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歯科治療、間違いだらけだった!全身に重大な悪影響の危険
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14890.html
2016.04.27 文=林晋哉/歯科医師 Business Journal
「歯科治療とは何か」「歯科治療は一体なんのために受けるのか」――そんなことを考えたことのある患者さんは誰もいないでしょう。
では、一般医科ではどうでしょうか。内科、外科、産科、眼科、皮膚科など、沢山の科目がありますが、それらの治療は一体なんのために受けるのでしょうか。
この質問に、大多数の皆さんは「病気を治すため」と答えるでしょう。そうです。本来、すべての科目はお互いに協力して疾病を治し、その人の全身の健康を回復するために存在しています。
そのように考えると、歯科についても人の健康にかかわるひとつの科目としてとらえるのが当たり前です。その視点に立てば、歯科治療の目的は「口の機能を回復する」ことです。簡単に言ってしまえば、「食べる、しゃべる」を無意識にできる状態に回復するということです。決してただ単に歯を治すことではありません。歯を治すことを通して口の機能を治すという意識がなくてはならないのです。
しかしながら、今の歯科界は相も変わらず歯のみを見つめ、「木を見て森を見ず」です。口を治して全身の健康に寄与するという意識に欠けた歯科治療が横行しているのが現状です。
■歯科治療で治すもの
以前から本連載で述べていますが、生命活動は摂食・呼吸のように体内に取り入れることと、取り入れたものを消化し排泄するという循環が滞りなく行われることであって、その入り口が口なのです。この命の源である口がストレスなくスムーズに働くようにするのが全身の健康に寄与する歯科治療です。
では、具体的に歯科治療では何を治さなくてはならないのでしょうか。大きく分けると5つあります。
(1)噛み合わせを整える
(2)顎関節の動きを整える
(3)顎の動きを整える
(4)噛みしめ対策を行う
(5)歯を治す
(1)は、虫歯に詰める、被せるといった処置をはじめ、入れ歯でもブリッジでも歯の抜けたところには処置をし、歯の本数をそろえ、噛み合わせを平均的に噛み合い、まんべんなく擦り合うように調整し、両奥の歯で無意識に食べられることができる状況を回復するということです。
(2)は、顎関節の動きに偏りや痛みがあれば、噛み合わせが良くてもうまく使いこなせないので、できる限り痛みなくスムーズに動く顎関節になるように開口訓練など、じっくりとしたリハビリが必要です。
(3)は、右側でしか噛めないとか、顎が右側には動くが左には明らかに動きづらいなどの偏りがあれば、これも咀嚼訓練などのリハビリにより左右前後に滑らかに動かせる咀嚼システムにすることが必要です。
(4)は、噛みしめに対してしっかりとした対策をすることが必要だということです。ほとんどの人が、寝ているときを中心として噛みしめており、起きているときでも無意識に噛みしめていることが多くあります。この噛みしめる力によって歯、歯周組織、顎関節、咀嚼筋などがダメージを受け、歯がダメになる大きな要因となります。また、咀嚼筋のこりから頭痛、肩こりなどにつながることもあります。歯科治療において噛みしめ対策は必須事項と考える必要があります。
(5)は、(1)〜(4)の上に、しっかりと虫歯、歯周病などに必要な処置をするということです。現状の歯科界はこの(5)のみに集中し、口を取り扱うという観点が失われています。
この(1)〜(5)の各項目をできる限り整え、各機能のつながりを強固にすれば、最小限のエネルギーで軽やかに働く口となり、歯、口に関連するストレスが減り、歯も長持ちし、全身の健康にとっても好影響があるはずです。
■筆者自身の受けたい歯科治療
結局は、しっかりとした診察と検査を行い、その結果を十分吟味し、その人の口のストレスを最大限減らす治療方針と用いる治療手段(入れ歯なのかブリッジなのかなど)、費用についての十分な説明を行い、理解と同意の上、立案した治療計画を基にひとつずつ丁寧に進めることが口の健康を手に入れる一番の近道です。
それはまるで自分で自分の治療をするようなもので、これ以上丁寧な治療はありません。これは筆者自身の受けたい歯科治療です。
口は命の源です。その健康を左右する歯科治療は軽く考えず、慎重に取り組まなければなりません。
(文=林晋哉/歯科医師)
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