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がん検診や人間ドックの受け方は人によって正解が異なる。自分にとって必要な検査を正しく選ぶことが大切だ。(写真はイメージ)
こんな人間ドックにだまされるな! あなたの命を救う医療リテラシー(3)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160211-00045883-biz_jbp_j-nb&ref=rank
JBpress 2016/2/11 11:40 大竹 真一郎
「○○するだけで健康になる」「××するだけでやせる」というような1つのやり方ですべてが解決するかのように誤解させる本が売れていますが、そんな方法などありません。一人ひとりによって正解が違うので、誰にでも確実な健康法などないのです。
がん検診や人間ドックも同様に、人によって正解が異なりますので自分にとって必要な検査を正しく選んだ上で受けてください。
健康診断や人間ドックを受けたからといって100%病気を防げるわけではありませんが、ある程度の病気を防ぐことができますので、やはり健康診断や人間ドックは受けたほうがいいのです。ただし、正しく受けていただきたいのです。
以下では、人間ドックの正しい受け方についていくつかポイントをお教えしたいと思います。
■一夜漬けで検査数値をごまかすな!
女性の中には学生時代、身体測定の前に緊急ダイエットをした経験がある方もいるかと思います。それを健康診断や人間ドックの前にする人がいるのです。
確かに前日もしくは2、3日前からの断食などで一時的に腹囲や中性脂肪の対策ができるかもしれません。場合によってはその数日のがんばりで基準値内という結果になるかもしれません。
直前に禁酒・禁煙をする、前日にジムで汗をかく、水をいっぱい飲んで排尿をうながす。これらの一夜漬けで数値が一時的に下がることは考えられます。
逆に血圧などはリラックス状態にあるかどうかで数値に変化がでますので、「高血圧でひっかかったらどうしよう・・・」という緊張感だけで上昇することもあるのです。
健康診断や人間ドックは、「異常なし」の結果を出して、再検査を免れることが目的ではありません。数値でパスすることが現在健康であるということの証明にはならないことは、ここまで読んできたみなさんにはおわかりだと思います。
自分の体と正直に向き合ってください。もちろん、禁酒、禁煙、適度な運動などは長期的に行えば健康によいことは間違いないので、健康診断や人間ドックの受診日に関わらず継続することをおすすめします。
■インターネットのネガティブ情報にだまされるな!
人間ドックを選ぶ際に、インターネットは役に立つでしょうか。検索サイトで「人間ドック」というキーワードを打ち込むと、膨大な数の人間ドックの情報が得られます。また特定の人間ドックについて検索すれば、その人間ドックの口コミ情報を知ることもできます。
しかし口コミ情報は、ネガティブな情報が多いので、鵜呑みにしないほうがよいでしょう。人間というのはほめるのが苦手なのでしょうか。「よかった」という書き込みよりも、「ダメだった」という書き込みのほうが多いのです。
一方、人間ドックの比較を実施しているサイトは、参考になると思います。どんな検査が行われており、費用がいくらかかるかもわかります。同じ検査を行っていても、値段が同じではないので、それを比較するのには役立つでしょう。
もちろん値段だけで人間ドックは決められません。ホームページの情報は、人間ドックによって異なりますが、専門に診ている医師が何科の医師であるか、はっきり明記しているところは信頼できると思います。例えば、外科の医師ばかりなら、生活習慣病の説明がきちんとしてもらえないかもしれません。
最新の機器が使われているかがわかることもあります。消化器ドックであれば、内視鏡の特殊光撮影を備えているかどうかも、チェックポイントになると思います。
また人間ドックのホームページには連絡先も明記されています。疑問があれば、直接電話して、「医師による検査報告書の説明があるのか? 」とか「医療面接を行っているか? 」といったことも質問できます。いずれにしても、インターネットは人間ドックの情報収集のための入り口くらいに考えておいたほうがよいと思います。
■既往歴はアンケートのみの人間ドックにだまされるな!
