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朝日「誤報」バッシングと「天皇機関説事件」 〜戦前から続く「同調圧力」と「言論封殺」 成瀬裕史
■「朝日」バッシングと「天皇機関説事件」
「特定秘密保護法」「集団的自衛権容認」に「原発再稼動」。
現在の我が国の状況について、多くの人々が「かつて来た道を再び歩み始めている」と感じているのではなかろうか…。
そうした中での、朝日新聞の吉田調書誤報・謝罪とライトな関係からの「総攻撃」は、
戦前の1935年に美濃部達吉氏の天皇機関説が「国体に背く」と攻撃され、美濃部氏は議員辞職し関係図書が発禁処分となった「天皇機関説事件」を想起させる…。
■経済不況と「インテリ」攻撃
軍部が台頭してきた昭和初期は、1929年からの世界大恐慌により日本の農村部も疲弊し身売りが出るほど深刻化していた。
このような中、経済的に進学できなかった農村出身者が多いとされる軍部が、農村社会が疲弊する中、政争にうつつをぬかす政界や、自由な思想・信条を持つことが出来る「インテリ」層に対し「敵意」を抱いたことは、想像に難くない。
このような情勢の中、軍部独裁・天皇親政による国家改造を目指す「昭和維新」の思想のもと、1932年に「五・一五事件」、1936年には「二・二六事件」が起き、政・財界が襲撃されると、軍部・右翼に「物を言う」ことの出来ない社会になっていった…。
■「昭和維新」「原発再稼動」が辿りつく先とは?
そして、現在の日本。アベノミクスも不発気味で、消費税の増税や電力をはじめ公共料金の値上げが家計にズシリと響いてきた現在、
国民経済が疲弊する中で、「原発停止か経済か?」と、
「脱原発」の理想を掲げる「市民派」勢力に対する、我が国特有の「同調圧力」が強まってきているように思われる…。
しかし、安全性より経済優先の「原発再稼動」が辿りつく先は、
言論の自由より軍部独裁による国家改造を優先した「昭和維新」が辿りついた先と、
「同じような結末」が待っているように思えてならない…。
そう、「戦争」による「国家破滅」という道のりである…。
■朝日「誤報」はマスコミ常套の「盛り」の範囲内?
9月11日、朝日新聞の木村社長は、5月に報じた「吉田調書」の記事を取り消し、読者と東電福島第一原発関係者に謝罪した。
(この件にかかる朝日新聞HPは以下のとおり)
http://www.asahi.com/articles/ASG9C6V5QG9CUHMC00L.html
5月20日朝刊の「3月15日朝、福島第一原発の所員の9割が吉田所長の待機命令に違反し、福島第二原発に撤退した」との、所員が逃げ出したかのような印象を与えた記事は間違いだったと判断し、「命令違反で撤退」と表現した記事を取り消すとした。
「吉田調書」をはじめとする政府事故調査委員会ヒアリング記録は、関係者からの同意の取れたものが現在、内閣官房HPで公開されている。
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/hearing_list.html
2011/8/8,9「事故時の状況とその対応について4」P56の下から9行目から始まる。http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/077_1_4_koukai.pdf
その該当部分は「本当は私、2Fに行けとは言っていないんですよ。」
「私は、福島第一の近辺で、所内に関わらず、線量の低いようなところに一回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが、」
この発言に忠実に記事にすると「吉田所長の福島第一近辺での退避指示に反して、福島第二に行ってしまった」となるであろうが、
朝日新聞は、「指示に反して」を「命令に違反し」とし、
「福島第二に行ってしまった」を「福島第二原発に撤退した」と、
明らかに記事を「盛って」しまっている…。
しかし、発言の一部を「切り取り」、強い語彙に「置き換え」て、刺激の強い「見出し」とするのは、朝日だけでなく、我が国マスコミ諸氏の“常套手段”であるのだが…。
■「死者を敬う」日本国民の精神性に付け入る「権力」
私をはじめ、日本人の多くは、亡くなられた方に対し蔑むような言葉を吐くことは、「慎むべきこと」という道徳観・メンタリティーを持っていると思う。
そういった日本国民の持つ精神性に時の政権が付け入り、先の大戦時には、戦争を批判する言動は「戦死した英霊を侮辱する」こととして「封殺」された…。
2003年11月、イラクで日本人外交官2人の射殺事件が発生したが、その翌月から自衛隊のイラクへの「人道派遣」が開始された…。
しかし「殉死」された方々への「敬意」と、その方々の所属する組織への「批判」は、別物であるべきであろう。
原発事故当時における、吉田所長はじめ関係者の“超人的”なご努力により、「東日本壊滅」という事態は回避されたが、
だからといって、現在も日本中・世界中に放射能が拡散し続けている中、当時及び現在の東電・政府の関係幹部の責任が「免罪」されることは、決して「あり得ない」のである…。
■「朝日」「菅元首相」と「吉田所長」「東電」
朝日新聞の「謝罪」と併せて、我が国マスコミ諸氏は、各局そろって当時の首相だった菅直人氏の「インタビュー」を放映した。
それはまるで、天皇機関説事件で、美濃部氏が議場で「釈明演説」を強いられているようにも写る…。
いかに朝日が「誤報」し、当時の菅氏の「激高」が仮に常軌を逸していたとしても、東電・政府の事故当時の「対応」が、「正当化」される訳では決してない。
しかし、現在の我が国の雰囲気としては、この一件をもって、「脱原発」派の報道機関や政治勢力が、「原発推進」の現政権や政府・電力会社に「屈服させられた」かのように感じさせられる…。
■朝日「誤報」バッシングと日米防衛指針「年内合意」
朝日新聞社は、今回の「吉田調書」誤報と併せて、「慰安婦問題」での誤報も認めている。
しかし、これらをもって、政府が年内合意を目指す日米防衛指針(ガイドライン)に対する報道姿勢が、政府寄りとなってはならない。
安倍政権は「切れ目のない」日米協力を目指しており、日本と中東を結ぶシーレーンの防衛を視野に入れているという。
このための「特定秘密保護法」であり「集団的自衛権容認」であるとしたら…。
我が国は、米国による中東での石油利権を守るための戦いに、踏みとどまるすべをなくしてしまう…。
「かつてきた道」である、軍部による中国での開発利権を守るための戦争に、歯止めがかからなくなったように…。
その「滅びの始まり」は、報道機関の権力への「従属」である…。
(そういえば、「9・23さようなら原発全国大集会」は、「デング熱」過熱騒動(報道)により(?)、会場を代々木公園から亀戸中央公園への変更を余儀なくされた…。
http://sayonara-nukes.org/
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