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日本経済を直撃 ロシアのウクライナ軍事介入で始まる悪夢
http://gendai.net/articles/view/news/148394
2014年3月3日 日刊ゲンダイ
クリミア半島シンフェロポリへ向かう露軍車両/(C)AP
ウクライナの政変が日本経済を直撃する――。市場関係者がザワつき始めた。ロシアのプーチン大統領は1日、ウクライナへの軍事介入の可能性を表明。オバマ大統領は「ウクライナの主権侵害の懸念がある」と反発し、両者の溝は埋め難いほどに深まっている。米ロの関係悪化で、日本経済は大ピンチに陥りかねない。
■安倍の親口外交の責任
ウクライナに進出している日本企業は、大手商社の三菱商事や三井物産、自動車のホンダ、日産、電機のソニー、パナソニックなど約40社。外務省の資料によると、対ウクライナ貿易(11年)は輸出が10.4億ドル(約1060億円)で、輸入は1.5億ドル(約153億円)だ。
「ウクライナと日本企業の関係はそれほど深くありません。日本の12年貿易相手国を見ても、ポーランド(39位)やハンガリー(46位)より下位で、トップ50国に入っていません。ウクライナのゴタゴタだけだったら、日本経済への影響は軽微です。ところが、ロシアが軍事介入も辞さないと言い出した。こうなると事情は全く違ってきます」(株式評論家の倉多慎之助氏)
■対口進出企業は400社超
安倍首相はプーチンにベッタリだ。ソチ五輪の開会式にも先進国首脳でただひとり参加し、親ロ外交を強調。昨年4月には、日本のビジネスを売り込むため、財界人120人を引き連れロシアに乗り込んでいる。
「日本の経営トップは、安倍政権の経済政策はロシア重視だと受け止めた。ロシアへの投資を加速させた企業は多いはずです」(市場関係者)
サハリン島の沖合で原油・天然ガスを採掘するプロジェクトには、三井物産や三菱商事、東洋エンジニアリング、横河電機、日本郵船などが関わっている。外務省によるとロシア進出企業は406社(09年)。ウクライナの10倍以上だ。
「ロシアが本当に軍事介入に踏み切ったら、世界から孤立するでしょう。ロシア経済は低迷を余儀なくされ、対ロ事業を強化した日本企業の業績悪化も予想されます」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)
ロシア孤立の予兆はすでにある。G7(米・英・独・仏・伊・日・加)は3日、ウクライナに対し金融支援することを表明、また6月にソチで開かれるG8の準備会合を見合わせるとした。
「まるで冷戦時代に逆戻りです。オバマ大統領は、安倍首相に対し、立場を明確にするよう求めてくるでしょう。ただでさえ、米国は靖国参拝問題やTPP交渉の難航で、安倍政権に不満を持っています。オバマ大統領は安倍首相の対応次第で、対日政策を大転換する危険性があります。ズバリ、日本の円安政策を容認しないという判断です」(経済評論家の杉村富生氏)
マーケットでは、ウクライナ情勢の緊迫化でリスクオフ(安全資産へのシフト)が進み、すでに円高傾向が顕著だ。そこに米国の政策転換が追い打ちをかければ、円高は止まらなくなる。「1ドル=95円は覚悟したほうがいい」(杉村富生氏)が、安倍政権が発足した12年12月は1ドル=85円前後だった。円安誘導によるアベノミクスが元のもくあみとなれば、1ドル=85円も十分にあり得る。
日本企業は再び“円高地獄”に襲われるのだ。ウクライナ問題は対岸の火事ではない。
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