった。なんと安倍総理の妻、ファーストレディの昭恵夫人である。
「自分でも店(居酒屋)をやっているので、消費増税で野菜の値段が上がっているのは厳しい」「無駄ではないにしても適切に税金が使われていないところがあるのではないか」「消費税を上げる前にもう少し、経済に力を入れ、見直すところは見直し、削るところは削るのが先ではないかと個人的には思う」(9月4日、ロイター通信)
国民の窮状を無視し、消費税増税に踏み切った先に待っているのが、安倍政権の崩壊だけならばまだマシというもの。昭恵夫人は、その後必ず襲ってくるであろう最悪の不況を、女性としての直感で看破しているのかもしれない。
しかし前述の通り、もはや存在意義すら疑わしい「ヘタレ大臣」たちの頭の中には、これほど明確なかたちをとり始めた日本経済の危機から、国民を救う手立てなどあるはずもない。それどころか、国民の不安をよそに、永田町は秋以降ますます政局の色を強めていくことになる。
「安倍改造内閣には、爆弾が二つ紛れ込んでいる」(自民党中堅議員)というのが、自民党内でのもっぱらの見方だ。一つ目が塩崎恭久厚生労働大臣である。
「塩崎さんは、第一次安倍政権で官房長官を務めた筋金入りの『お友達』ですが、官僚に対する彼の『上から目線』ぶりは以前から有名です。気に食わないことがあると怒鳴り散らし、あらゆる案件に口を出す。休みだろうが夜中だろうが職員を呼びつけて説明させる。厚労省側も、秘書官が『壊れて途中交代』することを想定しています。当然、野党やマスコミは彼を政権の弱点として突くでしょう」(厚労省キャリア官僚)
もう一つが、一見地味だが「潜在的な反安倍勢力の本命」といわれる二階俊博総務会長だ。
「二階氏は『最後の族議員』の異名をとり、利権で動く自民党守旧派を象徴する大物。公明党をはじめ与野党を問わず人脈が広く、中国・韓国とも近い。かつ、総理を快く思っていません。衆院予算委員長を務めていた今年2月には、戦後2番目の速さで予算案を通過させ、総理に『オレの力を分かってるんだろうな?』とばかりにプレッシャーをかけた。
今後は、総務会長としてあらゆる意思決定の場面でグリップを利かせてくるでしょう。二階氏が離反すれば、本格的に自民党は割れる。安倍総理からすれば、目の上のタンコブでは済まない人物です」(前出・全国紙政治部デスク)
今後、新たに任命した「お友達」の失点や旧勢力の抵抗が起きれば、安倍改造内閣はあっという間に行き詰まる。そうなると、安倍総理は好むと好まざるとにかかわらず、イチかバチかで「伝家の宝刀」、すなわち衆議院解散・総選挙を打たねばならなくなるだろう。
すでに景気の急降下は始まっている。残された時間は、安倍総理が消費税再増税の判断を迫られる今年いっぱいしかない。今すぐに国民が声を上げなければ、安倍政権のみならず国民の生活までが、本当の危機にさらされてしまうのだ。
「週刊現代」2014年9月20・27日合併号より
- デフレに“なれる”ほど高い競争力を維持していない現在の日本:円安の深化で進むスタグフレーションこそ日本経済の危機 あっしら 2014/9/22 16:44:34
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