http://www.asyura2.com/14/senkyo167/msg/559.html
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[創論]外国人労働力どう活用
就業者確保の視点重要
自民党政調会長代理 塩崎恭久氏
政府・与党は労働力としての外国人の受け入れを広げる方針だ。当面の人手不足を補うだけでなく、人口減少を食い止める長期的な移民政策の意図も垣間見える。推進する側で自民党の日本経済再生本部長代行を務める塩崎恭久政調会長代理と、導入拡大に慎重で海外の事情にも詳しい慶応義塾大の中島隆信教授に、外国人労働力の効果と課題を聞いた。
――自民党は技能実習制度の拡充を提言し、外国人の受け入れを増やす構えです。
「地元の愛媛県の経済は技能実習制度がないと成り立たない。県内の造船大手は中国の大連に子会社があり、そこで働く中国人を実習生として日本に連れてきて、造船の現場で学んでもらっている。日本のものづくりが韓国や中国に負けつつあるなかで、実習生は不可欠な部分を担う存在になっている。一般機械、タオルの縫製をはじめとする繊維の分野でも実習生は多い」
――方針を転換し、単純労働者も受け入れるのですか。
「原則は何も変わらない。実習生は労働力だが、いずれは帰国する。技能実習制度の拡充策は受け入れ先をいまの68職種から増やし、在留期間を現行の最長3年間から検定を経て延長するといった内容だ。日本では旋盤などの生産技術が進歩し、林業などは担い手が足りない。こうした分野で働く日本人がめっきり減ったので、実習生のニーズが拡大した。きつい仕事はやらない日本人が増えている」
――2020年の東京五輪に向け働き手が不足、実習生OBを呼び寄せる方針です。
「(実習生と同様に)時限的な措置だ。これを単純労働者といわれても、建設現場で重要な型枠工事などでは技能を持つ日本人が足らずに有効求人倍率が相当に上昇しているのが実態だ。(実習生を含め)在留は一時的だから家族の呼び寄せは認めない。本人の一時帰国制度など待遇改善を考える必要がある」
――厚生労働省は外国人が帰国せず、日本人の雇用を圧迫する可能性を懸念します。
「14年度から40年度にかけての約30年間で年平均2%の実質成長率を続けるため、必要な労働生産性上昇率(年平均)と就業者増加数の組み合わせを表にまとめた。まずは自然体で、労働力率が現状から横ばいで推移すると仮定すると就業者数は1400万人減る。すると2.9%の生産性上昇率が必要だ。生産性上昇率は成長率が年平均2.1%だった13年度までの約30年間でも1.7%だから、2.9%はあり得ない高さだ」
「14〜40年度の労働生産性上昇率が1.7%のままならば、この約30年間に就業者数を600万人増やさないと2%成長を続けられない。自然体ケースより就業者数は2000万人膨らむ。これだけの働き手はどこにいるのか。移民や外国人労働者はだめだとか、いろいろ言うのは勝手だが、成長率は生産性上昇率と就業者の増減数で決まる。どういった組み合わせでいくのかを考えるべきだ」
――内閣府資料では年20万人の移民受け入れで1億1千万人の人口を維持できます。
「いきなり移民受け入れとは言わないで。一番に取り組むのは生産性の向上だ。業界ごとの比較で、たいていは日本が米国を大きく下回る。上げる余地はある。就業者数を増やす努力も必要だ。女性、高齢者、若者たちが正規雇用で働けるようにするのが王道だ。出生率を高めるため、子育ての環境を整えていく」
――政府は高度人材の外国人を誘致したがっています。
「学歴や職歴でポイントを積み上げ、永住権の取得要件などを緩和する高度人材ポイント制という仕組みを導入したが、利用する外国人は多くない。外国人留学生も日本で就職する人は2割程度だ。とどまってくれない。大学や研究所の魅力が乏しいことが一因だ。米スタンフォード大がシリコンバレーを生んだように、大学に集まる高度人材から新しいタネが出てくる。米国では外国人の起業によるベンチャー企業が目立つが、日本ではほとんど聞かない」
「大事なのはダイバーシティー(多様性)だ。外国人だけでなく女性、障がい者を含め、さまざまな人々が一緒に生活できる社会をつくっていくべきだと考える」
――政府には外国人受け入れのグランドデザインがないと指摘されています。
「司令塔ははっきりさせた方がよい。だが、その前に生産性と就業者数の関係を国民に理解してもらうことが大切だ。新たな労働力をどこに求めるべきなのか。感情論ばかりをぶつけても仕方がない」
――多くの外国人を招いて定住してもらう方がよいと考えているように聞こえます。
「それは国民が選択することだ。われわれはそんなことを言わない。ただ、高度人材の外国人がやってくることについてはだれも文句を言わない。そのためには企業も大学も変わらないといけない」
しおざき・やすひさ 日銀出身。米ハーバード大行政学大学院修了。衆院当選6回。内閣官房長官・拉致問題担当相など歴任。63歳。
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安易な導入 変革の妨げ
慶応義塾大学教授 中島隆信氏
――政府側は技能実習制度の拡充などで単純労働力に近い外国人も増やす考えです。
