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2019年4月3日 The Wall Street Journal
アップルの「News+」、ニュースの未来とは言えず 記事読み放題もコンテンツや使い勝手に難あり
アップル・ニュース・プラス画面
アップル・ニュース・プラスは数百冊の雑誌が読める Photo:Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal
――筆者のデービッド・ピアースはWSJパーソナルテクノロジー担当コラム二スト
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アップルの新しい定額制のニュース・雑誌読み放題サービス「Apple News+(アップル・ニュース・プラス)」は、ある意味、アマゾンの「キンドル」や初代「iPod(アイポッド)」と考え方は同じだ。本やCDといった物理的なモノを寄せ集め、1つの端末でまとめて利用できるようにする。
「音楽ライブラリーを丸ごと常に持って歩けるのは、音楽鑑賞における飛躍的な進歩だ」。スティーブ・ジョブズ氏は2001年にiPodについてこう語った。今度は雑誌の売店を丸ごと持ち歩けるというわけだ。
ニュース・プラスでは、雑誌に加えてウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などの新聞記事も読める。しかし雑誌同様、読める記事数は限られている。
「ウォール・ストリート・ジャーナルから」というセクションがあり、そこにはWSJのさまざまな分野の一握りの記事が表示される。アップルによると、WSJの「ニュース」チャンネルを検索または閲覧すれば、過去3日分の記事が読める(ウォール・ストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズはアップルのサービスを通じてニュースを提供する契約を交わしている)。
アップルは、これはニュース・プラスの始まりにすぎず、記事配信会社がもっとツールを活用してクールな機能などを作れば、さらに良くなると説明している。現時点ではアップルも記事配信会社も、先進的な閲覧体験やコンテンツを検索・共有する新しい方法はほとんど提供していない。現在のところ、紙雑誌を熱心に読むようなタイプの人以外、このサービスにコストに見合った価値を見いだす人はほとんどいないだろう。
使い勝手
既にiPhone(アイフォーン)、iPad(アイパッド)、Mac(マック)向けの無料ニュースアプリ「アップルニュース」を使用している人もいるかもしれない。これはさまざまな情報源から各ユーザーの関心に沿ったニュースを収集・配信するアプリで、世の中で何が起こっているかを素早く把握するのに便利だ。
ニュース・プラスはこのアプリ内に設けられた独自のセクションで、そのコンテンツは有料会員だけが読める。アップルによると、毎月10ドルで300を超える雑誌や新聞が閲覧できる。ライブラリー内を数えたところ251種類の雑誌があった。筆者が探した限りでは、全ての人気雑誌が何らかの形で閲覧できるようになっていた。そのほか、WSJ以外にロサンゼルス・タイムズ紙や「Vox(ヴォックス)」「theSkimm(ザ・スキム)」などのニュースサイトのコンテンツが提供されている。
雑誌は大型画面で読んだ方がデザインや写真を本来あるべき状態で楽しめる Photo:Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal
価格は魅力的に見える。1カ月に雑誌を3冊購入する程度の値段で数百冊の雑誌や新聞を閲覧できるのだ。しかし、1カ月10ドル払っても、それら雑誌や新聞を丸ごと読めるわけではない。ニュース・プラスの会員になっても、ニューヨーカー誌の有料コンテンツが全て読めたり、ESPNプラスの動画コンテンツにアクセスできたりするわけではない。定期的にリフレッシュされる雑誌の「キャッシュ」を閲覧できるだけだ。
ニュース・プラスで閲覧可能なものの中には、単に雑誌をPDFファイル化しただけのものもある。つまり、基本的に雑誌の各ページをデジタルスキャンし、読めるようにしたものだ。こうしたコンテンツはiPadでは問題ないが、iPhoneで閲覧する場合、全ての文字を読むには絶えずページを動かしながら拡大表示をしなければならない。
