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原因は処方薬、米で急増する鎮痛剤の依存・中毒死:合成モルヒネ・オピオイド:処方薬として入手すれば合法の麻薬
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/899.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 4 月 29 日 14:49:36: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


 昨年6月に発覚したトヨタ自動車の米国人女性役員も、オピオイド鎮痛剤であるオキシコドンでキャリアを棒に振った。

 末期癌患者の疼痛緩和など用法・用量を守ればそれほど害はないが、合法的麻薬として使われるようになると歯止めがきかなくなるケースも出てくる。


※関連記事

「プリンスさん、死亡時に「オピオイド」を所持 米報道」
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1107.html

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原因は処方薬、米で急増する鎮痛剤の依存・中毒死[日経新聞]
ワシントン支局 長沼亜紀
2016/4/29 6:30

 鎮痛剤に使われる物質の一種「オピオイド」の依存症や中毒死が米国で増えている。米疾病対策センター(CDC)によると、2014年のオピオイドによる中毒死(ヘロインを含む)は過去最高の2万8647人を記録し、薬物中毒死者数の6割を占めた。1日当たり78人が亡くなっている計算だ。医師に処方された薬の服用が原因で依存になるケースも多いという。かつて都市貧困層の問題だった薬物依存が郊外や地方の白人中流層にも広がり、深刻さを増している。

 シカゴ在住の元不動産仲介業者ベツィ・タリーさん(69)がオピオイドを知ったのは2001年、54歳のときだった。交通事故がきっかけで始まった慢性の腰痛で訪れた専門医から、強力なオピオイド鎮痛剤オキシコドン20ミリグラムを処方された。痛み止めとしては効果があったが、薬が切れるたびに痛みがぶり返し、さらに多くの薬を必要とするようになった。

 11カ月後には280ミリグラムもの鎮痛剤が処方されるようになった。薬の効果が切れると痛みに加えてひどい吐き気や大量の発汗に襲われ、仕事もできない状態になっていた。「違法な薬を試したことがなかったのでわからなかったのだが、典型的な禁断症状だった」とタリーさんは振り返る。

 深刻な薬物依存になっていることに気付き、診療施設に入院。依存を断ち切るのに7年かかったという。タリーさんは「中毒死しなくて幸運だった。処方薬を飲んでいただけなのに」と人生が狂ってしまったことにいまも怒りが収まらない。

 オピオイドはケシの抽出成分やその合成化合物で、強い鎮痛、陶酔作用があり、米国では、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどが医療用麻薬として用いられている。依存を招く懸念から、長らくガンや末期の治療のみに使われてきた。しかし、1990年代中ごろに製薬会社が新薬を発表、長期使用しても安全で依存リスクが極めて少ないとして、積極的に売り込みを開始した。

 同じ頃、米国疼痛(とうつう)学会など専門家団体も、患者は無用に痛みに苦しんでおり、医師はもっと積極的に痛み治療に取り組むべきだとする運動を展開。医療界の認識も変わり始め、さまざまなオピオイド鎮痛剤が腰痛、関節痛、頭痛、歯痛まで幅広く用いられるようになった。この結果、99年から2009年までに販売量は4倍に増え、並行して中毒死者数も約4倍に急増。足元でもこの傾向は続いている。

 「オピオイド鎮痛剤の分子構造はヘロインと実質的に変わりない。リスクが過小評価される一方、効果が過大評価されている」と警告するのは、ジョンズ・ホプキンズ大学公衆衛生学部薬物安全・効果センターのカレブ・アレクサンダー共同ディレクターだ。「依存リスクは1%以下」との理解が浸透していたが、最近の研究ではるかに依存性が高いことが明らかになっており、逆に痛み緩和効果に疑問が投げかけられている。

 「責任あるオピオイド処方のための医師団」の事務局長、アンドリュー・コロドニー医師は「医者は患者を助けようとして間違った情報に基づいて薬を処方した結果、現在の『危機』を招いてしまった」と考えている。オピオイド鎮痛剤の多くは、かかりつけ医や、歯科医など身近な医療関係者によって処方されている。CDCによると12年の処方件数は2億5900万件にのぼり、これは米国の全成人に1瓶の薬が行き渡る数だ。「あまりに安易に大量の薬が処方されており、これを変えない限りまん延は止められない」とコロドニー医師は指摘する。

 処方薬による依存は、若者が自宅で親などに処方された薬を盗み飲んで始まる事例と、タリーさんのように中年層が慢性的な腰痛や頭痛を緩和するために医師から処方された結果という事例が多い。中毒死亡率を州別でみると、ウエストバージニア州、ニューメキシコ州、ニューハンプシャー州、オハイオ州など、製造業や農業に従事する人口が多い地域で高く、年齢別では45〜54歳が最も多い。鎮痛剤を多く必要とする高齢者の死亡例も増えている。

 4月21日に57歳で急死した米人気ロック歌手プリンスさんの遺体からもオピオイドが検出されたと、米メディアは報じている。司法当局が死因を調査中だが、オピオイドの過剰摂取による中毒死の可能性があるとされている。

 かつて薬物依存は、貧困、犯罪と結び付けて語られ、大きな社会問題として取り上げられることは少なかったが、家族を失う中流層が増えるにつれ注目されるようになり、米政府も対策に動き出した。CDCは3月、慢性の痛みの初期治療にオピオイド鎮痛剤は望ましくないとする初のガイドラインを発表したほか、米食品医薬品局(FDA)も3月、処方薬のラベルに依存、過剰摂取、死に至る危険がある点を明示するよう義務付けることを決めた。

 2年前、当時26歳だった長男をオキシコドンの過剰摂取で亡くしたバージニア州在住の元連邦職員、ドン・フラタリーさん(62)は、一般市民や行政、医師に対する啓発活動に取り組んでいる。「信頼する医師が出す薬だから安全という神話がある。誰にでも起こりえる悲劇を防ぐために、正しい情報を広める必要がある」。


http://www.nikkei.com/article/DGXMZO99812480Z10C16A4I00000/?dg=1

 

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