「短期で労働力が不足するから外国人を入れようということだ。しかし、景気によって労働力は足りないことも余ることもある。人手不足は2020年の東京五輪がピークだと思うが、その後、思惑通りに帰国するだろうか。五輪まではまだ6年ある。入国後3〜4年で定住する外国人は多い。慎重に進めるべきだ」
「政府側の方針は、一定の労働力を将来も維持していく移民政策(の一環)なのかもしれない。このままでは2100年ごろ、日本の総人口がいまの半数くらいに減る。その時点で現水準の国内総生産(GDP)を保つには、日本人がものすごく懸命に働かなくてはならない。それは大変だから労働力としての外国人に期待するというわけだ」
――内閣府資料が指摘するように年20万人の移民受け入れで人口は保たれますか。
「難しい。少子化が解消しないのは、人口を再生産する仕組みがうまく機能していないからだ。それを放置したままでは人口が増えない。日本に来た外国人が子供を産めば保育士が、年をとれば介護福祉士が必要になる。するとまた外国人を入れるのか。きりがない。出生率の向上が欠かせない」
――日本に外国人労働力の導入は必要ないのですか。
「拙速ならば問題だ。兼務する経済産業研究所ファカルティフェローとして3月に発表した共著論文でも指摘したが、高度な技術や技能を持ち、受け入れ国の標準語で意思疎通ができる高度人材はその国の経済成長に貢献できる。外国人を受け入れたコミュニティーが刺激を受け、革新的な新事業が生まれることはある。塩崎氏も指摘するように、外国人、女性、障がい者などを含めたダイバーシティーは非常に重要な概念だ」
――少数の高度人材は必要でも、多数の単純労働者の受け入れには慎重なのですね。
「日本人が就業しない特定の職種に外国人を入れるというのはいかがなものか。経済学の観点で人手不足は悪いことばかりでない。労働力が足りない職種では賃金が上がり労働条件が改善される。コスト増になる企業は付加価値を高める努力をして労働生産性を上げる。しかし外国人労働力を安易に導入すると、賃金や待遇が低いまま、生産性は抑えられてしまう」
「日本ではバブル崩壊後の20年ほど、デフレで賃金が抑制されてきた。それで生きながらえた企業もある。安倍晋三政権の経済政策でデフレが解消すれば、こうした会社は市場からの退場や、生産性の向上を迫られる。だが、そこに低賃金の外国人が労働力として入ってくれば、高賃金の労働力をうまく使って付加価値の高いサービスを提供するビジネスモデルへの構造転換が実現できる好機を逃す」
――景気が悪くなると別の問題も起きそうです。
「失業率が上がっても外国人が働いている姿を見た日本人は『なぜ日本人を雇わないのか』と不満を示すかもしれない。そうして職場から閉め出された外国人の一部は悪いことをする可能性がある。すると外国人の評判が落ちる。悪循環だ。従来は外国人労働者を積極的に受け入れていたシンガポールでも最近、受け入れ制限を求める世論が高まり、外国人街では暴動騒ぎが起きた。5月の欧州議会選では移民排斥などを主張する欧州連合(EU)懐疑派と呼ばれる勢力が支持を広げた」
――日本には多数の外国人労働力を短期間に受け入れる用意がないのでしょうか。
「これまでは無策だった。外国人に関する政策の『司令塔が必要』という塩崎氏の考えには賛成する。その役割を担うのは内閣府だろうが、スタッフは関係省庁からの“寄せ集め”になりかねない。外務省から何人、法務省から何人、経済産業省から何人、という具合に。出身省庁の利害が対立し、うまくいかない」
――外国人受け入れの政策で日本の参考になる国は。
「少子化が進み、共通点が多いのは韓国だ。韓国の対策は農村に嫁ぐ外国人の支援で始まった。大統領のトップダウンで迅速に進める。単純労働力の外国人については企業の要請を受けた韓国当局が、協定を結ぶ送り出し国に『この職種に何人ほしい』などと要請して受け入れる。有期契約での管理されたシステムだ。一方、高度人材の誘致は不調。韓国とは外国人の問題で情報交換を密にすべきだ」
なかじま・たかのぶ 慶大商学博士。専門は応用経済学。3月に共著論文「人口減少下における望ましい移民政策」を発表。53歳。
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〈聞き手から〉地域支える現状認識を
労働力としての外国人の受け入れを考える場合、主な観点は次の2点だ。狙いは、短期的な人手不足を解消するためか、長期的に予想される労働力人口の減少を補うことなのか。対象の外国人は、高い技術や技能を持つ高度人材だけか、建設や介護の現場などで働く単純労働あるいは「中度スキル」の人も含むのか。
両氏の話はこうした問いへの回答を含むが、なお釈然としない部分が残る。おそらく、政府側が「ほしい外国人は高度人材だけで、単純労働者の導入は時限措置」という“建前”にこだわるからだ。実態は違う。塩崎氏の発言の端々にあらわれているように、外国人は地域経済に組み込まれ、一定の労働力人口を確保するうえでも無視できない。
既成事実を積み重ね、後戻りできない段階で制度化するつもりならば危険だ。外国人の問題は複雑。先行する諸外国では地域社会との摩擦が起き、社会的費用が膨らむ一因になっている。現実を冷静に見つめ、学者の研究も踏まえて適切な対策が求められる。
(編集委員 加賀谷和樹)
[日経新聞6月22日朝刊P.9]
- 切迫感薄い「開国」論議 外国人材は日本を選ぶか あっしら 2014/6/28 03:50:09
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