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(回答先: 近藤誠「降圧剤で殺されないための5つの心得」:血糖値も、コレステロール値もウソだらけ:「血圧147健康値」の真実 投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 10 日 15:08:54)
血圧 治療目標値を緩和
投薬開始との一致が狙い
日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が調査結果を公表した「新たな健診の基本検査の基準範囲」とは別に、専門学会が治療のための基準を緩和したのが血圧だ。日本高血圧学会は4月に「高血圧治療ガイドライン」を改定、高血圧患者が治療で血圧を下げる目標値をこれまでより高くした。治療のための基準を明確にし、治療効果を上げていこうという狙いだ。
高血圧は脳卒中や心臓病などのリスク要因で、国内患者は約4300万人と人口の3分の1を占める。人間ドックなどでの早期発見や指導は病気の予防や医療費抑制に効果が期待できる。
わかりやすく整理
高血圧学会が発表した治療のための新ガイドラインでは、若年・中高年患者の治療目標が「収縮期(上の血圧)が140未満、拡張期(下の血圧)が90未満」に変更された。これまでは上が130未満、下が85未満だった。高血圧の治療を始めたら130を切るまで血圧を下げないと治療目標達成といえなかったのが、今後は140を切れば達成ということになる。
この治療目標の変更について「健康の基準を緩和したというより、わかりやすく整理したと思ってほしい」とガイドラインの作成委員長を務めた島本和明札幌医科大学学長は説明する。
それというのも新たな治療目標は、以前から治療で薬を飲み始める診断基準だった。また上が130〜140未満、下が85〜90未満に収まる数値は、同学会のガイドラインでも高めだが正常血圧の範囲になる。生活指導などでもっと血圧を下げるのが望ましいが、投薬治療の対象ではなかった。
糖尿病にかかっている高血圧患者など他の分類で治療開始の基準値と治療目標の数値が違っているものはなく、治療開始と目標の値を一致させようというのが今回の改定の狙いだった。
この変更には、治療薬を飲み始めても治療基準の「上が140未満、下が90未満」を下回るまでに改善する患者の割合が半数程度にとどまっているという背景もある。「まず治療基準の140未満に確実に下がる割合を7割、8割と上げていくことが大切」(島本学長)という考えだ。
新ガイドラインで明確に緩和された基準もある。75歳以上の高齢患者が血圧を下げる目標値だ。上の血圧の上限が、従来の140から150に変わった。高齢者の場合は基準を引き上げても脳卒中などの病気になるリスクが上昇する科学的根拠はないと判断したためだ。たんぱく尿が出ない慢性腎臓病患者などの目標値も引き上げられた。
ただ、健康の基準が緩和されたと話題になった人間ドック学会などの新しい基準範囲では、上の血圧は147が上限だ。高血圧学会が高血圧の基準とする140より高い。人間ドック学会の調査をまとめた渡辺清明慶応義塾大名誉教授も「147で将来も脳卒中などにならないかどうかは、追跡調査をしないとわからない」と病気予防の観点から説明する。
学会超え協力を
一方で人間ドック学会の現在の判定基準で血圧が「異常なし」となるのは「上が129以下、下が84以下」と高血圧学会の診断基準より厳しい。厚生労働省が定める特定健康診査(メタボ健診)の基準も人間ドック学会と同じだ。
人間ドック学会と健保連は基準範囲の中間報告発表とともに、厚労省にメタボ健診の対象となる検査項目の一部で年齢により数値に差があることなどを報告している。ただ、メタボ健診の基準は発足から5年たった2013年度に見直したばかりで「すぐに見直すことにはならない」(同省医療費適正化対策推進室)。
15年度から省内で始まる健康診断全体のあり方の検討を踏まえる方針で、「人間ドック学会の調査結果が反映されるとしても18年度から」というのが厚労省側の説明だ。
各分野の専門家が積み重ねた研究データをもとに議論して決める健康・治療に関する基準だが、数字の食い違いから混乱が生じるのは本意ではないはず。高血圧学会の島本札幌医大学長は「基準を作るときは統一するべきだ」と呼びかける。高血圧に限らず、患者が安心して病気予防に取り組んだり治療を受けたりするために、基準作りで学会の枠を超えた協力が求められる。
編集委員 小玉祥司が担当しました。
[日経新聞5月9日夕刊P.7]
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