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(回答先: 原油安と世界(上)窮地のロシア 岐路に(中)経済効果、恩恵と火種と (下)覇権巡り新たな攻防 投稿者 あっしら 日時 2014 年 12 月 22 日 23:48:42)
[スクランブル]見渡せばリスクの海
2015年、欧米にも波乱の芽
19日の日経平均株価は連日の大幅高となった。日米欧の金融政策への安心感から、円安・株高を逆回転させていた原油急落への不安が和らいだ。もっともロシアやギリシャなど新たな火種が浮上し、リスクには敏感にならざるを得ない。高値圏から2015年を見渡せば、産油国だけでなく欧米にも不確実性を生むイベントばかりだ。
「調整が終わったとは言いにくい」――。株式のファンドマネジャーである東京海上アセットマネジメントの久保健一氏が、最近の相場で最も重視する指標が原油先物のポジションだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋の原油先物の買いポジションは6月のピークから4割減った。ところが、2010年末に比べると6割多く、原油価格が09年の水準に戻った割に水準が高い。「再び下落するリスクを払拭できない」(久保氏)という。
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ロシアの通貨ルーブル急落で高まった不安は、米連邦準備理事会(FRB)が金融市場に配慮をにじませて収まった。ロシアの外貨準備は対外債務に比べ高く、ベネズエラも1年は支払い原資がある。「原油価格が半年程度で持ち直せば危機的な状況は回避できる」(バークレイズ証券の高橋祥夫氏)と知れ渡った。
もっとも、過去の危機を振り返ると、当初は影響が過小評価されることが多かったのも事実だ。
欧州危機の発端となったギリシャの政府債務残高は4600億ドル(11年当時、約55兆円)と、ロシアの対外債務6800億ドルに比べても小さかった。だが、ギリシャ国債の下落が金融システムを通じて他国に飛び火し、南欧4カ国4兆4000億ドルの国債の下落につながった。
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米エネルギー関連企業の信用リスクも火種だ。米シェールガスの開発ブームは、信用力の低い企業向けの融資「レバレッジド・ローン」や「低格付け社債」による信用緩和で拡大した側面も大きい。
米エネルギー関連企業による低格付け社債の発行残高は2千億ドルと、1兆4千億ドルだったサブプライムローン残高(07年)に比べ小さい。だが、危機を広げる「媒介」となった証券化商品の一つであるローン担保証券(CLO)の発行は再び増えている。
欧州連合(EU)の「遠心力」も強まっている。ギリシャでは2月頃の総選挙で急進左派連合が第1党となりそうな勢い。英国の5月の総選挙では連立与党が過半数をとれず、「17年までに予定するEU離脱の国民投票に影を落としかねない」(みずほ総合研究所の吉田健一郎氏)という。
みずほ総研によると、ここ3カ月の原油安が15年の国内総生産(GDP)を日本で0.4%、米国で0.1%押し上げる。原油安は世界のエネルギーコストを抑え、米国の利上げが新興国に与えるショックは米景気の回復が支える――。15年の市場をこう見通す投資家が主流だ。ただ、大きなリスクと隣り合わせの航海となる。
(松崎雄典)
[日経新聞12月20日朝刊P.16]
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