http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/557.html
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※ 参照投稿
「調査捕鯨 北西太平洋は捕獲数半減で実施:調査捕鯨 来年度以降は南極海でも:調査捕鯨全面禁止判決が出るまで継続? 」
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/377.html
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『週刊文春』5月1日号
P.144〜145
オーストラリア人記者が“改心”告白
「日本よ、欧米に屈せず捕鯨文化を守れ」
米国に本部を置く反捕鯨団体「シー・シェパード」のドキュメンタリー番組を撮影したオーストラリア人映像ジャーナリストのサイモン・ワーン氏(57)。反捕鯨運動の急先鋒とも呼べる立場にあったワーン氏だが、その後、和歌山県太地町を訪れ、一転して、捕鯨の歴史と文化を世界に伝える活動を行うことになった。現在、和歌山大学観光学部特任助教を務める彼は、なぜ考えを新たにしたのか。
私は米国の動物専門チャンネル「アニマル・プラネット」の依頼を受け、二〇〇七年から〇八年にかけて、およそ五週間にわたって南極海で日本の調査捕鯨船を妨嘗するシー・シェパードを取材しました。
シー・シェパードの活動を題材に企画された「ホエール・ウォーズ(鯨戦争)」というドキュメンタリーシリーズのカメラマンとして彼らに同行したのです。〇八年に放送されたこのシリーズほその年の最高視聴率を記録。商業的な大成功を収めたばかりでなく、米国で優秀なテレビ番組に与えられるエミー賞の映像部門にノミネートされるという快挙も成し遂げました。
カメラマンとして自分の仕事が評価されたことには満足しましたが、その一方で、捕鯨の実態を片側からしか取材しない番組の姿勢やシー・シェパードの描いたシナリオに違和感を覚え、編集された作品には満足しませんでした。
捕鯨の伝統文化に感銘を受けた
その一例が、出港しておよそ二週間後に起きたある事件でした。〇八年一月十五日、シー・シェパードの活動家二名が日本の捕鯨船団の目視採集船「第二勇新丸」に不法侵入して拘束されました。二日後に釈放されたオーストラリア人の青年から話を聞くと、彼らは船内で丁重に扱われただけでなく、監禁されていた船室に捕鯨船の若い乗組員の訪問を受けたそうです。この日本人乗組員は“不法侵入者”の話に耳を傾けたばかりか、環境問題をテーマにした宮崎駿のアニメ映画「もののけ姫」のDVDを手渡すなどして友好的な対話を持とうとしたそうです。
環境団体からの攻撃に晒されている捕鯨船の乗組員が、環境問題をテーマにしたDVDを南極海で観ようと船に持ち込んでいたことは、それだけでも非常に力強いメッセージです。拘束された青年も得難い経験としてこの話をしてくれたのですが、この話が米国で放送されることはありませんでした。「凶悪な鯨殺しの集団」として日本人を描きたかった制作サイドの思惑にそぐわなかったのでしよう。
「反捕鯨」が莫大な利益を生み出すことは今や世界の常識です。アニマル・プラネットは視聴率を稼ぎ、シー・シェパードは番組で自らの活動を世界に知らしめ、莫大な寄付金を得ることができました。
ジャーナリストとして「都合のいい内容だけを放送する」という彼らの方針に納得できなかった私は、撮影クルーから外れることにしました。
その後、日本の捕鯨について詳しく学ぶため、頻繁に太地町を訪れるようになったのです。江戸時代、世界最速と謳われた和船を巧みに操り、網に追い込んだ鯨を括で仕留めた命懸けの古式捕鯨について学ぶうちに、太地町の漁師に先祖代々受け継がれてきた技術と伝統に深い感銘を受けました。
しかし、国際社会は捕鯨に関する情報に触れると感情的になり、当たり前の常識すら忘れてしまう傾向にあります。それが経済的な恩恵をもたらすとなればなおさらです。
〇九年に公開され、日本でも大きな話題となったドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」は、太地町で伝統的に行われているイルカの追い込み漁を批判的に描いた作品で、興行的にも成功を収めました。素材の多くは「日本のイルカを救う」「日本政府が隠蔽する、イルカ肉に含まれる水銀被害の実態を暴く」という制作者側の主張を理由に隠し撮りされていますが、これは私に言わせれば非常識です。
イルカの追い込み漁を欧米人が残酷に感じることは理解出来ますが、動物を殺すことに残酷さが伴うのはやむを得ない。私の母国、オーストラリアの農場にいきなり外国人が現れ、許可なく現場を撮影することが許されるでしょうか。
紀伊半島の先端に位置する太地町の人々は、何世紀にもわたり目の前の海に生活の糧を求めてきました。私は、太地町で培われてきた捕鯨という文化に、日本のどの伝統文化にも匹敵する価値があると考えています。そして、太地町の人々は自らの歴史と伝統に誇りを持って暮らしています。欧米人の価値観を押しつけ、捕鯨に代わる生活手段を提示することもなく一方的に「やめろ」と声を上げるだけでは、何の変化も期待出来ません。
知識を持たないケネディ大使
今年一月、米国のキャロライン・ケネディ駐日大使は自身のツイッターで「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」と太地町のイルカ漁を批判しました。ケネディ大使が発信しているメッセージには疑問を持たざるを得ません。それは、彼女が捕鯨やイルカ漁についてさほどの知識を持たずに発言しているからです。
私は米大使館に、ケネディ大使が太地町を訪問するよう提案しています。現地を自分の日で見て本当の太地町を知ることで、捕鯨が地元の人々にとってどのような意味を持っているのか理解できるでしょうし、捕鯨の賛否はともかく、公平な判断をしてもらいたいと
思ったからです。
今年一月には、米国のソールズベリー大学環境学部に通う学生九人を太地町に案内しました。彼らの多くは「ザ・コーヴ」を観ており、太地町に少なからぬ偏見を持って訪れたのですが、太地町から見る太平洋の美しさに感動するとともに、地元の漁師と触れ合うことでイルカ漁に対する理解を深めてくれました。
今年三月、国際司法裁判所は南極海における日本の調査捕鯨の中止を命じました。これは元々、一〇年五月に辞任直前の豪ケビン・ラツド首相(当時)が「反捕鯨」を公約に掲げることで支持率の回復を狙って起こした訴訟でしたが、私はこの判決を悲観的に捉えていません。日本は、この機会に捕鯨の正当性を世界に伝えるべきだと思います。
かつて欧米諸国は鯨油を取るために捕鯨をしてきました。鯨油で莫大な利益を得て、それによって発展してきた歴史を無視して、今になって「日本は捕鯨をやめろ」と、自らの主張を都合よく押し付けることは許されるべきではありません。日本は欧米の圧力に屈することなく、捕鯨文化を守っていくべきです。」
- 日本、曖昧な捕鯨戦略:国際司法裁で敗訴、「調査」認められず 「商業」再開にも壁 あっしら 2014/5/03 04:03:52
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