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2014-03-28 07:42:05
安倍首相はもくろみ通り、NHKをほぼ手中に収めたといえます。籾井勝人というNHK会長に就任した男が、国会での「辞任すべき」との厳しい追及をかわし、居座りに成功したからです。籾井という会長は、安倍首相が当初からNHK乗っ取りをもくろんで送り込んだ、渾身の人事だっただけに、おいそれと辞任しないよう裏で懸命に支え続けたことが分かります。
安倍首相は、集団的自衛権の解釈改憲を実現するため、内閣法制局の長官として、自分の意を体して動く人物を送り込みました。最高裁長官を始め、各種の政府審議委員会にも”お友達”を充てました。
国権の最高機関とされる国会は、自公が圧倒的多数を占め、ほぼ思う通りに動かせる態勢です。当然、全官僚機構も意のままに動かせます。つまり、立法府、行政機構も手中に収め、最高裁を頂点とする司法権も影響下に置くことができました。
第4権といわれるメディアも、今回、NHKの支配を強行することで、まんまと手に入れることができました。しかも、この日本最大のメディアは、皆様の視聴料で賄われます。安倍首相は、国民に受信料を支払わせながら、その果実として思うように操作できる力を手に入れたのです。安倍首相にしてみれば、国民が払う料金で、国民をコントロールできる態勢なのです。こんなうまい話はありませんよね。
朝日新聞は本日3月28日の朝刊で、「特定秘密保護法から考える 市民の力 信じられますか」という対談特集(3面)を組みました。「権力による介入や排外主義的な主張で社会が揺さぶられるなか、私たち市民は自身を取り戻せるのか」という問題意識の特集です。
問題は、「市民の力」です。日本での「市民の力」は、ややもすると「お上、中心主義」「お任せ主義」です。
NHKは、できるだけ中立性を保つという長年の努力の結果、「NHKのいうことは信頼できる」という何物にも代えがたい信頼性を築いてきました。安倍首相はそこに目を付け、NHKを利用することで、自分の政策を有権者の頭に刷り込み、マインドコントロールしようとしているのです。
対談で、杉田敦・法政大教授(政治理論)は、「戦前の国家主義の反省を踏まえ、権力に対して異論を言う場を確保し、社会が一丸となるのを防ごうというプロジェクトが戦後民主主義でした。ところがいま、当初想定された以上に、国家主義的、排外主義的なかたちで異論が噴き出し、戦後約70年間の蓄積を揺さぶっています。我々は、この日本の市民社会に自信を持てるのか」と、「市民の力」にやや懐疑的です。
対談相手の長谷部恭男・東大教授(憲法)は、「私は人には、『日本の市民社会に自信を持っている』と言うことにしています。そう言い切る人がいないと、人々の社会に対する自身は、本当に失われてしまうと考えるからです」と言っています。
この対談は、本当に指摘しなければならないことから”逃げた”対談、あるいはオブラートに包んで真実をぼやかした対談になっています。
日本の真実は、安倍・独裁政権が成立し、アベ・ナチ党による暗黒政治が機能し始めた。「市民の力」は太刀打ちできないところまで追い込まれている、という姿です。NHKの乗っ取られ方、それに対する市民の反発力の弱いことが、安倍独裁を許す最も情けない姿の象徴といえそうです。そして、「市民による、アベさまのための、アベさまの政治」を貫徹させる利敵行為をしていることに気がつかないまま、市民はのほほんと過ごしているわけです。次代の人々に対する責任も放棄せざるを得ない状況です。
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