http://www.asyura2.com/14/hasan90/msg/312.html
Tweet |
景気回復もたつく
増税・天候 消費に影
景気回復の足どりがもたついている。個人消費は4月の消費税率引き上げ後の落ち込みを抜けつつあるものの、勢いは弱い。夏の天候不順に加え、増税による物価上昇ほど賃金は増えていないためだ。当面は設備投資が下支え役となる。消費税の再増税を乗り越えるには、投資から消費増につながる好循環を確実にできるかがカギとなる。
ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」で6月下旬、異変が始まった。週末の客足が鈍り、消費増税後も前年同月を上回っていた売上高が一変した。雨が増えた7月の売上高は前年比5.1%減。客単価の上昇で8月の売上高は前年並みに持ち直したが、客足は落ちたままだ。
来店すれば看板商品「熟成ロイヤルアンガスリブロースステーキ(2030円〜)」を注文する人が多い。ロイヤルホールディングスの菊地唯夫社長は客足の鈍さは悪天候の影響と思いながらも「増税後の支出増を実感し外食を控える人が増えたのかも」と身構える。
反動減は和らぐ
増税後の消費の持ち直しは、まだら模様だ。各業界が毎月出す30品目の統計では、増税前に駆け込み購入が多かった薄型テレビなど20品目は4〜5月に底を打った。自動車販売も駆け込みの反動減は少しずつ和らいでいる。トヨタ自動車販売店協会の久恒兼孝理事長は「新車需要はそろそろ例年の水準に戻る」と見る。
一方で外食など12品目は6月から7月にかけて悪化した。悪天候の影響がどの程度かは測りづらい。「値下げしても見向きもしない客が増えた」と大手百貨店幹部は嘆く。
雇用者は7月まで19カ月続けて前年同月より増え、賃上げやボーナスの増額で名目の報酬総額は前年水準を上回っている。それでも増税で大幅に上がった物価分を差し引くと1人あたり賃金は4〜6月に前年より3%以上減った。購買力が落ち必需品以外の支出を抑えている可能性がある。
4〜6月の実質国内総生産(GDP)は前期比年率で6.8%減と消費増税前の市場予想を下回った。ただ、これには駆け込み購入の反動や人手不足といった一時的要因も絡んでいる。
日本経済研究センターがまとめた民間調査機関41社による予測平均では、実質成長率は7〜9月に年率4.0%、その後も来春まで2%前後の成長を保つ。消費増税後の落ち込みは一時的で「景気は緩やかながら回復する」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)との見方が多い。
脱デフレ続く
脱デフレの流れは続きそうだ。家電量販大手のケーズホールディングスの店頭では4月の増税後も薄型テレビや冷蔵庫などの平均単価が前年より1割上がった。売れ行きは鈍ったが、加藤修一会長は「企業業績の改善と給与増でこれから景気は良くなる」と先行きに期待を寄せる。
リーマン・ショック後の2009年に5%半ばまで上がった完全失業率は今は3%台。ほぼ完全雇用状態にある。一時2%超下落していた物価も今は消費増税分を除いても1%強上がっている。デフレの根っこにある供給過剰=需要不足は解消しつつある。
政府は16日の経済財政諮問会議から来年10月に予定する消費税率の再引き上げの可否の議論に入る。11月17日に発表予定の7〜9月のGDPを見極め、景気回復を確認できれば予定通り再増税を決める。設備投資が増え続け物価を超える賃上げへの期待が生まれるかどうかが焦点となる。
判断は政府が成長戦略で打ち出した法人税の引き下げ方針も左右する。消費税の再増税を先送りすれば、法人税の減税も見直しを迫られる。上向き始めた設備投資や賃上げにブレーキがかかる可能性がある。
需要不足が和らぎ、公共事業など需要を追加する政策の効果は薄れている。中期的な成長期待を高める規制や税制の改革が重要になっており、こうした構造改革への取り組みが課題となる。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
設備投資が下支え
実質国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の持ち直しは緩やかにとどまり、当面は設備投資が景気を支える公算が大きい。民間調査機関41社の予測平均では消費が昨年10〜12月の水準に戻るのは来年7〜9月。設備投資は7〜9月以降1%程度の伸びが続き、2014年度は5.2%増と13年度(2.7%増)より伸びが高まる。
日本政策投資銀行が調べた14年度の国内設備投資計画は前年度比15.1%増と計画段階で24年ぶりの伸びとなる。先行指標の工作機械の国内受注額は7月まで13カ月続けて前年を上回った。
好調な業績で企業の投資意欲は高まっている。上場する製造業の14年4〜6月期の経常利益は前年同期比9%増えた。円安を追い風に海外で収益を伸ばし、通期でも4%増と増益が続く見通しだ。足元は省力化や物流に絡む投資が目立つ。
工場の自動化設備メーカー、アステック(静岡市)は受注増に対応して神奈川県厚木市に新工場を建て、来春に稼働する予定だ。「人手不足で省力化投資が増えている」と有我敦司社長は話す。
消費増税後に住宅受注が落ちた大和ハウス工業はインターネット通販会社に貸す物流施設で稼いでいる。香川県ではイオングループの拠点となる物流施設を受注した。16年3月期までに2千億円と投資全体の4割強を物流事業に振り向ける。
海外需要にも明るさが見える。民間41社の予測平均で14年度の実質GDPへの外需の貢献は0.6ポイントと4年ぶりにプラスに浮上する。年初は寒波で停滞した米経済が回復しているうえ、新興国も一時の減速から持ち直している。円安の定着で輸出が伸びる環境がようやく整ってきた。
[日経新聞9月7日朝刊P.1]
- 甘利経財相、景気回復「期待より緩やか」 7〜9月:台風・大雨の影響指摘 あっしら 2014/9/08 03:14:52
(0)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。