よい人間ドックかどうかを見分けるポイントの1つは、「医療面接」がきちんと行われているかどうかです。
医療面接とは、家族の病歴や本人の既往歴、生活習慣、アレルギーの有無などを受診者に面接して聞くことです。最初にこれらの項目にアンケートで答えてもらい、それに対して、看護師が面接することが多いと思います。中にはアンケートだけで、医療面接を行っていない人間ドックもあります。
きちんと医療面接を行っている人間ドックなら、その情報がドックの医師に伝わっているので、より病気が見つけやすくなります。
私が勤務していた人間ドックは、エコー(超音波)検査の技師にも医療面接の情報が共有されていたので、受診者の過去の肝機能値を考慮して肝臓をエコーで調べていました。このようにすると、検査の精度がより高くなります。例えば「この人は去年、肝臓の数値が悪かったから、しっかり肝臓を見ておこう」など、見逃しの少ない検査ができるようになるのです。
医療面接を行っているかどうかは、人間ドックに電話して「おたくは医療面接をしていますか? 」と問い合わせればわかります。「当方はアンケートのみです」という人間ドックはあまり信頼しないほうがよいでしょう。
また診察する医師に対するチェックポイントもあります。最近は病院(診療所、医院、クリニックを含む)の医師の中にもコンピューターの画面ばかり見ていて、診察をしない医師がいますが、これは論外です。
私のクリニックの患者さんで、以前こういう人がいました。70代の女性の患者さんですが、慢性的におなかの調子が悪いので、2カ所の病院で診てもらったけれど、どうもスッキリしない。そこで3軒目に私のところに来たのですが、その女性が「おなかを触ってくれたお医者さんは、大竹先生が初めて」というのです。
胃腸の症状を訴えているのに、おなかの触診をしないということは考えられません。「おなかのどのあたりを押したら痛みがあるか」といったことも、可能性のある病気を想定するための重要な情報になります。
また私はおなかの触診をするとき、聴診器で腸の音も聴きます。便秘の傾向がある人は腸の動きが悪いので、10秒ぐらい聴診器をあてていても、ほとんど音が聴こえません。元気な腸なら数秒あてただけで、腸が動く音が聴こえます。胸の聴診は当然やらなければなりませんから、医師のレベルを見るのに触診や聴診をするかどうかは大きなポイントになります。
■検査結果にだまされるな! この数値だけは理解しよう
人間ドックや健康診断で必ず行われるのが血液検査。血液検査からはいろんなことがわかります。検査項目の意味がわかっていると、医師の説明が理解しやすくなりますし、今後の自分の健康管理にも役立ちます。
特に重要なのは、血糖値(血糖)とヘモグロビンA1c(HbA1c)、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、尿酸値(尿酸)でしょう。
血糖値とヘモグロビンA1cは糖尿病の数値です。ヘモグロビンA1cは過去1〜2カ月の血糖値の平均を見る指標で、血糖値と合わせて見ることによって、糖尿病がどれくらい進んでいるかを見ることができます。
コレステロールと中性脂肪は脂質異常症の数値です。HDLコレステロール(善玉コレステロール)は低くなると要注意、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は高くなると要注意です。中性脂肪も高くなるとよくありません。
しかし、中性脂肪だけが高いなら、それほど心配することはありません。尿酸値は高尿酸血症の数値で、高くなると足の親指の付け根などが赤く腫れる痛風発作を起こします。痛風発作を起こすまでは、薬で下げる必要はありません。ただし、高尿酸血症は“生活習慣病の先行指標”と言われていますので、「尿酸値が高い」と言われた人はアルコールを控えるや減量をするなど生活習慣の改善を心がけてください。
それから血圧も生活習慣病の数値なので、血液検査と一緒にチェックしておくようにしましょう。
本稿の最後に「知っておきたい血圧・血液検査の数値」を図版にしてあげておきます。基準値を超えたら、そこから病気という意味ではありません。数値の管理の目標も個人差があります。かかりつけ医のいる人なら、基準値を超えたら、相談してみるとよいでしょう。
数値によっては、放置してよいものもありますし、食事などの生活改善だけですむものもあります。ただちに薬物療法を始めたほうがよい場合もあります。その判断は医師でないとできません。せっかく健康診断でメッセージをもらったのですから、医師に相談してみるべきなのです。
健康診断や人間ドックを正しく利用して、ぜひとも自分の健康のために役立てていただきたいと思います。
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