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5月20日(ブルームバーグ):
ほんの2年ほど前まで日本の機関投資家から敬遠されていたタイヨウ・パシフィック・パートナーズ。自らを「友好的」アクティビスト(物言う株主)と名乗るファンドが今や、世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の国内株式運用を請け負うまでに存在感を高めている。
日本の中小型株に特化したタイヨウ社のブライアン・ヘイウッド最高経営責任者(CEO)は、収益向上に迫られた日本の投資家は口うるさいアクティビストへの嫌悪感を徐々に克服しつつあると指摘する。日本でアクティビストが受け入れられるには、米欧で一般的な攻撃的手法は避けるのが賢明だと言う。
年金基金などの投資先となる日本の上場企業は、自己資本利益率(ROE)が世界平均の約半分と低い。政府と日本銀行が経済対策を積極的に推し進める中、GPIFは金利上昇で評価損を被りかねない国内債の比率引き下げと収益向上を求める圧力に直面している。昨年11月には政府の有識者会議が国内債偏重の見直しやリスク資産の拡大検討などを求める提言をまとめた。
ヘイウッド氏(47)は16日のインタビューで、「日本の投資家は1年半から2年ほど前までは、われわれに近づこうとしなかった。アクティビストに対する警戒感が非常に強かった」と指摘した。しかし、その後は「突如として国内投資家の関心の的となった」と言い、「TOPIXを指標とする受け身の運用だけでは求められるリターンを満たせなくなってきたからだ」と語った。
5−10年間も保有
タイヨウ社(米ワシントン州)はヘイウッド氏らが2001年に創業し、米公的年金カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)や資産家ウィルパー・ロス氏らも出資した。現在の運用資産は25億ドル程度。投資対象は40−50銘柄、持ち株比率は5−10%程度の場合が多い。投資物件は5−10年間保有し続け、長期的な企業価値の向上に取り組んでいるという。
投資銘柄には眼科用の医療機器や測量機器を製造・販売するトプコン や、樹脂ファスナーやプラスチック精密金型部品のメーカーであるニフコ などがある。ニフコの株価はタイヨウ社が保有を始めたと言う11年前から37%上昇。TOPIX は同期間に8.2%下落した。GPIFが3月10日に開いた運用委員会では、企業と経営戦略などを話し合いながら投資を進めるエンゲージメント型ファンドの採用候補について業績を高く評価する声が上がった。
日本は巨大な白血球
国内株22.1兆円を抱えるGPIFは先月4日、運用委託先を約7年ぶりに見直し、アクティブ運用14ファンドとパッシブ運用10ファンドを選定した。タイヨウ社は新たに採用されたアクティブ運用受託機関9社の1つであるセイリュウ・アセット・マネジメントの再委託先だ。
ヘイウッド氏は、ウォール街などでは一般的な手法である「強欲と恐怖」は日本では敗者の戦略だと言う。短期的な利益狙いの経営改善要求やメディアを利用した非難キャンペーン、株主総会に向けた委任状争奪戦では望む結果を得られないと説く。「日本は巨大な白血球だ。敵が来たと見れば、全力を挙げて戦う」と述べ、辛抱強く協力的な関係を築く必要があると語った。
日本企業は長年にわたり、米系投資ファンドのスティール・パートナーズやハービンジャー・キャピタル・パートナーズといったアクティビストによる影響力の行使を拒んできた。ブルームバーグのデータによると、TOPIX採用銘柄のROEは昨年までの10年間で6%。先進国24市場でギリシャに次いで低い。米S&P500種株価指数は13.6%、ストックス欧州600指数は13%、MSCI世界指数は12.6%だった。
低収益の影に銀行支配
こうした低収益体質は銀行による企業支配に原因があると、ヘイウッド氏はみている。銀行は企業の株主でもあるが、利息の支払いに問題が生じない限り、収益性や資金調達に必要な資本コストは二の次となるからだと説明する。しかし、海外投資家の株式保有比率が過去10年で約2倍に高まり、銀行の株式保有が減ったことで状況が変わってきたと指摘。安倍晋三内閣の成長戦略が加わり、企業による収益向上への取り組みが投資家の注目を集めていると言う。
日本取引所グループ(JPX )は1月、日本経済新聞社と共同開発した新株価指数「JPX日経インデックス400 」を導入した。両社によると、算出開始時のROEは3年間の単純平均で11.1%とTOPIXの5.7%、採用しなかった上場企業の3.9%を上回る。GPIFは先月実施した国内株運用の委託先見直しで、TOPIXだけだったパッシブ運用で、ROEを重視した日経400など3指数を新たに採用した。
安倍首相は1月、スイスの世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での基調講演で、GPIFの資産構成の見直しに言及した。先月1日にはロンドンで、GPIFの運用改革を訴えた。麻生太郎財務相は先月16日、GPIFの動きが6月以降に出てくるので外国人投資家が動く可能性が高まると発言。翌17日にはGPIFの運用のあり方を6月までの成長戦略の改定作業で検討していくと述べた。
日本版スチュワードシップ・コード
GPIFの運用資産は128.6兆円程度。資産構成比率を定めた基本ポートフォリオは国内債が60%、国内株は12%、外国債券は11%、外株は12%だ。昨年末時点では国内債が55.2%と06年度の設立以降で最低となる一方、国内株は17.2%と07年12月末以来の高水準を記録した。GPIFが注視する年金特別会計分も含めた実績は国内債が53.4%、国内株が16.7%だった。
金融庁の有識者検討会は2月、英国の事例を参考に機関投資家の行動規範や倫理を定めた「『責任ある機関投資家』の諸原則−日本版スチュワードシップ・コード」を策定した。機関投資家と投資先企業が建設的な対話(エンゲージメント)などを通じて、企業の価値向上や持続的成長を促すのが狙いだ。
GPIFが3月10日に開いた第76回運用委員会では、エンゲージメント型ファンドの採用をめぐり、ある委員から「日本版スチュワードシップ・コードなどが議論されている流れの中で、大きく世の中から求められている」との意見が出た。
タイヨウ社は、投資先企業のCEOに対し、株主への情報発信方法や外国人投資家の特徴などに関する講習も開いている。ヘイウッド氏はバブル最盛期の1980年代後半、ハーバード大学の卒業前に宣教師として来日したのを皮切りに、日本滞在が合計13年間に及ぶ。「日本を変えるために来たのではない。当社の提言が長期的な企業価値の向上につながると信じて欲しい」と言い、「そうすることで、自ずと収益も上がる」と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 Tom Redmond tredmond3@bloomberg.net;東京 北中杏奈 akitanaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net崎浜秀磨, 山中英典
更新日時: 2014/05/20 15:30 JST
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