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(回答先: フランスの法にも盾突くアマゾンの格安配送:納付しないのにするふりして消費税転嫁のアマゾン:書店だけが保護対象というのも? 投稿者 あっしら 日時 2014 年 7 月 26 日 02:50:35)
みなさん、コメントありがとうございます。
01. のnJF6kGWndYさん、03.のkUn6cc4IQEさん、04. のPq68fFX1mkさんには、貴重な資料をご紹介いただきありがとうございます。
ご紹介いただいた資料を読みましたが、どれも、消費税を“消費に課する税”と思わせたいのならそのように説明するしかないだろうという建前論で、アマゾン本社(Amazon.com Int'l Sales, Inc.)が日本のサイト(Amazon.co.jp)を通じて日本居住者向けに販売している部分について消費税を申告・納付する義務があるのか、はたまた、申告しない場合に税務当局による追徴課税が可能なのかについての明確な答えになっていないように思われます。
まず、末尾に示す参照投稿でも書いたように、アマゾンジャパンやアマゾンジャパン・ロジスティクスは、Amazon.com Int'l Sales, Incから支払われた委託料を売上、外部から調達するものを仕入として、消費税税額の計算を行い、プラスであれば納付、マイナスであれば還付という処理を行っていると考えています。しかし、その納税額は、Amazon.co.jpが書籍などの販売で“預かっている”消費税額のトータルに較べればずっと小さいはずです。
参照投稿では気を遣いながら説明したのでわかりにくくなっていますが、消費税は、法人税と課税ベース(課税標準)が異なるとしても同じ法人課税カテゴリーに属すものなので、タイトルで示したように、法人税が不申告で済むなら消費税も不申告で済むはずだから、アマゾン本社は消費税を申告していないと判断しています。
わかりやすく言えば、日本で法人税を申告していないアマゾン本社が、日本の税務当局(東京国税庁)に消費税“だけ”を申告することはありえないという考えです。
消費税についてよくある誤解は、ある商品の売上にかかわる消費税額からその商品の仕入に関わる消費税額が納付すべき消費税で、それを売上全体に適用することで納税額が決まるという見方です。
このような見方であれば、Amazon.co.jpが日本居住者向けに売り上げている金額とその売上を実現するために仕入を行った金額がわかれば、Amazon.com Int'l Sales, Incが日本の税務当局に納付すべき消費税額は決まります。
しかし、付加価値税である消費税は、売ったときに預かった消費税額から仕入れたときに負担した消費税額を差し引けば算出できるというものではありません。
消費税率を10%と想定し、ある事業者の売上が110億円でその売上に必要な仕入の金額が77億円だとします。
売上に係わる消費税額は10億円、仕入に係わる消費税額は7億円ですから、納付すべき消費税は差し引き3億円になると思われがちです。しかし、事業活動は仕入だけでは行えません。直接雇用の人件費は別として、店舗の家賃や情報機器の設備投資などの費用が発生します。このような費用の合計が11億円だとすると、それに係わり控除できる消費税額は1億円になります。これにより、納付すべき消費税は2億円になります。
さらに、事業の拡大や競争力の強化をめざし、33億円の設備投資を行ったとします。これに係わる消費税額は3億円ですから、2億円−3億円でマイナス1億円となります。
この場合、消費税は、納付するのではなく、1億円の還付を受けるものになります。
何が言いたいかと言えば、法人税を申告する(申告しなければならない)事業者は、売上・仕入・費用などすべてのお金の動きを税務当局に提示している(立ち入り調査をされる可能性も)ことで、申告した消費税の妥当性(正確性)もチェックされているということです。
テーマになっているアマゾン本社は、不申告であったために東京国税庁から追徴課税の処分を受けながら、日米当局間の協議で追徴課税が取り消されました。
この結末を解釈すれば、アマゾン本社は今のところ日本での法人税申告義務を負っていないことになります。
先ほどの説明でわかるように、法人税の申告義務がない事業者が消費税を申告しない場合、追徴課税すべき消費税を確定する術がないのです。
日本の税務当局は、米国にあるアマゾン本社(Amazon.com Int'l Sales, Inc)に立ち入って会計データを調査するような権限はありません。
ですから、アマゾン本社に対し、日本居住者向けの事業で納付すべき消費税が発生しているはずだと主張してみたところで、アマゾン本社の日本向け事業に要した費用がいくらなのか確定することができないのです。
Amazon.co.jpサイトでの買い物は、米国にあるAmazon.com Int'l Sales, Incとの売買契約になっています。日本法人のアマゾンジャパンやアマゾンジャパン・ロジスティクスは、Amazon.com Int'l Sales, Incの委託を受けて日本語サイトのメンテナンスや配送の手配をしているだけの存在です。
巧妙と言えば巧妙なのですが、Amazon.com Int'l Sales, Incのような商法は、従来的な空間と手法での事業を前提としている税制で律することが困難なのです。
さらにもう一つ、日本の税務当局とアマゾン本社との課税をめぐるやり取りが曖昧なかたちで報じられるだけでよく見えないは、消費税の税制(消費税法)が、
「(課税の対象)第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する」 という売上税的規定をする一方で、
付加価値税という実体に戻すために、
「(仕入れに係る消費税額の控除)
第三十条 事業者(略)が、国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる課税標準額に対する消費税額(略)から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(略)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(略)につき課された又は課されるべき消費税額(略)の合計額を控除する」と“条文として離れた関係で”規定していることでわかりにくくなり、
付加価値税の主要目的である輸出事業者支援策を正当化するため、
「(納税義務者)第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある」と課税の対象とする取引を「国内において」と限定している“回りくどさ”によって、アマゾン本社に対する消費税課税の扱いがより曖昧になっていると思っています。
日本の税務当局は、消費税について、どうしても、ストレートに付加価値税だと説明したくないため、法的には申告する義務を負っていると解釈するしかないアマゾン本社にどうして消費税を課すことができないのかを国民にきちんと説明できず、課税できないのに、アマゾン本社も消費税を申告する(納付する)法的義務があると“建前”論を繰り返すことでしお茶を濁して(ごまかして)いると思っています。
そして、税務当局にアマゾンは消費税を納付(申告)しているのかと問うても、個別企業の納税情報を開示することはできないという答えで蓋をしています。
※ 参照投稿
「国税局と追徴課税でもめているアマゾン(Amazon.co.jp)は消費税の申告・納付をしているのか?」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/745.html
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