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女性にオーガズムがあるのはなぜ? 進化論で謎を解明
The New York Times
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2019.03.06
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オーガズム
目は見るために、鼻は匂いを感じるために。わたしたちの体の多くの部位にははっきりした目的があります。
女性のオーガズムは生物学的な謎
しかし、なかにはうまく説明がつかないものもあります。生物学者にとって、女性のオーガズムほどふしぎな現象はないのです。
女性のセックスライフにオーガズムは重要な役割を占めていますが、筋肉の収縮と、ホルモンの放出と、強烈な快感の組み合わせであるオーガズムの進化的な原点を探るのは難しいことなのです。
何十年もの間さまざまな説が唱えられてきましたが、幅広く受け入れられているものはひとつもありません。いま、ふたりの進化生物学者がこの問題に挑戦、古代の歴史を再構築して女性のオーガズムについての新しい考え方を提示しています。
起源は1億5000万年前までさかのぼる?
学者らは1億5000万年以上前の哺乳類に始まったオーガズムという反応は、セックス後に妊娠するため卵子を放出する手段だったと結論づけました(2016年8月1日付「The Journal of Experimental Zoology(実験動物学)」誌)。
これまで、オーガズムのミステリーの鍵を(人間とは)遠くかけ離れた哺乳類の生物学に求めた研究者はほとんどいませんでした。
この研究論文の著者のひとりでコネチカット大学医学部の進化生物学者、ミハエラ・パブリチェフさんは「オーガズムの研究は人間と霊長類だけに限られていたんです。ほかの動物に注目し深く追求して、その起源を見つけようとはしなかったんですね」と述べています。
男性の場合は説明がつくんですけど
水しぶき
男性のオーガズムについては、進化生物学者の間でそれほど議論にはなりませんでした。なぜなら、それは次世代へ遺伝子を受け渡すもっとも重要なステップである射精と結びついているからです。オーガズムによって、男性は多くの精子を射精でき、進化的に有利になります。
女性の場合、進化的な過程をたどるのはそう簡単ではありません。オーガズムのとき起こる筋肉の収縮は、妊娠するためには必須ではありません。セックスでほとんどの男性はオーガズムを経験しますが、女性の場合はそれほど確実ではありません。
女性器の構造に関係あるかも
2010年のある調査では、35.6%の女性が最近のセックスでオーガズムを感じなかったと答えています。その理由のひとつには、膣とクリトリスが離れているという女性器の構造があります。
それでも、女性のオーガズムには自然淘汰によって選ばれたなんらかの生物学的機能があると考えている科学者も多いのです。ただ、その機能というのが一体何なのかを突き止めなければならないのですが。
感情面ではどうでしょうか
生殖
「オーガズムは感情面でとても重要なものですから、わたしの勘では生殖に対してもなんらかの影響をもたらすのではと思うのです」と語るのは、ペンシルバニア州立大学の進化人類学者、デヴィッド・A・プッツさんです。
これまで多くの仮説が唱えられてきました。プッツさんは同僚たちとともに、女性のオーガズムが遺伝的に魅力のある男性によって卵子が受精される確率を上げるかどうかという可能性を調査してみました。
いろいろな説を考察してみたけれど
その説を、インディアナ大学の哲学者エリザベス・A・ロイドさんはまったく信じていません。2005年、ロイドさんは『The Case of the Female Orgasm(女性のオーガズムの実情)』という本を出版し、オーガズムの役割について発表された18の説を考察しました。
どの説も確固たる証拠に欠けている、というのが彼女の結論でした。仮説の多くは人間のセクシュアリティについてわかっている他の科学的根拠と相容れないものでした。彼女は出版後も研究を続けましたが、抱いている懐疑はどんどん深まる一方でした。
ロイドさんは、女性のオーガズムを説明する最良の説は進化的な目的は一切ないというものと考えています。男性のオーガズムの進化の副産物にすぎず、女性のオーガズムは男性の乳首のようなものだというのが、彼女が信じるところです。
新しい研究が暴いたことは?
