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財部誠一:株価対策頼みの「成長戦略」は本末転倒!
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140619-00000001-fukkou-bus_all
nikkei BPnet 6月19日(木)8時15分配信
政権発足から半年間、異次元の金融緩和が実現した株価急騰。その成功体験が安倍首相の頭から離れないのだろう。新たに発表される成長戦略は多岐にわたるのだろうが、このところ伝わってくるの「株高の夢よ、もう一度」だ。
■新たな成長戦略の目玉は株価対策
安倍政権発足が確実になった2012年11月から日経平均は毎月1000円のペースで上昇し、2013年6月にはいると1週間に1000円のピッチで急騰。日経平均は7か月間で8000円から1万6000円まで、2倍になった。アベノミクスのロケットスタートはまさにこの株高が支えた。
ところが、2013年6月23日に日経平均がピークをつけて以降は、日本株は泣かず飛ばずとなり、2014年5月には1万4000円まで下げてくると、アベノミクスはもう終わりだという声があちこちであがってくるようになった。
「第3の矢」はあまりにも網羅的で、短期的に効果を発揮しうる政策は少ない。日本の構造改革に不可欠な成長戦略は中長期的な政策であり、急減速した株価に勢いを与えるだけの力を持たない。今年6月中に公表される新たな成長戦略の目玉は、株価対策だ。
■注目はGPIFの株式運用非率引き上げ
最たるものが年金積立金管理運用独立法人(GPIF)の株式運用非率引き上げだ。GPIFの運用総額は130兆円。1割増えるだけでも13兆円のニューマネーが株式市場に流れ込む。
それだけでも相当なインパクトになるが、企業や業種ごとの厚生年金基金の運用はGPIFと同じ運用方針をとりたがるものだから、さらに株価押し上げのエネルギーが上昇することは間違いない。
もっともデフレ時代ならいざしらず、インフレ期待が高まる中、単純なリスク回避願望から国債に投資をしていればよいというわけではなくなった。金利が上昇すれば国際価格は下落する。
多くの資金を長期国債で運用してきたメガバンクは、国債下落に備えて、手持ちの長期国債を売却して、短期国債に買い替えるという作業を繰り返している。多少の売買損が出ても、満期までの残存期間の短い短期国債に切り替えた方がリスクを低減できるからだ。
■法人税減税を急ぐ安倍首相の狙い
GPIFの株式運用比率引き上げには妥当性がある。
従来はTOPIX(東証株価指数)への連動を運用方針としてきたが、運用効率アップのために財務内容で業績の良い企業グループをグルーピングした新たな指数連動への変更も決めた。悪い話ではない。
だが、政府が株式運用比率引き上げのタイミングを前倒しで行おうとしているのは、いただけない。少子高齢化で年金の構造改革が避けられないなか、運用効率アップは絶対に避けて通れない作業だが、政府の株価対策ばかりが前面に出て、年金資金が引きずり込まれるような事態は筋が違う。
法人税減税にも株価対策がぷんぷんにおう。
消費増税で庶民をいじめ、法人減税で企業優遇するとはけしからんといった短絡的な批判もよく目にするが、35%の税率のままでは、日本企業の海外移転に歯止めがかからない時代がいずれやってくるだろう。グローバルな競争条件が違いすぎるからだ。
■本来の目的が中途半端に終わってしまう懸念も
だが、法人税減税を急ぐ安倍首相の頭の中には、やはり株価対策背景がある。
法人税率が5%なり10%なり引き下げられると、上場企業の純利益はその分だけ自動的に上昇する。株価を最終的に決めるのは業績だ。法人減税が決まれば、その瞬間、株価は上昇する。
必要な規制緩和や減税によって日本経済に勢いがつくのは大歓迎だ。それが株価対策に直結する一石二鳥であるとすれば、おおいに結構だ。だが本来の目的である構造改革の結果として株価が上がることと、株価対策としてむりやり構造改革をすることは、まったく違う話だ。
時間をかけ、中長期的にしっかりと政策目標を実現していくのではなく、株式市場に流れ込む年金資金の増加や法人税減税で個別企業の株価上昇期待が先行するあまり、本来の目的が中途半端に終わってしまうようなことがあってはならない。
■グローバル投資家は日本市場の優位性を理解
モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミスト、ロバート・フェルドマン(60歳)氏によれば「グローバル投資をしている欧州のファンドマネージャーは、アベノミクスに対して一定の評価をしており、日本株のポートフォリオの比率を下げる気はない」という。
「日本株専門のファンドマネージャーは、最近の日本株のパフォーマンスがあまりに悪いものだから、顧客から資金が引き揚げられることばかり心配している。一方、グローバルに投資をしているファンドマネージャーは日本市場の優位性を理解しており、再び日本株が上がるタイミングをじっと待っている」
安倍政権はまさに、この期待に応えようとしている。繰り返すが、それは悪い話ではない。だが株価対策頼みの成長戦略に陥ったら、本末転倒になりかねない。
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