幸い、ほとんどの著名雑誌はアップルニュース・アプリ向けに最適化されているため、iPhoneでも閲覧に問題はない。記事を移動するにはスワイプするが、記事を読むには上下にスクロールすればいい。
しかし、大抵どの記事も同じレイアウトで表示されるため、各雑誌を魅力的にしている独自のデザインやアートは失われる。目次のような基本的な要素でさえもうまく機能しない。単に記事の見出しが表示されるだけで、文脈が分からないため、あまり意味がない。
アップル・ニュース・プラスでは、読みかけた雑誌を後ですぐに閲覧できるようになっているが、筆者のテストではデバイス間の同期がうまくいかなかった Phoro:Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal
雑誌を読んでいる途中でも、読んでいた場所が保存され、後でそこに素早く戻れるようになっている。しかし、1度に1冊しか記憶されないため、すぐにどこを読んでいたかが分からなくなる。また筆者のテストでは、デバイス間の同期がうまくいかなかった(アップルによると、本来は同期できるはず)。また記事を保存して後で読むこともできない。
アップルニュース・アプリ向けに最適化された雑誌であれば、文字サイズを変更できる。しかし、フォントを変えたり、ベッドで読みやすいよう黒画面に切り替えたりはできない。こうした機能は、アップルの「iBooks(アイブックス)」を含め、実質ほぼ全ての他の電子書籍アプリでは利用できる。アップルは明らかにデザインは雑誌のデザイナーに任せようとしているが、筆者はもう少し自分でコントロールしたい。
コンテンツ
雑誌を読む経験は実際に楽しめた。乱雑な感じがするオープンなウェブと比べて、パッケージ化されてまとまりがある感じがした。それで1カ月10ドルの価値があると思えれば、購読すればいい。しかし、トレンドは逆だ。われわれは多くの情報源から1週間または1カ月に1度以上の頻度でニュースを受け取っている。またポッドキャストや動画からもニュースを得ているが、アップル・ニュース・プラスではまだそれらは利用できない。
もっと多くの情報源を求めているのであれば、読む価値のあるニュースや記事を収集してくれる優れたアプリが他にもたくさんある。以下は筆者のお気に入りのアプリだ。
アップルは目次や表紙など閲覧体験を向上させるために手を加えると述べている David Pierce/The Wall Street Journal
・Nuzzle(ナズル):ツイッターやフェイスブックのアカウントでログインすると、ナズルが自動的にユーザーのソーシャルメディアのフィードを調べ、フォローしている人や友達がシェアしている記事を人気順に表示してくれる。さまざまな記事の最新情報を追うのにとても便利だ。
・SmartNews(スマートニュース):ウェブからユーザーの興味に合った記事を集めてエンタメやスポーツ、政治などカテゴリー別に分類し、定期的に配信してくれる。
・グーグルニュースとマイクロソフトニュース:アップルニュースと同様の製品で、人間やアルゴリズムが集めたニュース記事が配信され、絶えず更新される。1つの問題についてあらゆるサイドから情報を得ることができる。
あるいはアップルニュースを使ってもいいだろう。ニュース・プラスは無視し、無制限に供給される良質な記事を楽しめばいい。アップルが日常的なニュースや長めの雑誌記事、ポッドキャスト、動画を1カ所に集約し、より優れた消費体験を提供できれば、スポティファイと同程度の料金の価値はあるかもしれない。恐らくアップルはその方向で取り組んでいるのではないか。だが現状では、ニュース・プラスは数年遅れの製品といった感じだ。
アップルが25日に発表したTVやニュース、ゲーム、クレジットカードなどの新サービスについて、イベントを取材したジョアンナ・スターン記者が解説する(英語音声、英語字幕あり)Photo: Reuters/Stephen lam
(The Wall Street Journal/David Pierce)
https://diamond.jp/articles/-/198688
- (バロンズ)アップル動画配信、期待外れの臆病さ 世代別エンジェル投資家図鑑、スタートアップ人脈は循環する うまき 2019/4/03 12:05:53
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