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アベノミクスの帰結…国民は1%の人たちに踏みつけられる
http://gendai.net/articles/view/news/149945
2014年5月4日 日刊ゲンダイ
「資本主義の終焉と歴史の危機」の著者・水野和夫氏
「国家も経済も立ち行かなくなる」と水野和夫氏/(C)日刊ゲンダイ
1990年のバブル崩壊で、日本が成長する時代は終わりました。それからの20年は、だましだましです。ただ、過去の蓄積が大きいから、(1)ゼロ金利(2)ゼロインフレ(3)ゼロ成長でも、クラッシュさせずにやってこられた。1人当たりGDPで比較すれば、ユーロ圏で独り勝ちといわれるドイツをいまだに上回っています。もちろん英仏よりも豊かで、3つがゼロでも十分に暮らしていけるのです。
そんな状態を良しとせず、ゼロから引き剥がそうとしているのがアベノミクス。2%のインフレ目標を掲げ、GDP成長率や金利も2〜3%程度を目指しています。「経済を立て直し、成長する日本を取り戻す」のだと勇ましい。
でも、今の日本に「成長」の余地はあるのでしょうか。手狭な公団住宅が当たり前だった時代は終わりました。車は一家に1台、テレビは1人に1台です。温水洗浄便座やスマホの普及率もすさまじい。ほとんどの商品は、行き渡るところまで行き渡ってきています。「フロンティア」は残っていません。
飽和状態の中で無理やり成長しようとすれば、バブルが生成されます。実際、実物経済の低成長を金融分野で穴埋めしてきた米国では、ITや住宅のバブルが発生しました。その後はリーマン・ショックです。バブルの成長分を超える信用収縮に見舞われました。
得をするのは、その間に稼いだ1%の富裕層です。たとえバブルが崩壊しても、公的資金で救済されるため、彼らの痛手は小さい。一方で何ら恩恵を受けていない中間層は、リストラされて職を失った上で、救済のための負担を強要されます。富裕層はまんまと逃げ切り、99%がバカを見る。それが「成長」の帰結です。
アベノミクスで成長を求めれば、だれかを踏み台にするしかありません。勝ち組となるには負け組が必要です。多くの人は、「自分は勝ち組になれる」と思っているのかも知れません。でも、それは、知らず知らずのうちに近くの誰かを突き落とす行為。いずれはみんな1%の人たちに踏みつけられるのです。
投資が行き渡った現在、高度経済成長の再来は望めません。成長は近代の病気です。「頑張れば成長する」は幻影に過ぎない。取り憑(つ)かれるとひどい目に遭うのです。
このままアベノミクスを続ければ、日本という国家も経済も立ち行かなくなるでしょうね。
▽みずの・かずお 1953年生まれ。日大国際関係学部教授。早大大学院経済学研究科修士課程修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官、内閣官房内閣審議官を歴任。
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