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(回答先: 外国人労働力どう活用: 就業者確保の視点重要:安易な導入 変革の妨げ 投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 28 日 03:45:04)
[中外時評]切迫感薄い「開国」論議 外国人材は日本を選ぶか
論説副委員長 実哲也
以前に比べて街に外国人の姿が目立つようになった。観光客は増え、レストランに行けば中国人のアルバイトが注文を取ってくれる。外国人の社長だって珍しくない。外資企業の存在感も増した。
日本も変わった。そう思いたくなるが、一歩外に飛び出せば、世界はもっと早く動いていることに気づかされる。欧米でもアジアでも大都市なら、違う国籍の人たちが同じ職場で働き、英語でビジネスをするのは当たり前。外資と地元企業の競争も激しい。
一方、日本国内の外国人の働き手の比率はわずか1.1%。欧米主要国はもちろんアジアでも下位の韓国より少ない。専門技能を持つ外国人材の数は頭打ち。伸びていた留学生もここ3年で4%減った。海外からの直接投資は先進国で最低水準だ。
世界で人や企業が国境を越えて大きく動いている背景には、海外の優秀な人材を奪い合い、外国企業を誘い込む激しい競争が展開されていることがある。
シンガポールの積極姿勢は有名だ。日米欧の大企業がアジアの地域統括拠点や研究開発拠点を次々に設置している。低い法人税率が武器だが、優秀なグローバル人材や世界有数の科学技術者が世界中から集まっていることも大きい。拠点設立後のアフターサービスも行き届く。
ドイツはエンジニア、医者、介護者など人手が足りない分野を明示し、資格を持った外国人材を世界中から募集している。インド、インドネシア、ベトナムには、ドイツでの就労や生活を支援するアドバイザーを置き、セミナー開催や大学訪問などを通じて「ドイツに働きに来て」と呼びかけている。
安倍政権も、外国人材の活用や対内直接投資の拡充を成長戦略の柱の一つにすえた。その看板はいいが、具体的な施策は外国人の技能実習期間の延長、家事支援人材の受け入れなどにとどまる。出遅れている国にしては中身に乏しいのが気になる。
動きが鈍い裏には、外国からの投資や外国人材の受け入れ拡大が日本にとって喫緊の課題だという切迫感が薄いことがあるように思える。
「アジアの地域統括拠点としての日本の魅力は、シンガポール、香港と比べて明らかに水をあけられた」。経産省の委託で今年3月にまとめられた「外国企業の対日投資関心度調査報告書」はこう総括する。法人税など事業コストの高さ、英語でのコミュニケーションの難しさ、意思決定の遅さや外資忌避などの商慣行が弱みになり、地位の低下が加速しているという。
製造拠点としての魅力が減った日本の経済や雇用にとって、アジアの地域統括拠点、研究開発拠点や金融センターとしての魅力を高めることは死活問題だ。外資にとっての魅力だけではない。グローバルに活動する日本企業も、有能な外国人材が受け入れにくく、コストも高い日本に本社機能を置き続けるのは難しくなるかもしれない。
「グローバルに出て行きながら日本だけ日本人でやるということはありえない」。最高経営幹部の3分の1以上を外国人が占めるLIXILグループの藤森義明社長はこう語る。
「日本企業が強くなるのに欠かせないのは創造性と爆発力。それは女性や外国人など多様な価値観を持つ人が集うチームからしか生まれない。国籍は違ってもだれもが同じ土俵で戦える環境をつくることが大事だ」
それは日本全体にとっても言えることだろう。新しいアイデアや技術を持った外国人材が日本に刺激を与えることは、経済や社会の大きな活力源になりうる。インドのIT大手、インフォシスのV・スリラム日本代表は「いきいきと活躍する優秀なグローバル人材が増えれば、海外企業の対日投資も増えてくるだろう」と指摘する。
介護分野などの人材不足対策としての外国人受け入れも真正面から議論すべきだ。受け入れの目的はあくまで「技能実習」や「経済活動の連携強化」。そんな建前論は日本が直面する現実とあまりにかけ離れている。「日本人の賃金が下がる」「移民はだめ」という短絡的な反応で議論を止めるのは無責任だ。
技能の高い海外の人材は今やひっぱりだこだ。そんな中で優秀な外国人材は日本を選ぶだろうか。「受け入れてあげてもいい」ではなく、「日本でぜひ働いてほしい」。そんなメッセージを強く発すべき時に来ているのではないか。
[日経新聞6月22日朝刊P.10]
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