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2014年08月05日
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親ロシア勢力がウクライナ領空でマレーシア航空機を撃墜してしまったため、国際的な批判を浴びているはずのプーチン・ロシア大統領ですが、また頭の痛い問題が持ち上がっています。
国際裁判所の1つである常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が7月28日、ロシア政府に対してロシア石油大手企業だったユーコスの財産を不当に没収したとして、ユーコスの株主らに500億ドル(5兆円)もの損害賠償を命じる判決を下しました。
また欧州人権裁判所(仏ストラスブール)も8月1日、同じように19億ユーロ(2600億円)の損害賠償を命じました。
1991年のソビエト連邦崩壊後、ロシア経済は急速に市場経済に移行したのですが、その実態は一部の新興財閥がエリツィン政権と密接に結び付き、国家の財産である国営企業を「タダ同然」で手に入れていました。
この「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥の代表がボリス・ベレゾフスキー(2013年3月に亡命先の英国で不審死)とミハイル・ホドルコフスキーでした。
ホドルコフスキーは、ロシア国内の石油生産の20%を占めるユーコス石油をわずか3億ドルで(しかも自身が保有する銀行が紙切れのルーブルを対価にドルを調達して)手に入れると、その資産をタックスヘイブンに移して課税を逃れました。他の「オリガルヒ」も同じような行動をとったため、ロシアは深刻な財政難に陥り1998年には一時デフォルト状態となってしまいました。
2000年に大統領となったプーチンは徹底的に「オリガルヒ」と対決し、2003年にホドルコフスキーを脱税と国家財産横領の罪で逮捕し、投獄してしまいました。
「オリガルヒ」のなかでホドルコフスキーだけが投獄されているのは、ホドルコフスキーがプーチンの政敵となりうる資質と資力を備えていたことと、米国の石油メジャーやユダヤ資本と接近し過ぎていたこともあります。ホドルコフスキーだけではなく「オリガルヒ」の大半はユダヤ人です。
そしてプーチン大統領は、ユーコスの資産を再評価して270億ドルもの追徴課税を行い、即座にユーコスの国内外の資産を差し押さえました。2006年にユーコスは正式に破綻し、その資産はすべて国営石油会社・ロスネフチが再び「タダ同然」で手に入れました。ロスネフチこそプーチンの腹心・イーゴリ・セーチンが社長を務め、プーチンの「財布」であるはずです。
ここまでは、もともとユダヤ人が「タダ同然」で手に入れていた国家の財産を、プーチンが再び「タダ同然」で奪い返しただけの構造でした。
ホドルコフスキーの刑期は何度か「延長」されて2017年までだったのですが、プーチンは2013年末に「憲法制定20周年」の恩赦でホドルコフスキーを釈放していました。
ちょうどソチ・オリンピック直前で国際的な人気取りだったわけですが、同時にもうホドルコフスキーは自分の政敵ではないとの自信の現れでもありました。
ホドルコフスキーはそのままドイツに出国し、現在もドイツに留まっています。ベルリンにホドルコフスキーの母親が入院していることが表向きの理由ですが、ホドルコフスキーの受け入れは当然にメルケル首相からプーチン大統領に「根回し」が行われており、その本当の背景はよくわからないままでした。
ロシアでは罪を認めないと保釈されませんが、ホドルコフスキーは認めないまま保釈されています。まだ50歳のホドルコフスキーの「政治生命」は保たれているともいえます。
そこから7か月たって突然に、今回の常設仲裁裁判所の判決となりました。
常設仲裁裁判所とは1899年に設立され、国家・私人・国際機関の間の紛争における仲裁・調停・国際審査の運営を行う裁判所です。その決定にどれほどの法的拘束力があるかは不明ですが、とりあえずロシア政府は今回の判決の撤回を求めてオランダ国内の裁判所に訴えるようです。
また今回の裁判にホドルコフスキーが直接関与していないといわれていますが、500億ドルの賠償金の大半は旧オーナーのホドルコフスキーに支払われることになります。
プーチン 対 ホドルコフスキーの遺恨試合が始まったようです。2013年3月6日付け「ユダヤ財閥(オリガルヒ)をほぼ制圧したプーチン大統領 その1」、3月7日付け「同題 その2」も読んでみてください。
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