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多国籍企業の課税逃れ 米議会、追及強める
ファイザーの買収問題で再燃
【ワシントン=矢沢俊樹】米議会上院で、米国の高い法人課税をすり抜ける多国籍企業を追及する動きがさらに強まってきた。租税回避狙いとも受け取れる米医薬品大手ファイザーの英製薬大手買収提案に与党・民主党から批判が噴出。利潤を目指す企業としてはやむを得ないとの擁護論も強く、米税制改革論議の大きな争点になりそうだ。
ファイザーは26日、買収提案の期限までにアストラゼネカ側と買収価格の溝を埋めることができず、買収断念を発表した。だが経営幹部らは買収目的の一つを「効果的な租税負担を構築する」と繰り返し表明していた。買収後は英国に多くの利益を留保・移転し、最高税率が35%と国際的に高い連邦法人課税の網をかいくぐる意図があった。
野党・共和党に近いとみられる製薬大手の露骨な租税回避に、民主党重鎮らの怒りが爆発。ワイデン上院財政委員長は「米国を見捨てることで企業は得をしない」とファイザーを公然となじった。課税逃れ阻止へ向けた法案提出を探る動きも上院内には出ている。
民主が多数派の上院の査察常設小委は2012年秋からヒューレット・パッカード(HP)やマイクロソフトなど、有数の米多国籍企業の国外利益移転問題をやり玉に挙げてきた。
上院の調査では、HPが海外子会社の利益を配当ではなく、法人税がかからない米本社向け融資の形で還流させるなどの入り組んだ実態がつまびらかになっている。
ただ、明確な税法違反の脱税と異なり、形式上は合法手段を駆使している。それだけに議会も追及の決め手を欠く。
上院はグループ内の不透明な価格設定や、監査法人が厳格であるべき会計監査と税務助言の双方を担う「利益相反」の実態などを問題にする。だが強制権限のない「提言」にとどまり、上院と企業側のいたちごっこの様相を強めている。
米経済界内では「議会こそ高い法人税引き下げと企業の立地競争力向上に努めるべきだ」との不満が強い。オバマ大統領、共和党とも連邦法人税率を25〜28%に下げる構想は表明済みだ。
オバマ氏は対米投資促進に向けた改革案で、米企業がタックスヘイブン(租税回避地)などに留保する海外利益に、米連邦の最低税率を適用する方針も明記。企業の海外資金を国内に振り向けさせようと躍起だ。
だが、議会で与野党が折り合うメドは立っていない。税制を手直しできない状況が長引けば、低税率の英国やアイルランドなどへの租税回避に向かう企業が一段と増えそうだ。
[日経新聞5月27日夕刊P.3]
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