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常任幹事会であいさつする海江田万里代表=8月19日午後、東京・永田町の民主党本部(酒巻俊介撮影)(写真:産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140906-00000514-san-pol
産経新聞 9月6日(土)11時0分配信
もう3度目である。仏の顔も…というが、「いいかげんにしてほしい」というのが民主党を担当する記者全員の総意だ。「3度目」とは、民主党の海江田万里代表が集団的自衛権の行使容認をめぐる党見解の変更を決めた回数である。3度目に変える文言はまだ明らかにしていないが、“現時点”での民主党の見解をまず記しておこう。
「集団的自衛権の行使容認はできない」
ふりかえってみると、集団的自衛権の議論が先の通常国会でかまびすしくなった3月4日に最初の党見解が出た。同党の基本政策の決定機関である「次の内閣」の会合で決まった文言は次の通り。現時点のものとは全く違うことが分かるだろう。
「集団的自衛権の行使一般を容認する解釈に変更することは許されない」
そして、安全保障法制の整備に向けて政府が示した15事例を受け、6月下旬には「蓋然性、切迫性は高いとは考えにくい」などとする事例ごとの見解を出している。ただ、あくまで事例についての見解のため、ここでは詳細に触れないでおく。
1度目の党見解の変更は8月5日の党常任幹事会での海江田氏の発言だった。
「現時点では(集団的自衛権の行使は)必要ない」
最初の党見解にある「行使一般」という文言が分かりにくいという批判が党内から噴出したため、練りに練った末に出した答えだった。簡単に言うと、「一般」を「現時点」に変えただけで、この程度の変更で一度なら、まあ、許される面もあったかもしれない。
分かりにくい民主党の見解を読者のために解説しておくと、民主党は集団的自衛権の行使そのものを否定してはいない。「一般」の文言をつけることで、容認の“余地”を残しているのだ。
それでも何のことやらと思う読者も多いと思う。そもそも「一般」が何を指すのかということについては党内でもさまざまな意見があった。党幹部の見解を総合すると、「宇宙空間やサイバー空間などこれまでに集団的自衛権で想定されなかったケースまで含めた場合」と言い、将来的に必要になるものまでは否定しないという意味を込めているらしい。
全面的な容認には反対だが、一部は認めるということになると、安倍晋三首相が言うところの限定容認との違いが分からなくなる。その疑問を筆者が質問した際に、一番明解な答えを返してくれたのは同党の枝野幸男元官房長官だった。
「限定容認の余地を百パーセント排除したものではないが、限定容認ができると認めたものでもない」
限定容認の「限定」の範囲に違いがあるとでも言いたいのだろうが、ここでも完全に否定はしていない。まあ、この辺でこの議論は止めておかないときりがないので次に進む。
2度目に党見解を変更した文言が冒頭に記した海江田氏の発言で、集団的自衛権の行使を「容認しない」と行使そのものを初めて否定した。同党は8、9月を行使容認の閣議決定の撤回を求める強化月間としており、地方組織から求められた「分かりやすさ」に答えたのだろう。
しかしだ。ついに旗幟鮮明にしたのかと思っていたら、どうも様子がおかしい。
海江田氏は8月19日の記者会見で、「行使を容認できないということは、限定容認も一切認められないということになり矛盾する」との記者の質問に真っ正面から答えず、「行使一般」を容認しないとした3月の党見解は維持するという。
「何のこっちゃ!」だ。もはや言葉を失ってしまうが、民主党はホームページ(HP)に会見の全文を掲載しているので、同様の質問を繰り返した各報道記者のがんばりを読者には見ていただくしかない。
長くはなったが、危惧したとおりの3度目の変更を示唆する発言が2日の党役員会で出てきた。
「安倍政権が示した事例では、集団的自衛権行使は必要ない」
桜井充政調会長が提案した文言だが、「他の事例では行使を認めると受け取られる」との反対論が出て、再び議論は紛糾した。
その後の記者会見で海江田氏は3度目の変更について記者から質問されると、こう答えた。
「3月と6月の二つの決定を踏まえて、いろいろな言い方があるので、『こういう言い方もありますよ』ということです。他の言い方があれば、政策調査会に提出してくださいという程度です」
一体いつまでこの議論を続けるつもりなのだろうか…。(楠城泰介)
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