人
さて、パブリチェフ氏と研究仲間のイエール大学のグンター・P・ワグナー氏は、女性のオーガズムは、初期の哺乳類までさかのぼる深い進化的歴史があると主張しています。
ふたりはツチブタからコアラまで幅広い種の情報を集めるために、知られていない昔の記録を読みあさり、ほかの動物の生殖について学ぶことから始めました。
両氏は、セックスのとき、哺乳類のメスはオキシトシンとプロラクチンを出すことに注目しました。これらのホルモンはオーガズムの際に女性が放出するものです。そのほかにも、多くの種のメスは大きく異なる生殖作用があることがわかりました。
排卵のサイクルも動物によって異なる
人間の女性は一か月に1回排卵しますが、ウサギやラクダなど他の哺乳類には、交尾の後だけに排卵する動物もいます。
周期的な排卵は人間を含め、わずかな哺乳類だけに進化したことが突き止められました。その進化以前、古代の哺乳類はオスとの交尾によって引き起こされる排卵に頼っていたのです。
クリトリスと膣の位置が違っていた
蘭
これら古代の哺乳類は、膣のなかにクリトリスが発達していました。排卵周期が発達した哺乳類だけに、クリトリスが膣から分かれていったのです。これらの発見から、両氏は女性が妊娠するための反射作用として、まず女性のオーガズムが進化したと論じています。
古代の哺乳類が交尾したとき、クリトリスが脳へシグナルを送り、排卵を促すホルモンが出された可能性があります。卵子が受精したら、ホルモンには受精卵が子宮にしっかり着床する役目もあったかもしれません。
この仕組みは、オスになかなか遭遇しない哺乳類には適していました。交尾のときに妊娠するチャンスが高まるからです。
定期的に排卵するようになったら
やがて、わたしたちのような霊長類など、社会的なグループを作って生活する哺乳類も出てきました。メスは交尾相手へのアクセスが定期的にあるので、排卵を促進するメカニズムとしてのオーガズムはすでに役立たなくなりました。そのかわりにわたしたちの先祖には定期的に排卵するという、新しいシステムが進化したというわけです。
こうしてオーガズムの元々の目的がなくなると、クリトリスは最初の位置から離れていきました。ワグナーさんは、この移動は、進化によってセンサーシステムが取り壊される過程だったと推測しています。「古いシステムが変なタイミングで誤作動するのは困りますからね」
ワグナーさんいわく、「どうしてそうなったのかはわかりませんが、これは強力な進化のかたちで、哺乳類の多くの種に起こっている」そうです。
女性のオーガズムへの認識が変わる?
カップル
ロイドさんとプッツさんは、女性のオーガズム議論に加わったこの刺激的な新説を歓迎しています。
ロイドさんいわく、「これが発表されるのはうれしいですね。女性のオーガズムについて語り合うきっかけになりますし、女性のオーガズムに対する認識の低さに対して新しい視点が示され、知るべきことは何なのかを考えさせられますから」
この新説は、女性のオーガズムの進化について光をあてるものですが、パブリチェフさんとワグナーさんは、オーガズムが現代の女性にとってどんな役割を果たすかという議論を決定づけるものではないと述べています。「どんな議論もオープンですよ」とワグナーさん。
ワグナーさんは、女性のオーガズムの歴史を解読することは生殖医学の向上に役立つだろうと述べています。
「女性の生殖器系全体を考えるとき、どう進化したのかについてのひな型があると、ちょっと違った視点で捉えられるのではと思うのです」
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©2016 New York Times News Service[原文:Scientists Ponder an Evolutionary Mystery: The Female Orgasm/執筆:CARL ZIMMER](翻訳:ぬえよしこ)
image via shutterstock
ぬえよしこ(翻訳)
https://www.mylohas.net/2019/03/185771sp_sex_nyt_orgasm.html
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